「自分で考えなさい!」では思考力は育たない。子どもの自由な発想を促すために大人がすべきこととは?

これから子どもたちに必要とされる「考えるチカラ」。困難な場面に出くわしたとき、それを成長できるチャンスととらえ、自分の糧にしながら立ち向かっていける人間になってほしい!そんな「生き抜くためのチカラ」を育てるために、大人はどのようにサポートすれば良いのでしょうか。

本来、子どもはなにも与えられなくても「思考している生き物」

たくさん思考を経験させようと、子どもたちに与える課題を探していませんか?「自分で考えてみなさい!」と言っても、投げ出してしまう姿にやきもきすることもあるでしょう。

たしかに、答えのない問題に取り組むことは、解決型思考や論理的思考を育てる効果的な方法です。しかし、一方的に質問されたり、テーマを与えられることは、正解のない問題集を渡されることと変わりません。大人でもそんなことをされたら、うんざりしますよね。

子どもは元来、なにも与えられなくても、思考している生き物です。その証拠に、彼らはみんな生まれながら遊びの天才です。目の前のものはどんな仕組みになっているんだろう?壊したらどんなことが起こるんだろう?もっと知りたい!動かしてみたい!だれかに課題を与えられなくても、本能で空想をして、ものごとを観察し、仮説を立てて、つねに思考実験をしています。

そんな彼らが目をキラキラさせ、自発的に行動し、素晴らしい質問やアイデアを展開するときは、知的好奇心に訴えかける「ワクワク」が与えられたときです。

もちろん、すべての子どもに刺さる「ワクワク」を提供することは容易ではなく、教育業界では長年、「ワクワク」を届ける教材の開発に苦心しています。

言われたことだけではなく、子どもたちの発想を自由に促して、学習の過程をたのしんでもらうことが、私たちの考える大人の役割です。

思考のネタを与えよう!

大人の教える行為は、ときに子どもたちの思考や発見への妨げになります。人は、理解している範囲でしかものごとを思考できません。自分の知識をこえたことを理解するためには、考える習慣が必要です。

答えがない問題に取り組ませたければ、(答えを)教えることを控え、かわりに多くのものごとに触れさせる環境を整える必要があります。さらに、大人ができることは、想像力を発展させる「ストーリー」を語ってあげて、多面的に「発見」ができるよう、ヒントを与えることです。

最初に投げかける質問は、難しい問題でなくても構いません。むしろ、だれでも答えやすい問題が良いかもしれません。

「バイオリンとチェロの音はどう違うのかな?」「将棋のプロは対局中になにを食べているの?」「ヒトデの身体は柔らかいかな、固いかな?」五感を使った観察から、簡単な比較をさせることで、世界の解像度があがり、自然と世界に対して疑問が湧いてきます。

どうして似た形の楽器なのに違う音が出るんだろう?バイオリニストはチェロも演奏できるのかな?どうしてプロ棋士はみんな試合中にお菓子を食べるんだろう?チェスや囲碁も、食べながら試合していいの?

見たことのないモノ、聞いたことのないお話…この広い世界のほとんどが、彼らにとってはワクワクする冒険の世界です。大人が入口まで案内してあげれば、彼らは豊富な感受性を発揮してさまざまな情報を吸収し、頭をフル回転させはじめます。これが、能動的な学習につながります。

余裕のある時間を作ってあげよう

子どもたちが興味をもって「もっと知りたい」と思うようになったら、自由な時間を与え、見守ることも大事です。

爆発的な情報量にアクセスできる現代では、知識に対して受け身になるだけでなく、無限にあふれる情報を知ること、覚えることを追求しがちです。しかし、簡単にアクセスできる情報は、しょせん誰でもいつでも手に入れることができるものです。これからの時代に大切なのは、前述の問題発見力、解決力など、知識の素養を応用できる「ソフトスキル」です。

大人も子どもも多忙な現代ですが、日常のなかで、子どもたちの「なぜ」「なんで」に付き合う余裕を作ってあげられたらよいでしょう。そばで質問をたくさんする必要はありませんが、一緒に感動したり、不思議がることで、この世界を数十年長く知る先輩として、好奇心を引き出してあげられます。その好奇心が、より深い思考へとつながり、学習を続けるモチベーションになります。

自由に思考する時間を奪ってしまわないよう、スケジュールをつめこまず、余白を意図的に確保することをオススメします。

子どもと一緒に「ワクワク」を見つけよう

「ワクワク」を糧に能動的に遊ぶ経験が、思考の習慣につながります。自分で自分を楽しませる習慣が身につけば、提供された娯楽ではなく、さまざまな物事に対して「ワクワク」することができるようになります。

また、「考えることが楽しい!」という体験は、難しい課題にあたったときや、物事がうまくいかないとき、自分なら必ずできると信じて、すすんで問題を解決するような、前向きな子に育てます。

子どもたちが自らの気づきに輝かせる目や、なんとか答えを見つけ出そうとする情熱は、きっと大人にも「ワクワク」を届けてくれます。

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株式会社Digikaは暗算学習を通して、「世界中の子どもにワクワクを届ける」ことを目指しています。お手本とたのしい仕掛けで反復練習を促し、たくさん褒めることで、一生の財産になる暗算力を育てます。

執筆

株式会社Digika 代表 橋本恭伸
マイクロソフトにグローバル新卒採用第一期生(MACH05)の一員として入社。The University of Sheffield MBAを経て楽天株式会社へ。PT. Rakuten Indonesia, PT. Rakuten Belanja OnlineのDirectorを歴任し、Rakuten Indonesia Country Headとして海外でのビジネスを現地の最前線で率いる。人々の可能性を最大限引き出す力になることを自身のテーマに掲げ、株式会社Digikaで世界最速の「計算力」の短期効率的習得を通じて世界中の子供たちの夢の実現をサポートします。

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