アミラーゼって何?
アミラーゼとは、消化酵素のひとつです。消化酵素とは、私たちが食べ物を食べたときに、その食べ物を細かく分解するために働いてくれる存在。
食べ物のそのままのかたちでは、体内に栄養を吸収できないいので、炭水化物をグルコースに、脂肪を脂肪酸とグリセロールという具合に、最小の形に分解しなければいけません。この分解のときに働いてくれるのが消化酵素なのです。
アミラーゼの基本情報
人のからだの中には5000種類もの酵素が存在すると言われていて、その中でも食べ物の消化に関わるのが消化酵素と言われるものです。そして、消化酵素にはそれぞれに働きが異なり、アミラーゼはでんぷんの分解を助ける働きを持っています。
体内では主に、唾液腺、すい臓から分泌されます。
他の酵素との違いは?
アミラーゼ以外の消化酵素には、ペプシン、リパーゼなどがあります。例えば、ペプシンは胃で分泌されて、たんぱく質を分解します。リパーゼは十二指腸で分泌されて、脂肪を分解する働きがあります。
このように消化酵素にはそれぞれ担当する働きがあり、分泌される場所も異なるのです。
アミラーゼの機能と役割
では、アミラーゼがからだの中のどの場所で、どんな風に活躍しているのか見てみましょう。
口から始まるアミラーゼの活躍
アミラーゼはまず口の中で働きます。食べ物を口に入れると、私たちは歯で食べ物を噛んで細かくしますよね。これが、消化という長いプロセスの第一歩。このときに、口からは唾液が分泌され、この唾液の中にアミラーゼが含まれているのです。
ごはんやパンを口でよく噛んでいると、甘みを感じるようになるでしょう。これは、ごはんやパンのでんぷんが、アミラーゼの働きによって、麦芽糖という形に変わったサインです。
炭水化物の消化プロセス
炭水化物は、でんぷんと食物繊維などからできています。食物繊維は人の消化酵素では分解することができない成分ですが、でんぷんは消化できます。このでんぷんの消化のプロセスを見てみましょう。
でんぷんは、多数のグルコース(ブドウ糖)がつながってできている物質で、そのままで体内に吸収することができません。まずアミラーゼによって、グルコースが2個結びついた「麦芽糖(マルトース)」という形に分解します。そして、次に麦芽糖(マルトース)はマルターゼという消化酵素によってグルコースという最小の形まで分解して、小腸で体内に吸収されるのです。
アミラーゼとエネルギー変換
でんぷんが消化のプロセスでグルコース(ブドウ糖)にまでなり、それが体内に吸収されると、血液の中に取り込まれて全身に運ばれます。これが、血液検査でもおなじみの「血糖値」というもの。
全身をめぐったグルコースは、脳やからだを動かすエネルギー源として使われることになります。私たちが毎日生きていくためには、エネルギーが必要です。食べ物を口にしてそれをエネルギーにするためには、アミラーゼのような消化酵素が欠かせないのです。
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アミラーゼと食事の関係
消化に必要なアミラーゼの存在。では、アミラーゼがしっかり働いてくれるためには、どうしたらいいでしょうか?
アミラーゼが豊富な食品
アミラーゼは食べ物の中にも含まれています。例えば、大根、ニンジン、ブロッコリー、かぼちゃなどの野菜。そのほか、酢、バナナなどにも含まれています。これらを食べると、アミラーゼの量が増えて、アミラーゼの働きのサポートにつながります。
炭水化物の健康的な摂取方法
アミラーゼの働きにかかわるのが炭水化物。そして、炭水化物は、脂質、たんぱく質とあわせて3大栄養素のひとつで、からだの大切なエネルギー源になります。
ただ、ごはんをたくさん食べすぎるとすぐに体重が増えてしまうように、過剰な摂取は禁物。厚生労働省では、1日に摂取するカロリーのうち50~65%を炭水化物から摂取することを目標値として掲げています。炭水化物の量が多すぎると、生活習慣病を招きやすくなるため、注意が必要です。
体の酵素活動を高める食事のコツ
消化酵素が十分に働いてくれる環境でないと、消化が不十分になってエネルギーを得ることができません。そこで考えたいのが、消化酵素の活動を高める食事のポイントです。
まず口の中で食材をしっかり、よく噛みましょう。唾液による消化酵素が働いて、胃腸の負担が軽減されます。また満腹になると消化酵素を多く使うことになるので、腹八分目を心がけて。
さらに、インスタント食品やスナック菓子などの加工食品は酵素が含まれていないため、からだの酵素をたくさん使うことになり負担をかけます。加工食品の摂取は控えめにしましょう。
アミラーゼでわかる健康状態
アミラーゼは、でんぷんの分解以外にも以下のような健康状態の指標として使われます。
アミラーゼでわかる健康状態
すい臓の細胞がすい炎などでダメージを受けると、血液と尿の中にアミラーゼが増えることがわかっています。そのため、血液検査や尿検査でアミラーゼの値を測ることで、すい臓がきちんと機能しているのか判断できるのです。
アミラーゼの活動を測るテストとは?
アミラーゼの数値を測るのは、血液検査または尿検査。血液、尿に含まれるアミラーゼの量を測定します。もし基準値よりも高い場合は、アルコールの摂取、ストレスなどによって、慢性すい炎の可能性や早期発見に役立ちます。
なぜアミラーゼの量が変わるの?
すい臓では、アミラーゼやリパーゼなどの消化酵素をつくり、十二指腸でそれらを分泌して食べ物を消化しています。でも何かの理由ですい臓の細胞が壊れると、アミラーゼなどの消化酵素が血液中に漏れ出る現象が起こるのです。
ちなみに、アミラーゼは唾液からも分泌されるとご紹介しましたが、唾液で分泌されるアミラーゼとすい臓で作られるアミラーゼは型が少し異なります。もし血液検査でアミラーゼが高いとなった場合は、すい臓で作られたものなのか、唾液のものなのかを詳しい検査で区別します。
アミラーゼと私たちの生活
アミラーゼのような消化酵素は、私たちが食べ物を食べて、そこからエネルギーや栄養をとりこむために必ず必要になります。
日常生活でのアミラーゼの影響
口の中に食べ物が入りそれを嚙むことで、唾液腺が刺激されて唾液が分泌される仕組みになっています。でもアミラーゼは、私たちが感じるストレスの影響も受けることがわかってきました。ストレスを多く感じると、アミラーゼが多くなるというのです。
酵素不足と健康への影響
からだに数多く存在する酵素。それらが不足すると、消化が悪くなったり、血行が悪くなったり、代謝が鈍くなったり、さまざまな不調が出てきてしまします。免疫も落ちてホルモンバランスが崩れるなど、からだのあちこちに変化をもたらしてしまうのです。
アミラーゼの活動を最大限に活かす方法
アミラーゼが元気に最大限働くには、アミラーゼが含まれている食材を多く取り、食べすぎにならないように、腹八分目を心がけることが大切です。
また、ふだん食べる食事の内容もよく気を付けて、インスタント食品のような加工食品は控えて、栄養バランスのとれた食事をとるようにしましょう。
体内で活躍するアミラーゼ
唾液やすい臓で分泌される消化酵素、アミラーゼ。このアミラーゼがないと、炭水化物やでんぷんを分解して、そこからエネルギーを得ることができません。私たちがふだん、ごはんを食べてそれをもとにエネルギーにできているのは、このアミラーゼの存在があってこそなんですね。
アミラーゼが元気に働いてくれるように、ストレスをためず、健康的な食事をとっていきたいですね。
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文・構成/HugKum編集部