HugKum編集部は、子育ての悩みをママ代表として有識者に伺い、記事にしていく企画に力を入れています。先日の会議では、ママライター達から「保育園の連絡帳ってどんなことを書けばいいの?」と素朴な疑問が上がったことから、早速「小学館アカデミー保育園」に保育園の連絡帳の書き方について取材決行。記事を公開するやいなや、その月の人気記事として上位にランクインし続ける結果になりました。
そこで、HugKum編集部では、子育て中のみなさんへ現役保育士さんの声をどんどん届けていきたいと、新連載【教えて!保育士さん】シリーズとして『保育士座談会』をスタートすることに! 第一回は、「現役保育士だから分かる子どもが喜ぶ絵本とは?」について、大いに語ってもらいました。また、絵本へ興味を持たせるテクニックなどもお聞きしましたので、前編・後編に分けて紹介します。
【お話を伺った先生】
目次
乳児クラスはオノマトペが鉄板!
初めに、今日集まっていただいた保育士さん一人一人にイチオシの絵本を伺ったところ、読み聞かせをする絵本は、乳児さん(0~2歳)と幼児さん(3~6歳)とでは、異なる種類の絵本を選ぶとのこと。年齢にピッタリ合う絵本を、教えてもらいました。
Q、乳児さんにおすすめの絵本を教えていただけますか?
大澤先生:乳児さんは、トントンの様に音を表す擬音語や、ドキドキの様に状態を表す擬態語の総称「オノマトペ」が入っている絵本が大好きですよ!
特に、乳児さんに人気の絵本は『もこもこもこ』。これはどの園の乳児さんもハマりますね~。
音の響きや鮮やかな色が興味を惹くというのもありますが、なんと言っても繰り返す内容を予測するのが面白いよう。
【1】『もこもこもこ』
大澤先生:他には、『もいもい』や『ごぶごぼごぼ』もオノマトペの絵本で人気です!
【2】『もいもい』
【3】『ごぶごぶ ごぼごぼ』
増山先生:そうそう! 私は今0歳児クラスを担当していて『もこもこもこ』のほかに、同じくオノマトペの『じゃあじゃあびりびり』も大人気です。
【4】『じゃあじゃあびりびり』
増山先生:あ、あと! オノマトペではないのですが、乳児さんには<だるまさんシリーズ>も外せません!
一同:激しく同意
大澤先生:そうそう、それもあった!「『だ・る・ま・さ・ん・が』と読み出すと、誰かが言い出したわけでもなく、みんな、だるまさんと一緒に〝どてっ〟と転んだり、体を揺らしたり、立ち上がってビローンと伸びたり。とにかく大盛り上がりしますよね~。
【5】『だるまさんが』
だるまさんシリーズは、他にも『だるまさんと』『だるまさんの』もあります。
山根先生:私は個人的にも大好きな作家さんの<tuperatuperaシリーズ>押しです。特に、『しろくまさんのパンツ』は1歳ごろの読み聞かせにおすすめなんですよ!
【6】『しろくまのパンツ』
山根先生:読み聞かせ方は、まず絵本の帯が〝パンツの形〟(!)をしているので、パンツを脱がせるところから始めるんです。たまに、自分にあててみたり(笑)
1歳は、ちょうど自分で着脱をがんばりだす時期なので、この絵本がいいきっかけになるんです。
梅沢先生:うちの園では、1歳児さんは『おばけだじょ』という本がブーム。語尾に「~だじょ」とつくのが面白いようで、ちょっと怖い内容なのに「読んで! 読んで!」と持ってくる子が多いですよ~。
【7】『おばけだじょ』
山根先生:分かります。うちの園でも『こわめっこしましょ』は絵がリアルでとても怖いはずなのに子どもたちに「読んで!読んで!」と催促されます。怖いもの見たさですかね⁉
【8】『こわめっこしましょ』
幼児クラスの子どもには、メッセージ性がある絵本を
なるほど、乳児さんは、「オノマトペ」が大好きなだけではなく、まねっこが楽しめるものやちょっぴり怖い本も好きなんですね! では、幼児さんに、読み聞かせするときはどんな点に注意して絵本を選んでいるのでしょうか。
Q.幼児さん(3~6歳)におすすめの絵本を教えてください!
