5歳でおねしょするようになった…これは夜尿症?
子供が大きくなっても幼いうちから続くおねしょが治らなかったり、おねしょはしていなかったのにある時突然おねしょをするようになったら…。5歳になってもおねしょが続く…これは夜尿症なのでしょうか。まずは、おねしょと夜尿症の違いについてチェックしてみましょう。
おねしょと夜尿症の違い
おねしょと夜尿症は、どちらも寝ている間に無意識におしっこをしてしまうことを言います。ただ違うのは、「年齢」にあります。幼児期の場合は「おねしょ」と呼び、5~6歳頃になってもおねしょが続く場合は「夜尿症」と呼びます。5歳以降の子供で、週に1~2回以上のおねしょが続くようであれば、夜尿症であると言えるでしょう。
意外に多い、夜尿症の子供たち
夜尿症を抱える子供の数は意外と多く、6歳で10人に1人、10歳でも20人に1人くらいと言われています。これは、小学生になっても夜尿症が治っていない子供は全国で25万人近くになる計算です。多くの子供が幼いうちに、オムツを履かなくてもおねしょしないで夜眠ることができるようになる一方で、おねしょを繰り返してしまう子供もいるのが事実です。
受診は小児科で
子供がおねしょをするのは当たり前のことで、自然と治っていくと思っている方もきっと多いはずです。夜尿症に悩む子供が多いことからも、「病気ではないから」と言って、そのまま様子を見ている家庭が多いかもしれません。しかし、何もしないままだと、夜尿症が治る子供はわずか1割ほどとも言われています。そのため、医療機関に相談して適切な治療を行うことが大切です。
成人の夜尿症もありますが、子供の場合は子供に適した処置や生活の見直しが必要になりますから、病院に行く場合は小児科で相談するようにしましょう。
子どものおねしょや夜尿症に関するママパパの体験談
HugKumでは、3~12歳のお子さんがいるママパパに子どものおねしょや夜尿症についてアンケート調査し、体験談を教えてもらいました。
おねしょが治らない…夜尿症の原因
では、幼児期のおねしょや5歳を過ぎた夜尿症の原因には、どんなことが考えられるでしょうか?
ストレスから
子供が半年から1年以上おねしょをせずに寝ていたのに、ある時からおねしょをするようになったとしたら、心理的なストレスが原因となる場合があります。人の感情をコントロールしている脳の視床下部は、自律神経と深くつながりがあるため、強いストレスを感じると自律神経のはたらきが鈍り、おねしょや夜尿症を引き起こしてしまうことがあります。
特に子供が5歳以上と大きくなると、夜尿症であることに対して子供が自信をなくしたり、精神的なストレスを感じたりして、よけいに夜尿症の治りを長引かせてしまうことも考えられます。
子供は膀胱が小さいから
幼いうちに子供がおねしょをしてしまうのは、子供の膀胱が小さいことも一因です。膀胱が小さいということは、ためられる尿の量が少ないため、おねしょをしてしまいます。ただ年齢とともに膀胱も大きくなり機能も発達していくと、昼間よりも多くの量の尿を夜の間ためることができるようになり、4~5歳頃になれば夜にトイレに一度も行かなくても過ごせるくらいおしっこがためられるようになります。
規則正しい生活を送っていないから
夜寝る時間や朝起きる時間が乱れていると、子供がぐっすり眠ることができず、睡眠不足やホルモンバランスの乱れにつながります。
すると、寝ている間に膀胱におしっこをためることもうまくできなくなります。規則正しい生活リズムと食生活の見直しは、子供のおねしょや夜尿症の改善につながっていくでしょう。
夕食から就寝までは水分をとらないようにすること、また、塩分をとりすぎると、のどが渇き水分もたくさんとることになるため、注意が必要です。
さらにベッドに入る前は、トイレに行く習慣を身につけていくことも大切です。
夜尿症の治療法
病院やクリニックで子供の夜尿症を相談すると、どんなふうに夜尿症の治療が行われていくのでしょうか。
まずは、子供の尿検査と問診が行われ、内臓そのものの疾患の可能性がないかなどの確認ののち、その子の夜尿症の原因にどんなことが考えられるか見極めていきます。
その後、それぞれの子供にあった治療法が行われていきます。ここでは、主に3つの治療法をご紹介しましょう。
また夜尿症を治そうと思うとき、最も大切なのは、子供に対してママ&パパが焦ったり怒ったり、夜に起こしたりしないことです。親にしかられていると、子供は自分を責めてよけいにストレスを感じてしまい、なかなか治りにくくなってしまう、といった悪循環を生じさせてしまうかもしれません。
治療の取り組みにおいて、子供が約束を守ったり、夜尿しなかったりした日は、しっかりほめてあげるようにしましょう。
生活改善
夜遅くまで子供が起きていたり、不規則な生活は夜尿症を悪化させる原因につながります。規則正しい生活を送り、1日3食を決まった時間にとるようにするなど、生活面での指導が夜尿症での治療の第一歩です。
そのほか、水分や塩分量の摂取や、就寝前にトイレに行く習慣をつけること、体を冷やさないようにすることなどの指導を受けます。毎日の生活リズムを見直すために、日々の生活や食事などについて日記として記録をつけていくことも有効です。
アラーム療法
夜尿症は、寝ている間に無意識でおしっこをしてしまうことです。そこで、寝ている間のおしっこをアラームによって気づかせる方法が「アラーム療法」と呼ばれるものです。
水分を感知するとブザーがなるセンサーを下着につけ、それを履いて寝るようにします。すると、寝ている間におしっこをしてしまうと、ブザーがなり目が覚め、おしっこをしていたことを自覚できるのです。この療法によって、やがて夜間の保持できる尿量が増えたり、夜間の尿量が減少したりして、夜尿症を治すことにつながっていきます。
薬物療法
生活改善を進めていき、場合によっては、その経過を見て薬物による療法が取り入れられることもあります。薬物療法では、尿を濃くして尿量を少なくさせる「抗利尿ホルモン薬」のほか、膀胱の機能を安定させて膀胱に多くの尿をためられるようにする「抗コリン薬」、 抗利尿ホルモンや抗コリン作用にはたらきかける「三環系抗うつ薬」などのうちから、年齢や夜尿症の状況にあわせて処方されることとなります。
夜尿症は病院で適切な治療をすれば、必ず治せる病気
おねしょや夜尿症は、「年齢とともに自然に治るものだから」と考えられ、また体に悪影響を及ぼすものではないことから、そのままにされるケースがとても多いです。
ただ、子供が5歳以上と大きくなって、さらに小学校に入るようになったら、夜尿症によって子供が自信をなくしたりストレスを抱えたり、心理面に影響を与える可能性もあります。
夜尿症は自然経過を見るより、医療機関で治療をした方が、早く治っていくものです。年齢やその子供の夜尿症の状態をヒアリングして、その子にあった適切な治療を受ければ、きちんと治って卒業できます。また生活面や食事面、メンタル面でのママ&パパのサポートも大切です。
もし5歳以上の子供が夜尿症に悩んでいるのなら、早めに医療機関に相談してみることをおすすめします。
1976年生まれ、埼玉県出身。2002年聖マリアンナ医科大学卒業。2006年からは山王病院の新生児科医長務める。2010年に北浜こどもクリニックを開院。2012年医療法人社団ペルセウス設立。The Japan Times誌の「アジアのリーダー100人」に、2015年から3年連続選出されている。北浜こどもクリニック
こちらの記事も
文・構成/HugKum編集部