腸内環境を整え、免疫力を高めるといわれるヨーグルト。「大きいサイズを買ったけど食べ切れない」「冷蔵庫に入れていたのに液体と分離しちゃった」そんな経験は誰しもあるはず。
いま、SNSなどを中心にヨーグルトの保存法が変わりつつあります。冷凍した方が断然、美味しくなると話題沸騰中なんです! 凍らせただけで美味しくなるなんて…。一度、試してみたくなりますよね。
目次
ヨーグルトは冷凍保存ができる?!
「ヨーグルトを冷凍するなんて、考えたこともなかった!」という人は案外多いもの。でも、ヨーグルトは冷凍保存ができます。しかも容器に移し替えることもなく、そのまま冷凍できるので手軽なんです。
冷凍ヨーグルトの使い道もいろいろ。例えば、生肉や切り身の魚などに漬けておけば乳酸菌の働きで肉質を柔らかくすることも◎。スイーツ作りやスムージーにも使えてとっても便利です。
ヨーグルトを冷凍するメリット
メリットは、大きく分けて2つあります。新鮮さを維持できることと、長期保存の実現です。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、生きているので保存温度を低くした方が発酵を遅らせることに。そのため、冷凍保存することで鮮度をよりキープできるんです。また、冷凍すれば1か月ほど保存できます。冷蔵の場合と比べ、保存期間がぐっと延びるのがいいですよね。
ヨーグルトは乳酸菌のかたまり
ヨーグルトは、乳酸菌や酵母の働きで生乳を発酵させて作る発酵食品です。乳酸菌は、腸内環境を整える善玉菌を増やす菌として知られています。
乳酸菌はビフィズス菌が有名ですが、他にもさまざまな種類があるのをご存知ですか? ガゼリ菌やブルガリア菌などもその仲間。乳酸菌といっても1種類ではないのです。
冷凍したら乳酸菌は死ぬ?
乳酸菌は、冷凍してもほとんど死滅することがありません。菌は、休眠状態になって活動が停止されると言われているからです。たとえ、微量の乳酸菌が死滅したとしても他の乳酸菌の餌となって働いてくれるので健康的に問題はないとか。ただしヨーグルト本来の栄養素を丸ごと摂取したいという方は、冷凍せずに食べきるのが無難です。
冷凍ヨーグルトは離乳食には不向き
元々、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌は乳児の便から発見された菌。母乳を飲んでいる赤ちゃんの腸内はビフィズス菌が優勢だといわれている所以ですね。
離乳食としては、中期頃からが一般的ですが、アレルギーの有無と糖分が高めのフルーツ入りなどは要注意。また、冷凍ヨーグルトは、解凍すると水っぽくなる場合もあるため離乳食としてはおすすめできません。
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ヨーグルトの冷凍方法と保存期間
すべてのヨーグルトが美味しく冷凍できるのではなく、ちょっとしたコツや注意点があります。
正しい冷凍の仕方をまとめました。
甘味のあるものはそのまま
加糖やフルーツなどが入ったヨーグルトは、冷凍することでカチカチに凍ります。実は、それが美味しくさせるうれしい特徴! 凍ったヨーグルトを半解凍させるだけで冷たいスイーツに早変わり! いわば、“半生”タイプのなめらかな口溶けに仕上げてくれるのです。
無糖ヨーグルトは甘味をつけてからがおすすめ
加糖ナシのプレーンヨーグルトは、冷凍には向いていません。水分が分離して元のなめらかな状態に戻らないからです。この場合は、冷凍前に甘みをプラスしてあげるのがポイント! 砂糖やジャムなどで濃い目に味つけすれば、加糖のヨーグルト同様においしく冷凍できます。
冷凍ヨーグルトの解凍方法
次に冷凍したヨーグルトの上手な解凍について、いくつかご紹介します。
自然解凍
冷凍庫から取り出して、常温にしばらく放置しておくだけで簡単に自然解凍することができます。表面さえ解凍できれば、あとはスーッとスプーンが入るほど。まるでシャーベットのような口当たりが楽しめます♪
また、冷蔵庫で自然解凍したヨーグルトは、多少もろっとした印象はあるものの大きな変化はナシ! 冷凍前の状態にほぼ戻っているのが驚きです。
レンジで解凍
完全に解凍させたい場合は、電子レンジの「解凍モード」などを使ってください。さらに加熱後にスプーンでザクザクと潰しているうちに完全解凍できます。美味しさも変わりません。
凍ったままスムージーにする
冷凍ヨーグルトを冷凍庫から取り出して半解凍にしたら、スムージーはいかが? 好みの果物を加えて、ハンドミキサーなどで攪拌したら完成です。
通常、スムージーは果物を凍らせて作りますが、筆者のおすすめは常温の果物と冷凍ヨーグルトを使ったバージョン! 冷たすぎずフルーチェのような口当たりになります。簡単ですし、無添加なので、お子様にも◎
水切りヨーグルトは絶品アイスに!
いま、水切りヨーグルトを使ったひんやりスイーツも大人気です。市販のプレーンヨーグルトを使って、簡単に水切りヨーグルトを作ることもできます。
水切りヨーグルトとは?
