HugKumでは新連載【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士座談会』をスタートしました! 子育て中のみなさんへ現役保育士さんの声をどんどん届けていきます。
今回は「子どもが喜ぶ保育園のおやつ」について、保育園の栄養士さんと保育士さんに語ってもらいました。仕事や育児に追われていると、毎日の食事を作るだけでも精いっぱい! でも、子どもがお腹を空かしているときに、スナック菓子を与えるのは気が引けることもありますよね。そこで、子どもの成長に合わせたおやつや、保育園で人気のメニューについてお聞きしました。
お話を伺った先生(保育士:エプロン着用、栄養士:白衣着用)
おやつ≠お菓子。おやつは、「補食」です
大人にとって、おやつはお菓子の意味合いが強く、リフレッシュや楽しみの要素が多いですよね。では、育ち盛りの子どもにとっての、おやつとはどんな意味を持っているのでしょうか。
Q.そもそも、おやつはどんな役割があるのですか?
黒澤先生:子どもは胃が小さく、3回の食事では必要な栄養が摂り切れません。そこで、おやつは食事の一部として考え、摂り切れない栄養を補う(補食)、重要な役割があります。
保育園では軽食のイメージで、おにぎりやジャムパン、やきそばなども出します。足りないカルシウムを補うために、牛乳をつけることも多いです。ただ、幼児(3~5歳児)になると、おやつは“たのしみ”の要素も必要ですよね。見た目も楽しいものにしたり、工夫をしています。
Q.どんなものを出していますか? 年齢別に教えてください
黒澤先生:0歳児さんは、柔らかく、手づかみ食べができるもの。やわらかい蒸しパンや、やわらかいスコーンなどです。おにぎりの日は0歳児だけ小さなサイズにしたり、パンの日はスティック状にするなど形状を変えています。
乳児クラスでも1~2歳児になると、よく噛んで欲しいので、0歳児より硬めのメニューが増えます。例えば、かりんとう風おやつ。食パンに溶かしたバターと黒糖(※)を塗ってトースターで長めに温めると、カリカリになるんです。揚げていないので、市販のものよりヘルシーですよ!
※黒糖……ボツリヌス菌を含むため、0歳児には与えてはいけません。1歳未満のお子様はグラニュー糖で代用してください。
幼児クラス(3~5歳児)は、色々なことができるようになってくるので、食育の一環で考えます。例えば、おにぎりを自分で作る活動や、自分で育てた野菜を使うなどするとよく食べます。
天野先生:私の園では、食育として、午前中にみんなで「五平餅」を成形。お昼寝の間に栄養士さんが焼いてくれて、それを楽しみに起きてくるという活動もありましたよ! 五平餅は、ご飯をつぶしたものなので、0歳児も食べられます!
片桐先生:私の園では、おやつで〝手先を使う練習〟をしています。あえて、蒸しパンをアルミカップに入れて作り、それをはがして食べてもらうなど。
今日のおやつは「焼き芋」でしたが、皮をつけたまま出しました。1歳くらいだと、皮をむいてあげた方が食べやすいかなと思いますが、がんばって自分でむいていましたよ!
保育園のおやつレシピ「五平餅」
(材料)5人分
精白米 180g
みそ 大さじ1
みりん 小さじ2
白ごま 大さじ1
砂糖 大さじ2
(作り方)
- みそ・砂糖・みりんを合わせて火にかけ、合わせ味噌をつくる。
- 炊いた精白米をつぶして丸め、フライパンなどで両面を焼く。
- 合わせ味噌を塗り、白ごまをふりかけてさらに焼いたら出来上がり。
保育園で人気のメニューは、意外と地味なメニュー
せっかくなら子どもに喜んで食べてほしいと思うのが親心なのですが、保育園ではどんなメニューが人気なのでしょうか?
Q.子ども達が喜ぶ人気のおやつを教えてください
天野先生:たくさんありますが、特に人気なのは「納豆チャーハン」ですね! 私も大好きです(笑)。
一同:〝納豆〟はみんな好きだよね~。
筆者:納豆チャーハン⁉ 意外です! どんなチャーハンですか?
片桐先生:納豆チャーハンは、納豆の粘りを洗って取り除き、納豆の他に、ひき肉やネギ、ゴマを入れて、納豆に付いているタレは使わずに味付けをします。
片桐先生:園児を見ていて思うのは、結局シンプルなものが好きということ。「茹でトウモロコシ」とか、今日の「焼き芋」も良く食べていましたし……。
一同:分かります!
篠先生:毎年、5歳児に給食のリクエストを聞くのですが、人気なのは「おからクッキー」、「シュガートースト」、「たまごサンド」などが上がり、シンプルで家でも食べていそうなものが好きなんだなぁと感じます。
天野先生:確かに、家庭的なおやつって人気ですよね。例えば「ジャムパン」のとき。テンションマックスでしたね~(笑)。焼いていないパンにジャムを塗ったものですが、大喜びでした♪
片桐先生:逆に、手の込んだものは残されることが(苦笑)。例えば、ごはんをデコして顔を付けたら、怖いとか、かわいそうで食べられないとか言われて……。
保育園のおやつレシピ「おからクッキー」
(材料 こども4人分)
小麦粉 80g
バター 16g
砂糖 32g
卵 16g(Mサイズの卵1/3)
おから 30g
バニラエッセンス お好みで
(作り方)
- 小麦粉はふるっておく。
- 卵を溶く。
- バターをクリーム状によく練り、砂糖を加えてよく混ぜ、2・おから・1の順に混ぜ合わせる。
- 生地を丸めて好きな形に成形する。180度に予熱したオーブンで8~10分焼く。
Q.特別なおやつを作ることもありますか?
天野先生:うちの園では、月に1度の「お誕生日会」の日は、その日に読む〝絵本〟に合わせた、「絵本献立」にしてもらっています! また、5月はこいのぼり、10月はハロウィンなど季節を取り入れたメニューのおやつもあります。
篠先生:うちの園でもお誕生日会の日は、手の込んだおやつを出します! 盛り上がりますが、よく食べるかは別の問題……。結局、「じゃがいも餅」とか、そういったシンプルなおやつの方が良く食べるんですよね(苦笑)
片桐先生:そうそう。「しらすおにぎり」とかね♪
子どもは「シンプルなおやつ」が好き。がんばり過ぎなくてOK
栄養士さんや保育士さんのお話を聞いて、子どもはシンプルなものが好きなのだと気付かされました! 手作りおやつと聞くと一見ハードルが高いと思われがちですが、ジャムパンやおにぎりで大喜びなら、今日から実践できそうです。
【後編】では、野菜不足を解消できるおやつや帰宅中に「おなか空いたー!」にも慌てない! 最速&夕飯に響いても気にならないおやつレシピも伺ったので、ご紹介します。近日公開予定ですので、ぜひそちらも参考にしてください。
バックナンバー
「現役保育士だから分かる子どもが喜ぶ絵本とは?」というテーマで、絵本へ興味を持たせるテクニックなどをお話いただきました。
文・構成/寒河江尚子 協力/小学館アカデミー保育園