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離乳食の開始時期はいつから?
赤ちゃんは生まれてしばらくは、母乳や育児用ミルクを飲んでスクスクと成長します。そして4カ月ごろから、そろそろ考え始めるのが「離乳食」。私たち大人が食べ物を食べるように、赤ちゃんも離乳食と言う形で食べ物を食べることをスタートさせます。今回は、そんな離乳食の開始時期のことについてお話しします。
離乳食開始時期は生後5~6ヶ月ごろ
離乳食の開始は、5~6カ月ごろが良いとされています。厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド』によると、5~6ヶ月ごろが適当としつつ、子どもの発育や発達には個人差があるので、月齢はあくまで目安。子どもの様子をよく観察しながら子どもの「食べたがっているサイン」に気が付くように進めるよう書かれています。また、早産の場合は、医師の指示に従いながら修正月齢で開始しましょう。
生後4ヶ月で始めるのは早い?
例えば以前は、「体重が〇kgになったら離乳食開始」や「生後2カ月ごろから野菜スープを飲ませましょう」など言われた時代がありました。しかし現在は、赤ちゃんの発達が離乳食を食べるために整ってきた、生後5~6ヶ月頃から開始するのが良いとされています。ですので、いくら赤ちゃんが食べ物に興味があるからと言って5ヶ月より以前には与えないほうが良いでしょう。
そもそもなぜ離乳食が必要?
これまで、母乳や育児用ミルクで、スクスク大きくなってきた赤ちゃんです。どうして、新たに離乳食が必要になるのでしょうか? 最初から大人と同じような食事ではダメなのでしょうか? 離乳食が必要な理由は大きく分けて3つあります。
1.母乳や育児用ミルクだけっでは栄養が足りなくなってくる
2.身体機能が未発達だから
3.内臓機能が未発達だから
赤ちゃんの未発達な身体を守りながら食べ物を進めていくためにも、離乳食は必要なんですね。
離乳食スタートのサイン
5カ月ごろになると、ほとんどの赤ちゃんの首が座り、うつぶせで上半身をしっかり起こすことができるようになります。くすぐると声をあげて笑ったり、ママパパの語りかけににっこりと笑顔を見せることもあれば、怒って泣くなど感情表現も豊かになってきます。「なんだか、しっかりしてきたなあ」と思えるのがこの頃の赤ちゃんの様子です。
「いつから離乳食を開始しようかな?」と思った時に、5~6ヶ月と言う月齢以外に、以下の様子も参考にしてください。すべてが当てはまる必要はありません。月齢と2つ3つ当てはまることがあれば、離乳食開始の目安にして良いでしょう。
1.よだれの量が増えてきた
大人が食事をしている様子を見ていてよだれを垂らすなど、以前よりもよだれが増えてきた様子を言います。よだれが増えているということは、消化機能が整ってきた目安でもあります。ただし、よだれには個人差があるので、ほとんど出ない子もいます。
2.首が座って、5秒以上座れるようになってきた
縦抱きに抱っこしても、首がぐらぐらしなくなってきたら首座り完了のサインです。また、手をつきながらお座りして、大人が支えなくても5秒程度座れるのも目安になります。
3.生活リズムが整ってきた
朝起きる、母乳やミルクを飲む、活動する、午前睡・午後睡をする、お風呂に入る、寝るなど、毎日行われる生活の場面のリズムが、だいたい同じ時間になってきたことを言います。
4.母乳やミルクを飲んでも満足しなくなった
これまで通り、同じ量、同じ時間に飲んでいるのに、飲んだ後にグズグズ言うようになっている様子です。
5.大人が食べる様子を見て興味を持っている
大人が食事をしている様子をじっと見つめたり、大人と同じように口をもぐもぐ動かしてみたり。よだれを垂らしたり、手を伸ばして触ろうとしたり。表現の仕方は個々に違いますが、そのようなかわいい様子が見られます。
アレルギーがある場合の離乳食の開始時期
離乳食開始前に心配なことのひとつに、食物アレルギーがあると思います。安全に離乳食を進めるためにも、以下を参考にしてください。
自己判断は禁物。必ず医師の指示を
親に食物アレルギーがあるなど、離乳食開始前に子どもの食物アレルギーの恐れが考えられる場合、まず医師に相談されるのをお勧めします。低月齢から行えるアレルギー検査もあります。
「卵アレルギー」の恐れがあると言われていた子が、離乳食開始後、卵を始める前に検査をしてみると他の食物アレルギーもあったということもあります。また、アレルギーがあると思い込んでいたのに、検査したら大丈夫だった、ということもあります。赤ちゃんを守るためにも、自己判断は絶対に止めましょう。
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離乳食初期の進め方
離乳食初期の最初は、10倍つぶし粥からスタートします。初めての離乳食ですので、赤ちゃんがいくら「おいしい!おいしい!もっとちょうだい!」と言っても、離乳食スプーン1杯までにします。
