熱中症には麦茶がいいといわれる理由
子どもの熱中症対策のためにおすすめの飲み物は「麦茶」です。麦茶を摂取することで、体にどんな効果があるかを紹介します。
カフェインが含まれていない
子どもの熱中症対策に麦茶がいいとされる理由のひとつは、カフェインが含まれていないことです。カフェインは利尿作用があり、摂取すると体から水分が出ていきます。そのため熱中症対策としては、カフェインが含まれている飲み物は適していません。
熱中症を予防するためにはしっかりと水分を摂取することも重要ですが、それと同時に水分が体から出ていかないようにすることも重要です。カフェインが含まれていない麦茶で、しっかり水分補給をすることが熱中症対策につながります。
糖分や塩分が気にならない
熱中症の予防と聞くと、スポーツドリンクを連想する人も多いでしょう。しかし糖分や塩分がたくさん含まれたスポーツドリンクは、体の調整能力が不十分なお子さんの熱中症対策にはあまり推奨されません。
なぜなら熱中症対策の最重要ポイントは、脱水症状を防ぐことにあるからです。たしかにスポーツでたくさん汗をかいた場合は、塩分摂取も必要です。しかし日常でスポーツのように大量に汗をかくシーンは少なく、暑い時期でもまず気にするべきは水分量です。
塩分や糖分を過剰摂取することは、子どもの身体によくありません。夏場に汗をかいたときは、甘い飲み物ではなく麦茶でしっかり水分補給するようにしてください。
ミネラルが含まれている
麦茶が熱中症対策に効果的といわれる理由は、麦茶に塩分以外にもさまざまな種類のミネラルが含まれていることです。熱中症は、水分不足に加えてミネラル不足で起こる場合もあります。そのため水分とミネラルを同時に補給できる麦茶は、水よりも熱中症予防の効果が優れているといえます。
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熱中症にならないための水分補給方法
熱中症防止を目的とした水分補給は、ただ飲むのではなく「正しい飲み物と飲み方」を意識することが大切です。ここからは、具体的にどのように水分を摂取すればいいかを紹介します。水分をしっかりとるために子どもに必要な水分量の計算式は下記の通りです。
小学生 体重1kg×60〜80ml
中高生 体重1kg×50ml
大人であれば最低でも1,500〜2,000mlは水分を摂取することが望ましいとされています。その理由は、これだけの水分が一日で体内から出ていくためです。
特に子どもは、自分の必要な水分量を理解できていないことも多くあります。また子どもは頭の位置が地面に近いため、地面からの照り返しの影響を強く受けます。そのため大人が大丈夫と感じていても、熱中症のリスクに晒されています。夏場はママやパパが意識的に摂取を促さなければ、熱中症になるリスクが高まるでしょう。
水分をたくさん摂取するという意味でも、麦茶は最適です。カフェインが含まれておらず、たくさん摂取しても子どもに悪影響はありません。子どもが水分をほしがったら、積極的に麦茶を飲ませてあげてください。
こまめに水分補給する
熱中症防止のためにしっかり水分を摂取することが大事ですが、子どもが一気に水分を摂るのは避けたほうがいいでしょう。目安として一度に摂取する量は、コップ一杯程にとどめることが望ましいです。運動中や直後は、少し多めに摂取しても問題ありません。
また水分補給は、喉が渇いてからでは遅いという点も注意が必要です。喉が渇かないようにこまめにわけて、コンスタントに摂取することが大切です。水分量だけでなく、頻度もしっかりチェックしてあげてください。
塩分補給も重要
塩分の摂りすぎは禁物ですが、熱中症防止のための適度な塩分補給は必要です。汗をかくと、水分とともに塩分であるナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラルも出ていきます。
体内の水分とミネラルが同時に失われることは、熱中症につながる危険な状態です。そのため水分と同時に、塩分を含むミネラルも補給する必要があります。
熱中症対策におすすめの麦茶以外の飲み物は?
熱中症対策のポイントは、適切な飲み物を選択することです。適度な塩分が含まれており、熱中症対策に最適な飲み物を紹介します。
水
麦茶ほどではありませんが、水には熱中症防止のために必要な栄養素であるナトリウムやカルシウム、マグネシウム、カリウムが含まれています。生命維持に不可欠な体の組織を形成する原料であるため、子どもの身体にも確実に必要です。何を飲むか迷った場合は、まず水を口にしましょう。
経口補水液
経口補水液は、水分や電解質の補給を目的として開発された飲料です。水分とナトリウム、カリウム、塩分、糖分などがバランスよく配合されている点が、熱中症防止に最適とされています。液体だけでなく粉末や錠剤の形で販売されているものもあるため、多量の水分を摂取することが苦手な子どもを持つパパママに重宝されています。
経口補水液はわざわざ買いに行かずとも、家にあるもので作ることもできます。子どもと一緒に手作りを楽しんでみるのもおすすめです。経口補水液を作る手順を紹介します。
【材料】
1リットルの清潔な水
砂糖1/2スプーン
食塩1/2スプーン
【手順】
清潔な容器に1リットルの水を入れて、砂糖を加え混ぜます。砂糖は溶けにくい性質があるため、しっかりとかき混ぜることがポイントです。
次に食塩を1/2スプーン加えて、さらによくかき混ぜます。
味の調節として少しのレモン果汁を加えたり、蜂蜜漬けのレモンを適量入れたりするのもおすすめです。
※塩分はあくまで必要最低限の量に留めることが重要です。過度に入れると、逆に塩分が水分を奪っていく状態になってしまいます。
スポーツドリンク
スポーツドリンクは、運動によって失われた水分、電解質、糖分を補給するために開発された飲料で、熱中症防止に必要な成分が適切に含まれています。
しかし過剰な摂取は、消化不良や体内の塩分濃度上昇につながります。また糖分の過剰摂取は子どもの体によくないため、運動量や体質、体調に合わせた選定が必要です。
熱中症予防という目的では、スポーツドリンクはあくまで補助的な飲料として活用するようにしてください。
熱中症対策に麦茶を摂取しよう
麦茶はカフェインが含まれていないため、子どもにも安心してあげられる飲み物です。内臓への負担も少なく、熱中症対策に必要な水分のほとんどを麦茶で摂取しても問題ありません。
暑い季節はいつも以上に意識して、子どもに麦茶を飲ませてあげましょう。麦茶がない場合は、カフェインが含まれていない飲み物の中から選ぶようにしてください。
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記事監修
医療法人社団藤和会 あんどう内科クリニック院長。藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)卒業後、同大学病院研修を経て、同大学病院総合診療内科所属。2011-2015年にかけて同院最優秀指導医賞受賞。岐阜市民病院総合内科を経て現職。岐阜大学総合病態内科学非常勤講師、藤田医科大学救急総合内科客員講師、岐阜市民病院研修管理委員会外部委員。
日本内科学会認定医
プライマリケア連合学会認定医・指導医・代議員
日本心療内科学会登録医
日本医師会認定産業医
『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリケア医。「プライマリケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。