「つわり」時期のつらさは「不快感」「食欲減退」と表現されますが、実際の体験談を伺うと、じつに多様な症状と、広い個人差がみえてきます。少しでも栄養を摂りながら、かんたんな調理ですませられるような食事があれば、知りたいところですよね。
「あの時はつらかった」という方も、「今まさに体験の最中!」 という方も、ぜひご覧になってください。
妊娠期間中の「つわり」について
普段からHugkumを読んでくださるメルマガ会員の皆様に向けて、「つわり時期の食事について」アンケートを実施したところ、数多くの回答がありました。
(調査概要:2024年5月21日~6月4日、妊娠経験のある女性589人、HugKumインターネット調査)
「つわり」の有無と傾向
アンケートの結果から、大多数の方がつわりを経験したことがわかりました。
【設問】現在、もしくは過去の妊娠期間中に「つわり」の自覚症状を経験しましたか。
具体的な症状としては、「胃や胸の不快感」が最も多く、「吐き気・嘔吐」からの食欲不振を感じる方も多いようです。
「空腹時に気持ちが悪い」の他、「嗅覚・味覚過敏」などの変化を挙げる方や、「過剰に唾液がわいて口内に唾がたまる」など、様々な不快感が挙げられました。
つわり時期の食欲について
そんな食欲がない中でも、ご自身の体と赤ちゃんへの影響を考えて、わずかでも栄養を摂るよう、工夫を重ねる様子がアンケートから伝わってきます。
【設問】妊娠中の食欲について、どんな傾向がありましたか。[複数回答可]
突出して多かったのは「ゼリーなどひんやりしたものや、のどごしのつるんとしたものを好む」でした。
一方で、個人差の開きが大きいのも、つわりの特徴です。
「ある特定のものばかり好む」
「お菓子やインスタン・食品など、ジャンクな食べ物を好む」
「果物や生野菜など、しゃきしゃきした食感のものを好む」
▼調査データの詳細はこちら
以上のご意見を参考にしながら、ここからは実際に食べやすいと感じた食事を、具体的にみていきます。
実際に食べられていた「そうめん」のレシピ
つわり時期でも食べやすかった食事として、今回注目するのは「めん類」です。
シンプルなそうめん
いただいた回答の中には、「とにかくそうめんには助けられた」との声が、多数ありました。
「そうめん、うどん、そば 」
「そうめんを、めんつゆでシンプルに食べる」
「具のない素うどんや、トマトをとにかく食べていた 」
「具なし」ならなんとか口にできる、との意見だけでなく、さらに上をいく「つゆさえなし」との意見も多数ありました。茹でただけの「味なしそうめん」で、しのぐ姿が目に浮かびます。
そんな中、ごく薄めの麵つゆに、柑橘系の香りをつけて味わう方法が印象的でしたので、ご紹介します。
「そうめんのつゆに、レモンやゆずを絞ってよく食べました。柑橘系の香りで、つらかったつわりも少しだけだけど癒された気がします 。」
「かぼすののった冷たいうどん。」
空腹時に酸味の強い食物を摂ると、胃が荒れがちですが、レモンよりも酸味が優しいかぼす、すだち、シークワーサーといった柑橘類は、より影響を弱められます。
また、あらかじめ、めんだけを少量口にして胃を慣らした後、柑橘を絞れば、食後の不快感が軽減される場合もあります。
その他にも、同じ味に飽きてしまう対策として、参考になるご意見を頂きました。
甘みのある缶詰の果物を利用して気分転換を兼ねるアイデアです。ご参考にしてみてくださいね。
具材の工夫
次に、少量の具材なら食べられた方のご意見もみてみましょう。
「そうめんを梅干しと大葉、めんつゆで食べていました。」
「ミョウガと大葉を刻んでそうめんに混ぜたもの。味なし。」
「そうめんと薬味たっぷり…… 、温かいものにしたり、冷たくしたり……。」
さっぱりとした香味で変化をつけながら、少しでも口にできるものを探して、工夫されたようです。
トマトめんつゆ
トマトなら食べられた、という声も多くありましたので、トマトを漬け込んでトマトめんつゆを作ってみましょう。
市販のめんつゆに、トマトを漬けるだけ。ごく簡単に仕上がるレシピです。パートナーや、ご家族のために用意する一品としても喜ばれますよ。
・材料
(2人分)
プチトマト 10個(普通のトマトの場合は1個)
めんつゆ(2倍濃縮) 200ml
