竹内由恵さん「その時なにより家庭を作りたかったから移住に迷いはなかった」ーー子育ての日々を初の漫画エッセーに。おもしろほっこりなママ目線に共感がいっぱい!

元テレビ朝日アナウンサーでタレントの竹内由恵さんが、Instagramで大人気の育児エッセー漫画をまとめた著書『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』を出版しました。今回は漫画を描くようになったきっかけ、そして元アナウンサーならではの育児のアイデアを伺ったほか、現在暮らしている静岡県での悩みも教えてもらいました。

育児でなにか起きても4コマ漫画に変換すると前向きでご機嫌になれる!

 結婚を機にテレビ朝日を退社し、自身の出身地である東京を離れて旦那さまの地元である静岡県浜松市へ移住。現在は3歳の男の子と1歳の女の子を育てながら、タレントとしても活躍を続ける竹内由恵さん。

今回出版された『なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和』は、Instagramに投稿された育児漫画をまとめた一冊で、日々の育児の裏側をユーモアたっぷりに描いた4コマ漫画、そして正直で飾らない言葉でつづられたリアルなエピソードが大人気です。

――育児漫画を描こうと思ったきっかけを教えてください

 竹内さん 入籍して妊活を意識し始めたとき、友人のはあちゅうさんが妊活漫画を描いていました。自分と同じようなことで悩んでいる姿に共感できて、漫画なので気軽な気持ちで読めたのもよくて、自分も描いてみたいなぁとうっすら思っていました。

その後、静岡に移住したタイミングで仕事も辞めて、これからどうしようかというときに、自分がやってみたいことのひとつが漫画を描くことだったので、始めたんです」

漫画を描くことに関しては「中学生のときに友人と合作でちょっと描いたことがあるくらい。漫画への才能は自分自身に感じず、絵に自信があるというよりは自分の頭のなかにあるコミカルな部分を表現したいと思って始めました」と竹内さん。

――育児漫画を描き続けてきてよかったことはありますか?

 竹内さん 「私のことをテレビで見るだけでは内面まではあまりわからないと思うんですけれど、こういうことで悩んだり、こういう考え方、生き方なんだっていうのがちょっと意外だったっていう風に言われることが多くて。割と等身大な悩みを持ってるんだと感じてもらえたことがすごく良かったなって思ってます。

 子どもとの生活も写真だときれいな感じで残ることが多いですが、自分の実生活を共有する手段として、漫画っていうのは面白かったんじゃないかなって。

回を重ねるごとに「漫画楽しみにしてます」というコメントいただいたりしていて、それがすごく嬉しくて励みになって。ここまで続けることができました」

――育児をしながら「これは漫画にしよう!」とひらめくのですか?

 竹内さん 「何か起きた時に「これはネタにできるかもしれない」「4コマにするんだったらこういう展開に」って考えるのがすごく楽しくて。例えば子どもがなにかをこぼしちゃったとして、その瞬間はわーって騒いで、私も対応に追われるんですけど、一息ついたときにこれはこう書いたら面白いかもしれないってちょっとニヤニヤしちゃって子どもへの怒りも薄れるというか、ちょっとご機嫌になれます」

――特にお気に入りのエピソードを教えてください。

 竹内さん 「面白いなって思ったのは、4コマっていうよりはポンって描いてみたことなんですけど、子どもがチャイルドシートに乗っている横顔がなんだか大仏みたいで、それを漫画に書いたら、「わかります」とか「うちはお地蔵様みたいって思いました」って反響があって。みんなも同じようにありがたいもののように感じたりするんだなって」

このルンバとのエピソードも「うちもそうです」という共感コメントが殺到。育児中のママだからこそ描けるリアルなエピソードばかりで、赤さんの表情も秀逸!

感傷的になりそうになったら優しい声でゆっくり話す

――この本を通して伝えたかった想いはありますか?