最初の1カ月は特に、赤ちゃんの身体の負担にならないためにも、少しずつ量や食材を増やすて行くのがお約束。下の表を参考にしながら進めていきましょう。
初めての離乳食は米かゆを離乳食スプーン1杯から
まずは、米1に対し水10の分量で炊き、更にすりつぶす「10倍つぶしがゆ」から与えます。
この10倍つぶしがゆ、初日はまず離乳食スプーン1杯からスタートです。1杯を2~3日続けて2杯にして……と内臓に負担をかけないように少しずつ量を増やしていきます。
10倍つぶしがゆになれたら野菜
10倍つぶしがゆを1週間ほど食べ慣れたら、続いて野菜に挑戦です。野菜は、繊維が少なめで甘みがあってなめらかになりやすい、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃなどおすすめです。
2~3日同じ野菜を食べて、次の野菜にチャレンジしていきます。少しずつ食べられる野菜を増やしていきましょう。
最初はトロトロのポタージュ状
すべてのメニューは、最初はトロトロのポタージュ状にします。これまで母乳や育児用ミルクの液体を飲んできた赤ちゃんですので、なるべく液体に近い状態のものを与えましょう。
慣れてきたら徐々にヨーグルト状にして、離乳食初期の後半には、マヨネーズ状。少しずつ水分量を減らしていきます。
初期の離乳食のスケジュールは1日1回
通常の授乳(ミルク)に加えて、午前中(例・10時頃)に離乳食一回。時刻や授乳の回数は、赤ちゃんの様子を見て臨機応変に。
初めての食材は午前中に
初めて食べる食材は午前中に挑戦すると安心。その理由は「もし、何かあった時もすぐに病院に行ける」からです。
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離乳食を開始したものの食べてくれないときは
「よし!今日から離乳食開始だ!」とママパパが気合いを入れて作ったのに、赤ちゃんは「べー」と吐き出したり、口をつむって食べてくれなかったりしたら、「トホホホホ」な気分ですね。もし、そんな姿がみられたら、以下を試してみてください。
まず試してみたい3つの改善策
離乳食を開始したけれど赤ちゃんが食べてくれない場合は、
・離乳食を数日休憩する
・朝10時にこだわらず、赤ちゃんの機嫌のいいい時間帯に与える
・裏ごしのとろみ加減を見直してみる(ポタージュになっている?)
などの改善策があります。
離乳食を開始後に下痢をした場合はどうする?
離乳食後に下痢をした場合、もしその下痢に以下の様子が見られる場合は、病院に行きましょう。
病院にかかるかどうかの見極めポイント
・便が水っぽい
・食べたり、飲んだりすると下痢が出る
・おむつを替えるごとにうんちをしている
・機嫌が悪い
離乳食を始めたばかりなので、便の調子が良くなるまで離乳食を休憩してもいいと思いますが、いつもより1,2回多い程度でしたら離乳食を続けながら、様子を見ていても大丈夫だと思います。
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離乳食中期から完了期までの流れ
簡単に、離乳食完了期までの流れを見てみましょう。
離乳食中期
回数
1日2回
中期から食べられるようになる主な食材
炭水化物:7倍かゆ~5倍かゆ、里芋、そうめん、マカロニ、スパゲティー
野菜・果物:レタス、オクラ、ニラ、きゅうり、ズッキーニ、アスパラガス、ピーマン、パプリカ、小豆、キウイ、ぶどう、サクランボ、わかめ、もやしなど
たんぱく質:納豆、高野豆腐、豆乳、きな粉、鮭、マグロ、カツオ、鶏ささみ、鶏むね肉、卵白、牛乳、プレーンヨーグルト、高野豆腐、豆乳、きな粉、鮭、マグロ、カツオ、鶏ささみ、鶏むね肉、卵白、牛乳、プレーンヨーグルト
固さや形状
豆腐くらいの固さ、2~3㎜みじん切り
離乳食後期
回数
1日3回
後期から食べられるようになる主な食材
炭水化物:5倍かゆ~軟飯、長芋、山芋
野菜・果物:さやいんげん、さやえんどう、チンゲン菜、春菊、水菜、枝豆、ひじき、切り干し大根、レンコン、ごぼう、タケノコ、えのき、しいたけ、しめじ、柿
たんぱく質:大豆、生ダラ、ブリ、サンマ、味、イワシ、鶏ひき肉、鶏レバー、鶏もも肉、牛赤身肉、牛ひき肉、豚赤身肉
固さや形状
軽くつまんだらつぶれるバナナ程度の固さ、5~7㎜角
離乳食完了期
回数
1日3回 おやつ1日1~2回
完了期から食べられるようになる主な食材
炭水化物:軟飯~普通飯
野菜・果物:ネギ、セロリ
たんぱく質:合いびき肉、鶏ひき肉
固さや形状
歯ぐきで噛めるやわらかい肉団子くらいの固さ、1㎝角
離乳食開始はあせらず、タイミングをみはからって
離乳食のスタートは5~6カ月ごろで赤ちゃんの成長の様子を見て、と記事ではお伝えしました。そのうえで、赤ちゃんの体調や機嫌の良い時、ママパパの気持ちの準備OKの時、ということも大切にしてくださいね。
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記事執筆
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。