フルーツ界の女王と呼ばれるラ・フランス。濃厚な甘みを味わいたい果物ですが、収穫直後に食べてしまうと、まったく甘みが感じられません。おいしく熟した頃の見極めがポイントになります。どのくらいまで追熟させれば、良いのでしょうか?
また、ワインやチーズ、オリーブオイルなどと相性が良いので、簡単にオシャレな料理に仕上がります。ラ・フランスのおいしい食べ方について、詳しくみていきます。
ラ・フランスとは
下ぶくれでゴツゴツした見た目のラ・フランス。口に含むと、とろけるようで、なめらかな食感が高貴な味わいです。おいしい食べ方についてチェックしていきます。
食べ頃はいつ
ねっとりとした甘さを十分に楽しめる食べ頃は、どう見分けると良いでしょうか?
洋梨は和梨とは異なり、追熟していく果物です。収穫直後は、まったく甘みがありません。
ラ・フランスの食べ頃は、果皮が黄色に染まり、肩の部分に柔らかさを感じるようになったら合図です。軸の付け根や、軸にシワが寄ってくることでも、見分けがつきますよ。この頃になると、特徴的な芳香も強まり、まさに食べ頃です。
スーパーに並ぶ商品は、熟す前の状態で販売されることが多いもの。これは口にしても固く甘みがありませんから、購入後、1週間~10日程度、ご自宅で寝かせてからお召し上がりください。
追熟の方法は、紙袋に入れてホコリを避けながら、20℃くらいの安定した室温に置いておくだけです。
甘くなる前に冷蔵庫に入れてしまうと、追熟が止まり、甘みが出ないまま傷んでしまうこともあります。逆に、十分甘さが出てからは、冷蔵庫の野菜室で保存することで追熟が止まり、おいしさを保ったまま2~3日は保存ができます。ただし、早めにお召し上がりください。
切り方
常温で追熟させた後、食べる直前2時間前に冷蔵庫に入れて冷やすと、おいしく食べられます。
複雑な形状を持つので、切り方に迷う場合もありますが、基本は芯を外し、皮をむくだけです。皮をむく工程をご覧ください。
・包丁で
【1】ラ・フランスを縦に4等分にカットします。
【2】リンゴの芯を外す要領で、包丁を使って芯をカットします。
【3】皮をむいて、お召し上がりください。
・スプーンで
ねっとりとして柔らかいラ・フランスは、熟していると包丁で切りにくい場合もあります。そんな時は、スプーンで芯をくりぬく方法がおすすめ。
【1】ラ・フランスを縦半分にカットします。
【2】スプーンで、芯をすくい取ります。
【3】そのままスプーンですくい取って食べることもできますよ。
ポリフェノールを含むラ・フランスは、そのまま放置すると変色してしまいます。変色防止には、塩水にサッと浸ける他、真水でも効果があるので、試してみてください。
旬
洋梨は品種が多く、それぞれの旬があります。その中でもラ・フランスについては、10月から出荷が始まり、最盛期は11月。12月まで出荷は続きますが、追熟に1か月程度かかるため、最もおいしい時期は11月下旬頃からです。
ラ・フランスの食べ方
ラ・フランスはカットフルーツとして食べる他、オードブルや加熱料理に使うこともできます。他の食材との組み合わせると、深みのある味わいが楽しめます。
ラ・フランスのオードブル
メロンと同じく、生ハムとの相性が良い、ラ・フランスのオードブルを作ります。
・材料
ラ・フランス 1/2個
生ハム 8枚
クリームチーズ 60g
オリーブオイル
ピンクペッパー
カブの葉 1株分
・作り方
【1】ラ・フランス1/2個を、8等分のくし切りします。クリームチーズは、ラ・フランスに合わせて同じくらいの大きさにカットしてください。カブの葉は刻んで塩でもみ、水気をよく絞ります。
【2】【1】のラ・フランスとクリームチーズを合わせ、生ハムで巻いてください。
【3】お皿に盛り付け、オリーブオイルとピンクペッパーを振りかけ、カブの葉を飾ります。
ラ・フランスのコンポート
もしも余ってしまった時は、煮て保存することで贅沢な味わいを長く味わえます。チーズとの相性も良く、サラダやデザートにお使いください。
・材料
ラ・フランス 2個
白ワイン 100㏄
グラニュー糖 100㏄
レモン汁 大さじ1
水 100㏄
・作り方
【1】ラ・フランスの皮をむき、一口大にカットします。
【2】カットしたラ・フランス、白ワイン、グラニュー糖、水を加えて火にかけます。
【3】煮立ってきたら落し蓋をして、形が崩れない程度に煮てください。
【4】火を止めて、鍋に蓋をして10分程度放置します。余熱が回り、味わいが深まります。
【5】保存容器に移し替え、冷やしてお召し上がりください。
ラ・フランスの意味は知ってる?
ラ・フランスという名の洋梨を世界で生産しているのは日本だけかもしれない事実を、ご存じですか?
名前の由来
ラ・フランスは、19世紀半ばに発見されたフランス原産の洋梨です。フランスを代表する品種として賛美されたことから「ラ・フランス」との名前がつき、日本でもそのままの名前で広がりました。
日本に紹介された当初は、追熟の技術が未熟で「こんなまずい梨は、食べられない」との評価でした。その後、追熟技術が進み、全国的においしさが知れ渡るようになったのは、昭和60年代になってからのことです。
今ではフルーツの女王との称号で呼ばれる果物となりました。
山形県の特産
繊細な栽培技術が必要なラ・フランスが農家に嫌われたため、フランスでは次第に作られなくなってしまったそうです。一方の日本では、山形県の特産物にまで成長しました。自然環境や気候が適していたため、安定した供給ができるんだとか。山形県の国内収穫量は6割のシェアを誇ります。
奥ゆかしさも魅力のひとつ
上品でふくよかな甘さと、芳醇な香りを楽しめるラ・フランスは、毎年楽しみにしている方も多いものです。買ってきてすぐには食べられない奥ゆかしさも、魅力のひとつですから、ひょうたん型のラ・フランスが、少しずつ色づいていく様子を観察しながら、甘さが増すのを楽しみにしてくださいね。寒くなり始めた季節の、ご馳走ですね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)