その名の通り、水切りヨーグルトとは「ヨーグルトの水気を切った状態のもの」。ヨーグルトを漉すことで液体(ホエイといいます)と固体が分かれます。残った個体が水切りヨーグルト。放置時間の長さで、まるでカッテージチーズのような濃厚さに仕上がります。
水切りヨーグルトの冷凍方法
まず、水切りヨーグルトを作ります。ボウルにザルを置き、その上にキッチンペーパーをのせたらヨーグルトを注ぎます(少量でよい場合は、写真のように茶こしやコーヒーのドリッパーを使うと便利)。そのまま、ふわりとラップをかけて冷蔵庫で半日~一晩ほど置いておくだけで水切りヨーグルトのできあがり。冷凍保存は、冷凍用の保存容器などに入れ替えて冷凍するだけです。食べる時は、半解凍してそのままどうぞ! まるで濃厚なアイスクリームのようです。
<水切りヨーグルトの作り方>
ギリシャヨーグルトやカスピ海ヨーグルトは冷凍できる?
ギリシャヨーグルトやカスピ海ヨーグルトも冷凍することは可能です。ほかのヨーグルトと同様に加糖入りのタイプなら冷たいスイーツとして楽しめます。もし、種菌を摂取することが目的なら、プレーンヨーグルトを選ぶとよいですね。また、解凍する場合は、電子レンジは使わないこと。熱により、種菌が死滅してしまうため注意しましょう。
冷凍ヨーグルトは、保存を長くするだけでなく、凍らせるだけで美味しいスイーツになるところも魅力。ぜひ、いろいろと試してみてくださいね!
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・発酵食スペシャリスト)
ヨーグルトを使ったおすすめレシピ
注)冷凍ヨーグルトをスイーツに使う場合は、食感が多少異なる場合もあります。
【1】マンゴーヨーグルト スムージー
ミキサーなしで手軽に作る、マンゴーとヨーグルトだけの簡単デザート。
◆材料
(コップ2~3杯分)
マンゴー(缶詰) 150g
【A】
プレーンヨーグルト 1/3カップ
牛乳 1/3カップ
砂糖 大さじ1
◆作り方
【1】冷凍用の保存袋にマンゴーを入れ、空気を抜いて口を閉じ、袋の外から手でもんでつぶす。【A】を加え、よくもんで混ぜる。
【2】【1】を平らにならし、袋ごとバットなどにのせ、冷凍庫で3時間以上凍らせる。
*食べるときは室温に20分ほどおき、袋の上から手で割ってもむ。グラスに入れ、固めの状態ですくって食べたり、溶かしてストローで飲む。
教えてくれたのは
市瀬悦子さん
フードコーディネーター、料理研究家。テーマは「おいしくて、作りやすい家庭料理」。NHK Eテレ『すすめ!キッチン戦隊クックルン』の料理も監修。
『ベビーブック』2014年8月号
【2】バナナヨーグルトアイス
生クリームとヨーグルトを固めるだけの簡単アイス。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
バナナ 1本
プレーンヨーグルト 100cc
【A】
生クリーム 100cc
砂糖 大さじ3
◆作り方
【1】バナナはフォークなどで軽くつぶす。
【2】ボウルに【A】を入れて泡立て器でとろりとするまで泡立て、ヨーグルトと【1】を加えて混ぜる。
【3】密閉容器に移し、冷凍庫で5~6時間冷やし固める(途中で一度、フォークなどでざっくり混ぜるとよい)。
【4】スプーンなどですくって器に盛り、好みでバナナチップやクッキーを飾る。
教えてくれたのは
鈴木薫さん
身近な食材で簡単に作れて、おいしくて、センスのいいレシピ が人気。双子の女の子と男の子のママ。
『ベビーブック』2015年7月号
【3】ヨーグルトクリームのティラミス風
カップの中でいろんなおいしさが層を成す♪ ヨーグルトクリームだからさっぱりしていていろいろなフルーツと相性ピッタリ!
◆材料
(作りやすい分量)
プレーンヨーグルト 200g(約1/2パック)
ハチミツ 20g(約大さじ2)
生クリーム 100ml
パイナップル(缶) 3枚
パイナップル缶のシロップ 適宜
フィンガービスケット 約8~10枚
ココア 適宜
◆作り方
【1】ざるにペーパータオルを敷いてヨーグルトを入れ、水受け用のボウルに重ねる。表面にラップをして、冷蔵庫で3時間~一晩おいて水切りをする(水切り後のヨーグルトは約半量の重さになる)。
【2】【1】をボウルに入れ、ハチミツを加えて混ぜ合わせる。
【3】別のボウルで生クリームを九分立て(短い角が立つ感じ)までホイップし、【2】のボウルに加えて全体をムラなく混ぜ合わせる。
【4】パイナップル缶を果肉とシロップに分け、果肉3枚は各8等分に切る。
【5】ビスケットを器に合わせてカットし、【4】のシロップに浸す。
【6】器に【3】→【4】の果肉→【5】の順に入れ、再び【3】に戻る。これを器の大きさに合わせて繰り返し、最後が【3】になるように入れたら冷蔵庫で1時間以上、全体の味がなじむまで冷やす。食べるときにココアを表面に茶こしでふるい、パイナップル(分量外)を飾る。
教えてくれたのは
柳瀬久美子さん
フードコーディネーター。 1988年から4年間フランスで修業し、エコール・リッツ・エスコフィエ・ディプロマを取得。帰国後、広告・雑誌のフードコーディネート、企業や店舗のメニュー開発など幅広く活躍。自宅で教える少人数制のお菓子教室も人気。
『めばえ』2017年8月号
構成・文/HugKum編集部