「突然学校が休み、学童も給食もストライキ」日本での子育てに限界を感じて3児とフランス移住。そこで直面した親としての試練…

フランスで子育てをしていると、 予定が思い通りに進む日は、あまり多くありません。フランスの学校は休みがとても多く、そのたびに、親は仕事や生活の段取りを考える必要があります。それだけでも大変ですが、実際に暮らしてみて感じるのは、「一番困るのは、休みの多さそのものではない」ということでした。
最も手ごわい敵は、フランスではごく当たり前に行われている「ストライキ」です。
先生たちのストライキによって、急に学校が休みになることもあれば、学童や給食だけが突然使えなくなることもあるのです。
今回は、そんなフランスの学校生活に欠かせないストライキの実態と、それが親の日常にどんな影響を与えているのかを、実体験を交えながら書いていきます。

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そして忘れてはならない「ストライキ」

フランスのお家芸といえば、やはりストライキ。空港で飛行機が飛ばない。電車が止まる。お店が閉まる……。旅行者としてフランスを訪れたことがある人なら、一度は苦い思い出があるかもしれません。これは住んでいる人にとっても同じ。

そして、学校の先生たちも、ストライキをします。

フランスで暮らし始めて不思議だったのが、ストライキが起きる曜日が、ほぼ木曜日に集中していることでした。最初は偶然かと思っていたのですが、これにはちゃんと理由があります。

フランスでは、ストライキを行う場合、少なくとも2日前までに告知をしなければなりません。そして、水曜日はもともと学校が休みです。

  • ・月曜日に告知 → 2日後は水曜日(もともと休み)
  • ・水曜日は学校が休みなので告知できない
  • ・金曜日に告知 → 2日後は日曜日(学校は休み)

そうなると、火曜日に告知して、木曜日にストライキという流れが、いちばん現実的になります。必然的に、木曜日が「ストライキの日」になりやすいのです。

もうひとつ理由があります。水曜日は先生たちも休みなので、水曜と木曜をつなげて2連休にできるんだとか。

ちなみに、ストライキ中は給料は出ません。先生たちにとっても、決してノーリスクではありません。それでも、「何かを訴えたい」という意思表示として、ストライキが選ばれる。要求の内容は、「給料を上げてほしい」「休みを増やしてほしい」といったものが多いです。

また、ストライキといっても、幼稚園や小学校全体が一斉に休みになるわけではありません。参加するかどうかは先生ごとに違うため、クラス単位で対応が分かれます。

先日、次女が通う幼稚園でもストライキがありましたが、8クラスあるうち、ストライキをしていたのは3クラスだけでした。

幼稚園の扉に貼られた、ストライキの予告文

連絡帳に書かれたり、扉に貼られたりするのですが、うっかり見逃してしまうと大変なことになります。そのため、ママ同士で「明後日、ストライキらしいよ」というリマインドメッセージが飛び交うことも。

私は、こちらに来てから何度もこの状況を経験し、キャンセル料が発生する予定や、子どもを連れて行けなさそうな用事は、なるべく木曜日に入れないようになりました。

2日前に告知があるとはいえ、正直、なかなか辛いものがあります。

学童も給食も、ストライキをする

ストライキの厄介さは、先生だけに限りません。

学童(centre de loisirs)のスタッフも、ストライキをします。

その場合、朝の預かりや、放課後の受け入れは中止。授業時間中しか子どもを預かってもらえなくなります。参考までに、普段の時間はこんな感じです。

  • ・朝の預かり:7時30分〜8時10分
  • ・授業時間:8時20分〜16時30分
  • ・夕方の預かり:16時30分〜18時45分

これは幼稚園も小学校も同じです。朝夕の預かりがなくなるのは痛いですが、それでも「学校自体が休み」になるよりは、まだましだと思っています。

確実に困るのが、給食スタッフのストライキです。

フランスでは、11時30分〜13時30分がお昼休み。給食費を払えば、学校で給食を食べることができますし、払っていない場合は、一度家に帰るのも自由。ところが、給食のスタッフがストライキをすると、学校で給食を食べることができません。

そうなると、お昼ごはんを食べさせるために、いったん子どもを家に連れて帰り、また午後の授業に合わせて送り届ける。ここで、追加の送り迎えが発生します。時間的にも、体力的にも、「これは地味に痛いな……」と感じます。

日本にいた頃、学校関係でストライキに悩まされることは、もちろんありませんでした。
それが良いか悪いかは別として、仕事の予定は、圧倒的に立てやすかったと思います。

親は大変、でも子どもは学んでいる

ストライキは、親にとっては正直かなり大変です。予定は崩れるし、調整は増えるし、精神的にも消耗します。「せめてもっと前に分かっていれば」と思うことも、一度や二度ではありません。

けれど、そんな日々の中で、子どもたちは子どもたちで、何かを学んでいるようにも感じます。

先生たちが、「嫌なことは嫌だ」と声を上げる姿を目の当たりにして、子どもたちも、日本にいた頃より、自分の気持ちを言葉にするようになりました。「僕は行きたくない」と、理由も含めて、はっきり主張してくることが増えたのです。

もちろん、親子で衝突する場面も増えました。「ママも仕事や予定を入れていて、どうしても行ってくれないと困る」と訴えますが、一筋縄では行きません。

「大人の言うことは聞くもの」という上下関係を学校で学んでいないため、親も子どもも対等な立場で話し合い、納得できる落としどころを探さなくてはならないのです。

それは簡単なことではありませんが、親である私自身も、「説明すること」「交渉すること」を日々学ばされている気がします。「嫌なことは嫌だと言っていい」。でも同時に、「じゃあ、どうするかを一緒に考える」と。

その感覚を、親も子どもも少しずつ身につけているのだとしたら、この大変さにも、意味はあるのかもしれません。

フランスの長いバカンスとストライキは、子どもにとっては自由の象徴であり、親にとっては試練そのものです。

その両方を抱えながら、今日も胃が痛くなりながら、何とかやりくりしています。

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この記事を書いたのは

綾部まと ライター・作家

三菱UFJ銀行の法人営業、ユーザベースのセールス&マーケティングを経て独立。ビジネスやマネーの取材記事から、恋愛小説まで幅広く執筆。2025年よりフランスに拠点を移し、フランス企業の日本進出支援(ローカライズ)やフィクションの翻訳にも携わる。3児の母。

X:@yel_ranunclus
Instagram:@ayabemato

写真・文/綾部まと

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