赤ちゃんがすんなり眠ってくれると、新米ママたちの間で話題となっているのが「おひな巻き(まき)」です。その効果や巻き方、注意点、おひなまきはいつまでしてOKなのかをご紹介します。
おひなまき(おひな巻き)とは?
赤ちゃんを、ママのお腹の中にいたときのような、まるまった体勢で布でくるむ方法を「おひなまき」と言います。
この「おひなまき」という言葉は、元々、マタニティ&ベビーケア用品を販売している『有限会社青葉』の、おくるみ用メッシュ布の製品名でした。それが、今や、赤ちゃんの体を丸くして寝かせる方法として、一般的な言葉になっています。
このような体勢で寝かせる方法は、日本では農作業をするときに子どもを入れて寝かせていたカゴ「嬰児籠(いじこ)」がルーツといわれています。また、欧米では「スワドリング」と呼ばれています。
おひなまきの効果は?
おひなまきには、さまざまな効果があるとされています。
なんといっても、ママに嬉しい効果が、赤ちゃんがぐっすり眠ることです。これは、ママのお腹にいたときの体勢をおひなまきで再現することで、赤ちゃんが安心できるからと言われています。
また、赤ちゃんをおひなまきにすると、うつぶせ寝になりにくいため、SIDS(乳幼児突然死症候群)を防ぐことにもつながると考えられています。
さらに、生後間もない赤ちゃんに起きがちな「モロー反射」を抑える効果もあるそうです。モロー反射については、下記の記事を参考にしてみてくださいね。
おひなまきはいつまで?何歳で卒業すべき?
おひなまきは、新生児から行えます。卒業するのは、手足をバタバタ動かすようになる生後3~4ヶ月頃までが目安です。
あくまでも目安なので、生後3ヶ月前でも嫌がるようになったらおひなまきをやめたほうがいいですし、生後4ヶ月たっても心地よく寝ているのであればしばらく続けても問題ありません。
おひなまきに最適な素材
おひなまきに使う布は、四角い形であれば、何でもかまいません。しかし、赤ちゃんが快適に眠れるよう、素材に気をつけてあげてください。
おくるみ
おひなまきにおくるみを活用することもできます。おくるみには、さまざまな素材が使われていますが、なかでも赤ちゃんにおすすめなのは、ガーゼやオーガニックコットンです。
ガーゼは、吸水性、吸湿性がよく、通気性にも優れているのが特徴。また、伸縮性もいいので、赤ちゃんをくるむのに最適。洗濯後もすぐに乾きます。オーガニックコットンは、赤ちゃんの敏感な肌にも安心して使える素材です。
おくるみは、ハンドメイドも可能ですし、アメリカ生まれのおくるみ『スワドルミー』もあります。
バスタオル
長方形のバスタオルは、大きいため、赤ちゃんをくるみやすく、ほどけにくいというメリットがあります。また、タオル地なら、吸水性や吸湿性にも優れているため、汗かきな赤ちゃんも快適に過ごせるでしょう。
おひなまきの巻き方
おひなまきの巻き方をご紹介します。おひなまきをする際には、赤ちゃんを、きつすぎず、ゆるすぎないようにおくるみなどで巻くのがポイントです。
- 長方形の布を横長になるように置き、赤ちゃんの肩部分と布の上辺を合わせ、布の中央に赤ちゃんを寝かせます。このとき、赤ちゃんの肘を折り、脇をしめ、手があごの下にくるようにしておきましょう。
- 左上の布の角を持ち、赤ちゃんを正面から見て右脇腹の下に布を挟むようにします。
- 反対側も同様に、右上の布の角を持ち、赤ちゃんを正面から見て左脇腹の下に布を挟むようにします。布を重ねた部分から、手を出すようにしましょう。
- 赤ちゃんの膝を曲げ、「あぐら」の状態か、足の裏同士をくっつけるような状態にし、布の左下の角を、赤ちゃんを正面から見て右肩の方向へ持ち上げます。
- 反対側も同様に、右下の角を、赤ちゃんを正面から見て左肩の方向へ持ち上げます。
- 両肩に持ち上げた布の角同士を、首の後ろに入れこみます。
下記記事では、スワドル(おくるみ)の巻き方を紹介しています。こちらも参考にしてみてください。
おひなまきの注意点
おひなまきをするときには、注意したいポイントがいくつかあります。よく読んでみてくださいね。
目を離さない
赤ちゃんをおひなまきした場合は、目を離さないようにしてください。
おひなまきは、うつぶせ寝になることが少ないですが、それでも何かの拍子にうつぶせになってしまうこともあります。そうなると、窒息する可能性もあり危険ですので、赤ちゃんをよく見ておくようにしましょう。
長時間はNG
長時間、おひなまきの状態にするのは避けたほうがよいでしょう。その理由は、体温の上がりすぎや、股関節への負担を防ぐためです。
とくに股関節への負担は、おひなまきで足を固定してしまうため、先天性股関節脱臼のリスクもあります。
なるべく、1時間に1回はおひなまきをゆるめ、赤ちゃんの状態をチェックするようにしましょう。おひなまきは一時的に使うもの、と理解しておくといいですね。
手は、おひなまきから出しておこう
赤ちゃんは体温の調節機能が未熟。手足をおひなまきでくるんでしまうと、赤ちゃんは体の熱を外に出すことができず、体温が上がりすぎてしまいます。
おひなまきをするときには、必ず手を外に出すようにしてください。
授乳するときはそのままでOK
おひなまきのまま授乳しても問題ありません。赤ちゃんが無理のない、自然な姿勢がとれているので、抱っこしやすく、飲ませやすいでしょう。
夏場はおひなまきする布の素材をチェンジ
夏場は、赤ちゃんの体温が上がりすぎることもあるため、綿100%のダブルガーゼやメッシュ素材など、熱がこもりにくく、通気性のある素材の布でくるみましょう。
また、部屋の湿度や温度も適温に調整するようにしてください。
足を突っ張ったり、暴れるときは無理をしない
赤ちゃんが、足を頻繁に突っ張ったり、バタバタと暴れるようならば、おひなまきをほどきましょう。
なにか不快な思いをしているのかもしれませんし、ストレスがかかっている可能性もあります。無理をしないようにしてくださいね。
寝かしつけに悩んでいるなら、おひなまきをやってみて
おひなまきは、おくるみやバスタオルがあればすぐに実践できます。寝かしつけに悩んでいるママは、ぜひ試してみてくださいね。
記事監修
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部