「初心にかえる」の「かえる」。あなたは漢字で、どう書いてる?
最初に思い立ったときの純粋な気持ちに立ち戻ったり、学問や芸道の道に入ったばかりのことを思い出したりするという意味で、「初心にかえる」と言います。この「かえる」ですが、みなさんは漢字でどう書きますか?
「帰る」と書く人と、「返る」と書く人とに、分かれるかもしれませんね。
実はこの「かえる」は、「帰る」か「返る」かで、かつては辞典でも揺れていました。
「帰る」「返る」はニュアンスは異なりますが、同訓の類語です。「帰る」は人が自分の意志で元の場所へ戻るという意味であるのに対して、「返る」はモノが元の状態に戻るという意味です。
これを「初心にかえる」に当てはめて考えてみましょう。
「かえる」主体が人だと考えれば、「帰る」を使う方がいいでしょう。でもこれを心のありかたというモノが主体だと考えると、「返る」の方がふさわしいと言うことになります。
辞典も揺れていたと書きましたが、最近はほとんどが「返る」派になっています。心のあり方が主体だと考えたようです。ただ、「かえる」の部分を仮名書きにしている辞典もあります。どちらか一方に決めるのは難しいと考えたからでしょう。
最近は「返る」が主流に
新聞は最近まで「帰る」でしたが、最新の用字用語集では「返る」にしています(共同通信『記者ハンドブック 第14版』など)。
「かえる」を「帰る」「返る」どちらで書くかで多少の意味の違いは生じますが、どちらを書いても誤りということはなさそうです。
最近は「返る」が主流になっているだけなのだと思います。ただ、どうしても気になるというのなら、「初心にかえる」と仮名書きにするのも選択肢の一つだと思います。