目次
生後5ヶ月で離乳食は早い?
そもそも、なぜ離乳食が必要なの?
離乳食は、そもそもなぜ必要なのでしょう? いくつか理由があるうちの3つを紹介します。
1.食べ物で栄養を摂っていくための練習期間
赤ちゃんは毎日目まぐるしく成長しています。母乳や育児用ミルクだけでは栄養が不足してしまいます。離乳食は、離乳に向けて少しずつ食べ物からの栄養を増やしていき、近い将来、私たち大人と同じように食べ物だけで栄養を摂れるようにするための練習期間なのです。
2.内臓機能を守る
赤ちゃんの内臓機能は未発達です。母乳や育児用ミルク以外はうまく消化できません。内臓機能の発達に合わせて形状や食べ物を進めていくことで内臓機能を守ります。
3.身体機能を発達させる
赤ちゃんは、教えられなくても母乳を吸う能力は持っていますが「噛みつぶす」「食べ物を飲み込む」などは練習することで獲得していきます。
最初は大人が食べさせますが、そのうち自分で手づかみで食べ、スプーンなどの食具を使って食べる、と言った手指の能力も獲得していきます。このように食べることによって、さまざまな身体能力も発達させてくれます。
離乳食を5ヶ月から始める理由
では、なぜ、離乳食は5ヶ月からスタートなのでしょう?
ずいぶん以前。私がまだ保育士になりたての頃は、「生後2カ月から果汁や野菜スープを与えましょう」と離乳食の最初準備期間があるのが当たり前でした。きっと、これを読んでいるお母さんが赤ちゃんの頃はそうだったと思います。
その後、母乳やミルク以外の味・スプーンに慣れさせることは、離乳食の開始からでもできるということで、今は生後5ヶ月ごろから離乳食をはじめるようになっています。(参照:2007年3月厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド』)
なぜこのタイミングなのか?と言うと、赤ちゃんの心と身体の発達が離乳食を受け入れる状態になってきたからです。例えば、大人の食べ物に興味を示す、押し出し反射の消失(スプーンを口に入れても押し出さなくなってきた)、首が座って5秒以上座れるなどです。
離乳食を始めるのはいつ?
「さあ、今日、5ヶ月になったぞ!離乳食をはじめよう!」でももちろんいいのですが、何が何でも5ヶ月ちょうど!の必要はありません。離乳食開始は、5~6ヶ月ごろを目安にします。
赤ちゃんにも1人1人個性がありますし、その日の体調や気分も違います。お母さんだって「今日はちょっとしんどいわ」と言う日もあるでしょう。なので、月齢は目安にして「赤ちゃんと周りの環境が整ったら」始めましょう。
早産の場合は、修正月齢で与えますので小児科医に相談の上、進めていきましょう。
離乳食開始時期の見極め方
離乳食開始時期の見極め方です。上記にすでに書いていることもありますが、参考にしてください。この項目すべて当てはまらなければいけないわけではありません。月齢+2~3個条件が揃ったらスタートです。
1.生後5~6ヶ月になった
2.首が座り、5秒以上座れるようになった
3.よだれが増えた
4.大人の食事に興味を示す
5.授乳、睡眠、活動など生活リズムがだいたい同じ時間になってきた
6.スプーンを口に入れても押し出さなくなった
7.体調と機嫌が良い
生後5ヶ月の離乳食の進め方
初めての離乳食は米かゆを離乳食スプーン1杯から
「離乳食って、やわらかくてどろどろのものを与えればいい」と言うイメージがあります。ですので一番最初にパンやりんごからスタートする方もいるのですが、おススメはお米です。その理由は消化が良くアレルギーを引き起こしにくい食材だからです。