竹内さん 「私は子育てしている上で、子どもがすることに感情的になるのではなくて、なるべく温和で穏便に楽しみたいなと思っています。それは逆に言うと結構感情的になってしまうので、ならないようにっていうのは心がけていることですね。

 怒るにしても、感情的に怒るっていうよりはどういう風に言えばいいのか、子どもの気持ちを考えた上で言うっていうのが1番いいなって思ってるので」

11つのことにそんなに悩まなくていいんだなと思えた

竹内さん 「最近、上の子が3歳半になってイヤイヤ期を脱しましたが、イヤイヤ期のときは「もういい加減にして」って言ってしまい、その後また怒っちゃったな・・・って落ち込むこともよくありました。

でもイヤイヤ期も終わると結局落ち着きますし、上の子に関しては3年間子育てしてきて、その時にすごい悩んでも、ちょっと経つと、あっという間に過去のことになるんだなと感じたんです。1つ1つのことにそんなに悩まなくていいんだなっていうのは、今思っていて。なるべく楽しめたらいいなって感じがしますね」

――もし感情的になりそうになったらどうしていますか?

竹内さん 「なるべく優しい声で話します。「それはダメだよ~」って優しく、息を多めに吐きながら言ってみる。あとはあえてゆっくり喋る。ゆっくりしゃべると少し自分も落ち着くし感情も和らぐので、イラーっとしたときほどこの2つは意識していますね」

イライラしてしまったときには、一旦深呼吸をする、などはよく聞く解決法ですが、話し方で対応するというのは声の仕事をしている竹内さんならではの視点。今すぐマネできそうなアイデアです。

 「なんとかなるさ」の気持ちで東京や仕事から離れることにも迷いはなかった

 漫画にはご主人との出会いや、日ごろの夫婦のやり取りについても描かれています。そこで、結婚を機に移住した際の気持ちや静岡県での暮らしについてなど、プライベートなことも聞いてみました。

――静岡県に引っ越しを決める際迷いはなかったのでしょうか? ご自身の地元でもある東京を離れ、子育てが大変になるかもしれないなどの想いはありましたか?

竹内さん 「当時はまだ子どもがいなかったので、そこまで深く考えていませんでした。本のタイトルにもある通り「なんとかなるさ」って。

そのときなによりも結婚して家族を作ることに憧れがあって、一番好きだっていう感情があり、一緒にやっていけそうだなっていう人が現れたので、それを大事にしてとにかく静岡に行く、家庭を築く、それしか頭になかったです。
漫画には気になる旦那さまとの出会いの日を描いた4コマ漫画も。

 

土地勘がなく、学校や習い事などの情報を仕入れにくい苦労も

―― 慣れない環境、住み慣れない場所での子育てはいかがですか?

竹内さん 「子どもが保育園に入る、今後も小学校とか中学校とか色々あると思うんですけれども、土地勘がないので、どの学校がいいとか、そういうことも全く知らないんですよね。どういう習い事がいいとか、そういうのも全く手がかりがなくて、そこはちょっと大変でした。

 知り合いも少ない、そういうことを聞ける友人があまりいない。同級生がいたらその同級生たちが同じように子育てをしてて、この子はあそこ行く、ここに行くとか情報共有もできたと思うんですけど、なかなかできなくて。

 夫の両親、兄弟など限られたコミュニティのなかで情報を仕入れているので、今も情報は少ないほうですね。でも子どものためにも頑張っていろんな情報を仕入れてあげなきゃとはすごい感じています。

そういう意味では友だち作りって本当に大事。自分のためにもですけど、子どものためにも同じような環境の方と仲良くなるのは大事だなって実感しています。今は子どものおかげもあって、子どもの保育園のお友だちや子育て広場で知り合った友だちとか、ゆっくりペースですが少しずつ広がっている状況です」

「夫の家族のネットワークにはすごく助けられています。週末はみんなでご飯したり、大きな家族みたいな感じで過ごしています」
「夫の家族のネットワークにはすごく助けられています。週末はみんなでご飯したり、大きな家族みたいな感じで過ごしています」

 仕事と育児のバランスは日々葛藤!