大澤先生:幼児さんには、〝メッセージ性〟がある絵本を選ぶと良いでしょう。
メッセージ性がある絵本で、私がイチオシしたい絵本は『くれよんのくろくん』シリーズ。
4歳頃は友達とのつながりが大事になってくる時期なので、誰かを仲間外れにしてしまった時、この絵本を読むことで友達の大切さを感じ取ってくれるかなと思うからです。
【1】『くれよんのくろくん』
大澤先生:あとは、『あしたもともだち』など、<ともだちシリーズ>もメッセージ性が強いので、よく使用します。
喧嘩した時に何と言ったらいいのか、ゲームで負けて悔しい時にどんな振る舞いをしたらいいのかなど、言葉に出さずとも伝えられるのが絵本の良いところなんです。
【2】『あしたもともだち』
読み聞かせに、声色・抑揚はNG⁉
筆者には4歳と6歳の息子がいますが、絵本の読み聞かせをしていると途中で飽きてしまうことも。なので物語の世界へ惹きつけようと必死でセリフの部分の声を変えたり、調子を上げ下げしたりして工夫しているのですが、このやり方は正解なのでしょうか?
Q.絵本を読み聞かせするとき、声色を変えたり、抑揚をつけたりして読むべきですか?
一同:保育士の研修では、子どもの想像力を妨げないよう、抑揚をつけずフラットに読むように、と指導されているんですが、声色を変えたり、抑揚をつけたりして読むのもアリ!
大澤先生:これ、私も皆さんに聞いてみたいことでした(苦笑)。私は時として抑揚をつけたり、演出してしまうので……。
一同:そうそう! 声色を変えたり、抑揚をつけたりして読むのもアリアリですよね。
増山先生:あと、物語の途中で止めるのも避けた方が良いそうですよね?
でも、子ども達は「先生!ワンワンだね!」などと声をかけてくれると少し止めて、コミュニケーションを楽しむこともします。
家庭でも、絵本はお父さんやお母さんとのコミュニケーションのひとつとして、家ごとの色を大事にしていいと思います。
大澤先生:私の母は元演劇部だったこともあり、七色の声色を使って臨場感たっぷりに読んでくれていたんです(笑)。
母の楽しい読み聞かせのおかげか、私は本が大好きになりました。小学生のとき、図書館に通ってたくさんの本を読んでいましたね。
読み聞かせは、「構え方」も大事
読み聞かせで、声色や抑揚は基本NG!だなんて、初耳でした! ほかにも、読み聞かせをするときに注意した方が良い点はあるのでしょうか。
Q.読み聞かせをするときに、気を付けるポイントはありますか?
増山先生:本の持ち方ですね! ページをめくる時に手で絵本の世界を遮らないような構え方をします。
絵本の下の方を持って構え、絵本のページをめくるときに、注意が必要とのこと。
【NG例】
子どもに興味を持たせるテクニックとは?
筆者は子どもと図書館に行くのですが、筆者が選ぶ読み聞かせしたい絵本と子どもが選ぶ絵本が違います。筆者が選んだ絵本を読み聞かせするときに、どうしたら子どもに興味を持たせられるのか、毎度悩みます。
Q.子どもが絵本に興味を持ってくれない時はどうしたらいいですか?
大澤先生:そんな時は、お母さんが女優になりきってください(笑)。一人で楽しそうに読んでいる演技をしてみると、効果絶大のはず。
大澤先生:お母さんが一人で絵本を読み、クスクスと笑っていると「何読んでるのー?」と来るはずです。保育士の多くが使っている裏ワザかも⁉
絵本だけではなく、工作をやりたがらない子がいる時や、給食を食べたがらない子がい時も演技をします。〝保育士は女優〟とも言われているんですよ⁉ ママも女優になってみて!(パパも是非!)
そして、興味を持ってくれたら「お膝で一緒に読む?」と誘ってみてください。子どもが「絵本を読むときは、ママに抱っこしてもらえるんだ」と感じてくれ、読み聞かせの時間を好きになってくれるはずです。
一同:拍手が起こる
絵本は、パパママの気持ちを伝えられる
筆者は、保育園で、保育士さんが絵本の読み聞かせをするのは、「お楽しみタイム」だけではなく、絵本を通じて子ども達に伝えたいメッセージがあるということを知り、とても印象的でした。
家庭でも、子どもに親の気持ちを伝えたいとき、その気持ちと合う絵本を読み聞かせすれば、メッセージを伝えることができるのでは?と思います。
また、近日公開予定の【後編】では、前編では書き切れなかった保育士さんに教わった「遊びにつながる絵本」や「寝かしつけにおすすめの本」などもご紹介。そちらもぜひ参考にしてみてください。
【後編】はこちら
「昔話」が4~5歳にぴったりな理由は?についての記事はこちら
文・構成/寒河江尚子 協力/小学館アカデミー保育園