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読み聞かせに子どもが飽きてしまったら、読み続けますか?やめますか?
- できるだけ読み聞かせの時間を取るようにしています。でも、読んでいる途中で違う話をしたり、勝手にページをめくってしまったり……。あきらかに集中してないとき、読み続けるべきか、別の絵本に替えるべきか、その日の読み聞かせをやめるべきか、いつも迷いながら、とりあえず読んでいます。(3歳女児の母)
A.年齢によって対応を変えてみましょう。
毎日おつかれさまです! 読み聞かせに子どもが集中していないと、「これ読んでいて意味あるのかなー」と思ってしまいますよね。
基本的には、子どもが明らかに見ていないのならパッとやめていいと思います。
ただし、「読み聞かせ」が子どもの発達に効果があるのは研究によって実証済み。読み聞かせの習慣は、やはりつけられるといいですよね。ですので、年齢によってちょっと対応を変えてみましょう。
〈読み聞かせに飽きてしまったら?〉
・0~1歳くらい → あきてしまったところで、やめてOK
・2歳以降 → 「あと1冊」作戦!
0~1歳くらいの子への対応法
0,1歳くらいの子への読み聞かせ目的は、
・親子のコミュニケーション手段の一つ。
・「本」という存在に慣れる。
・「読む」という行為を知る。
が主なので、子どもがあきてしまったらパッとやめて違うことをして大丈夫。
余裕がありましたら、子どもが興味を失って別のことをし始めても、パパママが1冊読み切って楽しんでいる姿を見せてもよいかもしれません。
「読書」という行為に親しみが持てるよう、「本」という存在を身近に感じさせることができれば、この時期は1冊読み切らずとも、オッケーです!
2歳以降の子への対応法
2歳を越えるとだんだん幼稚園の入園も視野に入り、保育園でも3歳児クラスではクラス定員が一気に増え、座学の習い事も考え始める時期です。
ですので読み聞かせ対応法も、基本的には飽きたらやめてしまってOKというのは変わりませんが、余裕がありましたら読み聞かせを通じて
・すわってお話を聞く。
ということに慣れてみては?と思います。
そこで、「あと1冊作戦!」です。
もちろん無理やり読ませるのはNGですが、子どもの状況を見て「もうちょっとならいけそうかな」であれば、「この1冊で終わろう!」と、すこーしだけ座って読むことに慣れる練習をしてみましょう。
ただ、ここで選ぶ「あと1冊!」は子どもが主体的に座れる長さ・内容であることが重要です。
①子どもが納得できる、一瞬で終わるくらいの長さ。
②子どもにも、役割を持って読んでもらう。
→そんな絵本を選ぶことで、ちょっとでも“子どもが主体的に読み聞かせに関われる!”
ということを狙える、絵本をご紹介したいと思います。
①子どもが納得できる、一瞬で終わるくらいの長さを
いくら1冊といっても、どのくらいの時間がかかるのか分からないと、子どもはのってきません。とにかく短く、「このくらいの時間よ」と分かる絵本で、子どもたちが「まあそれくらいなら」とのってくれる絵本を用いましょう。
「〇〇秒で終わるよ!」という絵本
『おうさまがかえってくる100びょうまえ!』(柏原佳世子 作・絵 えほんの杜)
「あとちょっとだけ読もう!」と言っても、どのくらいの長さか見通しが立たないと、子どもは抵抗感を持ちます。ですが、この絵本は1から100まで数えるだけでお話が展開していくので、「100数えるまで読んでみよう!」と声がかけられます。
王さまがお出かけの日、王さまがいないことをいいことに、家来たちは王さまの部屋で遊んで散らかし放題。ですが、王さまが予定より早く帰ってきて大慌て。
「かえってくるまで……あと100びょうだ! 100ぎょうで へやを かたづけろー!!」
というかけ声から、100から0までのカウントダウンが始まるのです。この100から0までをお子さんに数えてもらうのもよいですよ。100秒という短い時間だけでもお話が面白く展開し、親子ともども高い満足度で1冊読み終えることが出来ます。
一瞬で展開する楽しい絵本
『まほうのでんしレンジ』(原案 たかおかまりこ さいとうしのぶ 作・絵 ひかりのくに)
こちらの絵本は、本自体が「電子レンジ」の形になっていて、白いお皿を入れるだけで「チーン」と食べたいごはんが出てくる魔法の繰り返しが楽しい絵本です。
「はらぺこりんりん はらぺこりんりん」と唱え、「チーン」と鳴ると、あらふしぎ! ただの白いお皿だったはずが、おいしそうなごはんをのせて出てくるんです。