水 200ml
※めんつゆを使わない場合は、こちらの材料を合わせて作ります。
だし汁 400ml
みりん 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
塩 小さじ1
・作り方
【1】トマトは湯むきすることで柔らかくなり、より食べやすくなります。湯むきしない場合は、カットするだけでも、味が染み込みますよ。
トマトのヘタをとります。
反対側は十字に切れ目を入れます。
沸騰したお湯にトマトを入れて、10~20秒程で引き上げます。
すぐに冷水にとって冷ますと、皮がめくれてきます。すべての皮を取り除いてください。
【2】めんつゆと水を合わせ、【1】のトマトを5分程漬け込みます。トマトが漬け液から飛び出す場合は、ラップで覆います。
冷蔵庫で保存し、2~3日程度が保存期限です。作れるときにまとめて作っておくと便利に使えます。
ご家族のためなら、大葉、白ゴマ、オリーブオイルなどのトッピングを加えると栄養価が上がります。その他にも茹でたそうめんのつゆや、冷製パスタの具材としての利用もおすすめ。
くれぐれも無理はせず、口にできそうな方法をお試しください。
冷めんや、その他のめん類
アンケートの回答には、めん類の温度や、食感への配慮についての意見もありました。うどんやそばなど、めんの種類を変えるとことで幅が広がり、また、簡単に作れる点でも選ぶ方が多いようです。
冷と温
ヒンヤリとして細いそうめんと並び、冷たいめん類は、食べやすい食材として筆頭に挙げられた食材でした。
「温かいのが駄目で、冷やしうどんや、ざるそばは食べられました。」
「冷たいそばが食べやすくて好きでした。」
「冷やし中華に、さらに酢をかけた。」
「キンキンの冷麺。」
「梅たっぷりの冷やしうどん。」
「レモン風味に仕上げたフォー。」
「レモンのラーメンなど、酸っぱいもの。レモン水、ベビーチーズ(酸味がわたしには良かった)。とにかく、さっぱりしたもの。」
一方では、妊娠期間中の季節によっては、温めためんを好む方もいます。体を温めるためにも、大いに役立ちます。
「冬の時期だったので、温かいうどんをよく食べていました。トッピングをすると吐き気がしたので、めんとつゆだけでした。」
「かけうどん温泉卵入り。チョコピーナッツ。コーラ。」
「塩ご飯、しょうゆ系ラーメン。」
食感の工夫
次は食感をツルツル、トロトロにすることで、食べやすくしている例を挙げます。
「冷やしぶっかけに、とろろ。そうめんチャンプル。」
「そば、うどん。オクラや山芋をのせた丼。」
調理の工夫
つわり時期の体力減退により、調理自体が負担になる場合も多いものですが、そんな時に役立っためん類の食べ方をご覧ください。
「つわり時期が夏だったので、冷凍うどんをレンジでチンし、水で冷やした冷やしうどんに。チューブしょうがと、めんつゆで食べる。」
「冷凍うどんを解凍してしょうゆをかけ、すだちを絞ったものを食べていました。」
「とにかく簡単な、ざるそば。」
また、市販のドレッシングは手軽に味を変えられるので、体調に合わせて使うとおいしさを味わうことができます。
「そうめん、そば、うどん。めんつゆにしたり、ゴマだれにしたり、その日の気分で変えていた。少しでも栄養が取れるように、ゴマや海苔をかけるようにしていました。
とにかく、わさびが食べたくなって、いつも入れていました。」
「温かいそうめん、トマトパスタ、ピエトロドレッシングをかけたパスタ、梅を入れたお茶漬け 。」
「冷たいうどんと生野菜をお好みのドレッシングで食べる、”冷やしうどんサラダ” 。」
さっぱりとしためん類を、多くの人が食べていた
つわり時期の食事とは、酸味があり、さっぱりとした味付けが好まれる傾向があります。実際の声を聞くと、めん類を多くの人が食べていることがわかりました。まったく食欲がわかない方がいらっしゃる一方、食欲が止まらなくて困惑する方もいるようです。
つわりの症状は人によってさまざま。食べたいもの・食べられるものも人によって違うのが実情ですが、ご自身の体調と相談しながら、食べられそうなものを探して、赤ちゃんを元気に育んでくださいね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)