 現在は、都内で仕事があるときは新幹線に乗って出勤。子育てと仕事も両立されています。

――都内に行く際はお子さんと離れる時間も多いと思いますし、やりくりが大変なのではと予想します。どんなふうにしていますか?

竹内さん 「あらゆることに頼ってなんとかやってるっていう感じですね。基本は保育園に預けられる時間内に東京に来て、お仕事して帰るっていうのがベストだと思っています。

 それができない時もあるので、子どもたちを連れて東京の実家で預かってもらうことも。でも私だけで子どもたちを連れて東京に行くのはものすごい体力を使いますし、ひとりだとできる移動中の作業ができなくなるのでなるべく避けたくて。

そういう意味では、私の帰りが遅い時、保育園のあとは義理の母に預かってもらうのが一番ありがたいなと感じています。義理の母が難しい時は、ベビーシッターさんにお願いしながらやりくりしています」

 ――仕事と子育てのバランスに悩まれたことはありますか?

竹内さん 「しょっちゅうあります。基本的に仕事は週3ぐらいのペースですが、フリーで働いているので偏ることもあって。1週間毎日仕事でほとんど会えないこともあるんです。

そうなると一気に子どもが不安定になってしまって。私も仕事がすごく好きでたくさんやりたいって思うんですが、やっぱり毎日新幹線通勤をするのは厳しいなと感じています。子どもが不安定だと自分も気持ち落ち込んでしまいますし。そのバランスは日々葛藤ですね。

 いただいたお仕事はできれば請けたいので、忙しくした翌週はなるべく子どもとの時間を作ろうとか、週末はたっぷり一緒に過ごそうとか、調整するようにして軌道修正をして、またお互い頑張ろうって。

うちの子の場合は不安定になると明らかに怒りっぽくなるので、変化に気づけるように子どもの表情、しぐさや発言は特に気にするようにもしています」

妹が生まれたときの息子くんの様子。そして働くママの葛藤が描かれたページ。

自分がしてもらったように子どもとたくさん旅行したい

――最後にママとして、竹内さんご自身としての夢はありますか?

竹内さん「ママとしては子どもたちとたくさん旅行に行きたいです。自分が海外に住んでいたとき、親が旅行大好きで、毎週のようにいろいろなところに旅行に行っていました。家族の思い出も旅行が多くて。

それと同じようなことを自分の子どもたちとできたらいいなという風に思っていますし、自分が感動した場所にはぜひ行きたいです。

私のなかで印象的だったのは小学校6年生のときに、車で2週間くらいかけて訪れたグランドキャニオン。本当に見たことのないような美しい景色に感動して、小学6年生ながらに自分ってこんなにちっぽけな存在なんだっていう風に思ったんです。

できる限り、子どもたちが小さい間に行けたらいいなという風に思っています。

個人としては、子どもたちも大きくなってきたので、自分発信で色々挑戦したいです。今回の漫画の書籍化も、これまでやってきたことが形になって自分にとっては嬉しい出来事です。

そのほかにも静岡に引っ越してきてから大好きなコーヒーの焙煎にも取り組んでいて、それをお仕事として、自分が焙煎したコーヒー豆を販売するっていうのを挑戦したいですね。

 努力できるところは自分から努力して、好きなことをなんか突き詰められたらいいなと思ってます」

子育て中のママが共感できるエピソードがいっぱい!

エッセーにはにぎやかな日常だけでなく、小さいな新生児を育てるなかで感じた焦燥感や、切実な授乳事情など、そのときにしかわからない繊細な気持ちも赤裸々につづられています。今子育て中のママだけでなく、子どもが少し大きくなったママもきっと共感できるポイントがいっぱいです。

現在はInstagramでの育児漫画は一旦お休みしているそうですが、今後再開する可能性も。気になった方はこちらの本はもちろん、竹内さんのInstagramもぜひチェックしてくださいね。

竹内由恵さんInstagram→@yoshie0takeuchi

 

なんとかなるさ!ヨシエのとほほ、くすくす日和
出版社:祥伝社
定価:本体: 1,500円+税

 

取材・文/長南真理恵 写真/黒石あみ

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