使い方にいろいろ工夫ができまして、「ちょっと読み聞かせに飽きてるなー」と感じたときには、繰り返し箇所の「オムライス」だけなど本当に一部だけ読んだり「『チーン!』だけ言って!」と任せたりできます。もともと作者の行っていたパネルシアターを元にした作品なので、子どもたちの興味をひく読み方ができますよ。
②子どもにも、役割を持って読んでもらおう
子どもに主体的に読み聞かせに関わってもらう方向として、“役割をもってもらう”というやり方もあります。
『めんたべよう!』(小西英子 作・絵 福音館書店)
子どもの大好きな麵料理、うどん・スパゲッティ・そば・ラーメンの4種を、とてもリアルにおいしそうに描いた絵本です。
どのように役割をもって読んでもらうかというと、ここに出てくる麺料理は、家庭でもおなじみのメニューばかり。ですので、「おねがい、この中から明日の夕ご飯のメニューえらんで!」などとお願いするんです。我が家は「読ませたい」というよりも、半ば本気で「もう何を作ったらいいか分からないから、決めて!」と思ってやっています。そうすると、やっぱり子どもも自分の食べたいものを選びたいので、読むというよりもメニュー選び感覚で全体に目を通し始めるんですね。ほかにも、「一番好きなものは何?」だったり、「決められないよー」と言われたら「じゃ、明日これ作っていい?」など話をつなげることもできる、お役立ち絵本です。
ほかにも、
『コんガらガっち でんしゃでおでかけビンゴの本』(さく ユーフラテス 小学館)
という楽しく子どもに参加してもらえる絵本もあります。この絵本は、『コんガらガっち』の絵本シリーズのうちの一つなのですが、普通の絵本とは趣きが違い、ビンゴカードつきで絵本の内容をたどりながらビンゴをすることができるんです。
ですので、読み聞かせに飽きてしまっている子に、「おかあさんがたどっていく途中に出会うもので、ビンゴカードに出てくるものはチェックして!」などというように、共同作業しながら、「はいビンゴ!」などとカードゲームのように子どもに参加してもらえる楽しい絵本ですよ。
お話を聞けるようになるメリット
じっとお話を聞けることが“いい子”というわけではありません。これからの時代は、受け身ではなく、自分の意見を思考し発信できることの方が重要視されています。
ただ、
「読み」+「書き」という基本があっての→「思考力」
だと思うんですよね。
最近は教育内容もアクティブラーニングやグループワークが進んでいますが、読み書きという基本を身につけるのは、やはり座学が主です。
また、「本」「文章」を読み知識を得ることが、思考力の土台となります。「読む」ということは、そうした点でとても重要なものです。子どものころから読書の習慣を持ち本を読むことに抵抗感がない人は、思考・探究のスタートに対して非常に有利となるわけです。
ですので、読み聞かせを通じて「人の話を聞く」ということに慣れ、そのうえで、読書習慣が身についていくことは、これからの時代の子どもの基礎力を培います。
本を読む親の背中を見せよう
ですが、無理やり読み聞かせをしたり、「読め―読めー」といって身につくわけではありませんよね。自分自身に置き換えても、無理やりやらされることはちっとも面白くありませんし、やる気は起きません。
ということで、まずは親が「本を楽しむ」背中を見せましょう。
パパママが「読書を楽しむってこういうことよ」という姿を見せることによって、本を身近に感じ興味を持っていきます。そして「読書」が身についていくと、成長するにしたがってゲーム・動画も当然やるようにはなるんですけど、娯楽の選択肢が広がるのでゲーム一辺倒、という風にはなりにくいんですよね。
私は、基本スタンスとして「読み聞かせは無理してやるもんじゃない」と思っております。ただ、パパママが読書を楽しむ姿勢を見せることは、とても大事です。
最初から絵本に興味を持つ子もいれば、後天的に読書が大好きになる子もいて、本当にそれぞれです。ですから、現状に焦らずに、まずはパパママが好きな本を読んで楽しそうな姿を見せましょう。そして、その姿に興味を持った子の目の前に偶然にも面白そうな絵本が(戦略的に)散りばめられている……という風に、読み聞かせ、無理せずお進めください!
「頑張り過ぎない読み聞かせ研究室」を1話から読む!
読み聞かせの時間を作れないのは私の要領が悪いせいですか?新連載【育児の悩みは絵本で解決】vol.1