昨日はできなかったことが急にできるようになるなど、この時期の子どもは毎日めざましい発達を見せてくれます。一方で、他の子と比べて不安になるママ、パパも多いのでは? 気になる1・2・3歳の発達について、じっくり見ていきましょう。
子どもの発達。他の子と比べて不安になっていませんか?
落ち着きがない
ママから離れない
言葉が出ない
なかなか歩かない
「できない」ばかりに注目していませんか?
他の子の発達と比べて「うちはまだできない」と不安になっていませんか? 「なかなか歩けるようにならない」「同じ月に生まれたあの子はペラペラと話しているのに、うちはまだ」「他の子に比べて落ち着きがない」「人見知りが激しい」などと悩む方が多いようです。
歩かないのは、今はハイハイで背筋を鍛えている時期だということ。言葉が出ないように思えても、しっかり話を聞いて言葉を蓄積しています。落ち着きがないというのは、自己主張ができる将来有望な子だと捉えていいでしょう。安心できるママのそばにいたいのは、1~3歳なら当たり前のことなのです。
大切なのは、発達を心から喜ぶこと
子どもの発達において大切にしてほしいのは、「できない」ではなく、「できた」に注目することです。子どもの性格や環境の違いなどの要因によって、発達は人それぞれ大きく異なります。
周りと比べて不安になってしまうときは、1年前、1か月前など過去のその子自身と比べてみましょう。「シールをうまく貼れるようになった」「こぼさずに飲めるようになった」など、きっと発達を感じられるはずです。
そして、その発達を心から喜んであげてください。身近な人が喜ぶことをしたがる時期なので、「もっと喜ばせたい!」と、意欲が更にわいてくるでしょう。
気がかりなことはとりあえず相談を
気がかりなことがある場合は、インターネットで調べて不安を増長させるより、気軽に相談しましょう。
子育て支援センターや保健センター、保育園、かかりつけの小児科などで相談できます。「わざわざ相談に行くのはハードルが高い」という方は、健診や予防接種などで訪れた際に聞いてみるといいですね。
発達の目安カレンダー
1歳から3歳まで、どのように発達していくのでしょうか。順を追って見ていくと、赤ちゃんっぽさが抜けて自分の意思が出てくる、走りまわるようになるなど、心も体もグンと成長するのがわかります。
※● →体の発達 ■ →心の発達
※この表はだいたいの目安です。発達には個人差があるので、この通りではないこともあります。
1歳
● つたい歩きをする
● なぐり描きをする
■ 指さしをする
「他の人に伝えたい」という気持ちの表れ。コミュニケーションの第一歩です!
● 2、3歩程度よちよちと歩く
この時点ではまだ歩行初期。歩行が完成するのは2歳前後です
● ひねって容器のふたを開閉しようとする
● スプーンを持って、すくって食べようとする
■ 「どうぞ」と渡す
■ 「ポイしてきて」など簡単なお手伝いができる
ママ、パパが喜ぶとうれしい、役に立ちたい、という気持ちがめばえます
1歳6か月
■ 「自分の」が出てくる
● スムーズに歩く
● 小走りする
● リズムをとる
■ 人とごっこ遊びややり取り遊びをする
■ 意味のある単語を話す
● 手すりを使って階段を上り下りする
完全に一人で上り下りできるのは4歳以降。それまではおうちの方も手をつないで一緒に!
2歳
■ 絵を見せて「ワンワンどれ?」と聞くと指でさす
● 両足でジャンプする
● ボールを投げる、蹴る
日ごろからやっているかどうかで、できるようになる時期が異なります
● 丸が描ける
● コップで飲む
● スプーンを使って食べられる
● シールを自分ではがして貼る
貼るだけなら1歳半ごろからできるようになります
● 二語文(「まんま食べる」など)が出る
■ 「自分で決めたい」という欲求が強まり、自己主張が激しくなる
いわゆる「イヤイヤ期」。1歳後半から始まる子も
3歳
● 片足で一瞬立てる
● 三輪車をこぐ
■ みたて遊び(積み木を車にみたてる、など)ができる
■ 三語文(「ママおやつとって」など)が出る
1.2.3歳発達のポイント~からだ編~
体の発達には段階があります。その時期その時期で、子どもがやりたがる遊びを思い切りやることが、更なる発達につながります。
1歳
手指を使う動きが発達
つまむ、引っ張る、ひねるなど、手指の動きが発達する時期。小さいものを拾ったり、キャップをひねって開け閉めするなど手や指、手首をたくさん動かして、更なる発達を促すといいでしょう。
2歳
体全体を使う動きが発達
歩行が完成してジャンプもできるようになり、体全体を使う動きが発達する時期です。体力もついてくるので、公園などに出かけて親子で思い切り遊ぶことが、一番の発達につながります。
3歳
協調運動ができるように
体の複数の部分を別々に動かす「協調運動」ができるようになってきます。三輪車や鉄棒、ボール遊びなど、いろいろな動きを混ぜる遊びをするといいでしょう。
1.2.3歳発達のポイント~こころ編~
言葉や人との関わりなど、心も著しく発達します。それぞれの時期の特徴をおさえて、二度と戻らない今の時期の子育てを楽しんで!
1歳
自分と他者の区別がつく
生まれたばかりのころは自分とママを同一視していましたが、自分と他者の区別がつくようになります。相手に共感を求めたり、身近な人の役に立つことをやりたがるようにもなります。
2歳
自立心がめばえ、自己主張が強くなる
「自分でやりたい」と自立心がめばえ、「イヤイヤ」が増える時期。将来しっかりと自分の意思を主張できる人に成長するよう、この時期の自己主張をいい方向に伸ばしてあげましょう
3歳
社会性が生まれ友だちと遊ぶ
同年代の友だちと遊べるようになってきます。みたて遊びもできるので、複雑な「ごっこ遊び」もできるように。遊びを通してコミュニケーション能力など大切な力を養っていくのです。
お話をうかがったのは
保田 典子先生
医療法人財団アドベンチスト会 東京衛生病院・小児科医。2男・1女の3児を育てるママ小児科医として、ブログやLINE@でも情報を発信中。
『ベビーブック』2019年5月号 イラスト/高村あゆみ デザイン/平野 晶 文/洪 愛舜 構成/童夢