人口が減少する日本。しかし世界の人口は増加の一途
少子高齢化を迎えている日本。結婚しない男女が増えていることもあり、若い世代の人口は大きく減少傾向にあります。それにより、地方を中心に過疎化が進み、大きな社会問題にもなっています。急速な人口減少により、いつかは外国から積極的に移民を受け入れる、そういった時代が来るかもしれません。
一方、世界の人口は日本とは対照的に増加傾向にあります。昨年、これまで世界の人口ランキングで長年1位だった中国がインドに追い抜かれました。昨年のランキングによると、1位がインドで14億4,171万人、2位が中国で14億2517万人、以下、米国が3億4181万人、インドネシアが2億7,919万人、パキスタンが2億4,520万人、ナイジェリアが2億2,915万人、ブラジルが2億1,763万人、バングラデシュが1億7,470万人、ロシアが1億4,395万人、エチオピアが1億2,971万人、メキシコが1億2,938万人、そして日本は12位で1億2,263万人などとなっています。
人口増だけでなく、経済成長も著しいグローバルサウス
今日、世界の総人口は80億人を超え、2037年頃には90億人、2058年頃には100億人を突破すると予測され、今後も増加することになるでしょう。フィリピンが1億1,910万人、エジプトが1億1,448万人、ベトナムが9,949万人などとなっていますが、こういった国々は今後増加していきますので、日本が追い抜かれるのは時間の問題と言えるでしょう。
そして、日本と同じく韓国や中国でも今後人口が減少していきますので、中国が再びインドを抜くことはないと見られています。日本の出生率は何とか1%代をキープしていますが、韓国は0.7と深刻な状況となっており、大きな社会問題になっています。
一方、今後人口が大きく増加するのが東南アジアや南アジア、中東やアフリカ、中南米などのいわゆるグローバルサウスと呼ばれる国々です。欧米や日本だけでなく、中国の経済成長率も5%程度と落ち込むなど勢いを失うなか、グローバルサウスの中には著しく経済成長を遂げる国々が少なくなく、中間層が増えています。近年、日本に観光に来る外国人は中国人や韓国人、欧米人だけではなく、タイやインドネシアなど東南アジアの国々からも増えていますが、それはグローバルサウスの中で中間層が増えている証です。
人口爆発によって起こる資源・雇用の不足
急激な人口増加は「人口爆発」とも呼ばれています。世界で人口が増えるということは、それだけ食糧や水など人間にとって不可欠な資源が必要になるわけですが、地球温暖化によって様々な弊害が起こるなか、人口増加に見合う分の食糧や水が安定的に供給されるかどうかは分かりません。また、若者の人口が増える分、それに見合う分の雇用が生まれるかというと、これについても現時点では分かりません。人口爆発によって資源の奪い合い、雇用が創出されないことで暴動やデモなどが増えていくことも考えられ、世界人口の増加は決して明るい問題とは言えません。
この記事のPOINT
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①日本の人口は減少しているが、世界人口は増加
②人口が増えているのはグローバルサウス
③人口爆発によって資源の奪い合いや雇用の不足が見込まれる - 記事執筆/国際政治先生
- 国際政治学者として米中対立やグローバスサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。