まずは、米1に対し水10の分量で炊き、更にすりつぶす「10倍つぶしがゆ」から与えます。この10倍つぶしがゆ、初日はまず離乳食スプーン1杯からスタートです。1杯を2~3日続けて2杯にして……と内臓に負担をかけないように少しずつ量を増やしていきます。
赤ちゃんが「もっと食べたい!!」という様子を見せたとしても「美味しかったね。もっと食べたかったね。次は母乳だよ」と言って、満足するまで授乳させます。
最初はポタージュ状。慣れてきたらヨーグルト状
すべてのメニューは、最初はトロトロのポタージュ状にします。これまで母乳や育児用ミルクの液体を飲んできた赤ちゃんですので、なるべく液体に近い状態のものを与えましょう。
慣れてきたら徐々にヨーグルト状にして、離乳食初期の後半には、マヨネーズ状。少しずつ水分量を減らしていきます。
10倍つぶしがゆになれたら野菜
10倍つぶしがゆを1週間ほど食べ慣れたら続いて野菜に挑戦です。野菜は、繊維が少なめで甘みがあってなめらかになりやすい、玉ねぎ、にんじん、かぼちゃなどおすすめです。
2~3日同じ野菜を食べて、次の野菜にチャレンジしていきます。少しずつ食べられる野菜を増やしていきましょう。
初めての食材は午前中に
初めて食べる食材は午前中に挑戦すると安心。その理由は「もし、何かあった時もすぐに病院に行ける」からです。
生後5ヶ月の離乳食のスケジュール
通常の授乳(ミルク)に加えて、午前中(例・10時頃)に離乳食一回。時刻や授乳の回数は、赤ちゃんの様子を見て臨機応変に。
生後5ヶ月の離乳食の量の目安
生後5か月の離乳食は、一日一回食。その分量はどのくらいでしょうか。
下の表を目安に少しずつ慣らしていきましょう。
初めての離乳食(初日~2日目)
・炭水化物(お粥など)を離乳食スプーン1杯
3~4日目
・炭水化物(お粥など)を小さじ1/2~1杯
5~7日目
・炭水化物(お粥など)を小さじ1~2杯
8~14日目
・炭水化物(お粥など)を小さじ3杯(=大さじ1)
・ビタミン・ミネラル類(野菜・果物など)を離乳食スプーン1~2杯(ただし、はじめての2~3日までは1杯で様子見)
15~21日目
・炭水化物(お粥など)を大さじ1~2杯
・ビタミン・ミネラル類(野菜・果物など)を小さじ1~2杯
22~31日目
・炭水化物(お粥など)を大さじ1~2杯
・ビタミン・ミネラル類(野菜・果物など)を小さじ2~4杯
32日目以降
・炭水化物(お粥など)を大さじ2~3杯
・ビタミン・ミネラル類(野菜・果物など)を小さじ2~4杯
・タンパク質(豆腐など)を離乳食スプーン1杯
生後5ヶ月の離乳食の食材
生後5か月で食べられる具体的な食材を以下にピックアップしました。いずれにしても、はじめての際には少量で少しずつ、日中に様子を見ながら、を心がけてください。
炭水化物
10倍つぶしがゆ、じゃがいも、さつまいも
野菜・果物
かぼちゃ、にんじん、大根、玉ねぎ、ほうれん草、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、冬瓜、なす、りんご、バナナ、もも、いちご、みかん、メロン、スイカ、梨など
たんぱく質
たんぱく質は、離乳食開始1カ月ごろからが目安です。5カ月から離乳食開始したら6ヶ月~が目安で、まずは豆腐から。
だし
昆布だし、野菜だし
生後5ヶ月の離乳食レシピ
ここからは、生後5か月向きの具体的な離乳食レシピをご紹介します。
10倍つぶしがゆ
「10倍つぶしかゆ」はあまり聞き慣れない言葉ですが、米1に対し水が10で炊いたおかゆが「10倍がゆ」、それを更に裏ごししたものが「10倍つぶしがゆ」です。おかゆを作る時は蓋のある厚手の鍋を準備しましょう。
<材料>
米 大さじ1
水 150ml
<作り方>
1.分量のお米を水で3回ほど洗う
2.ザルで水を切り、分量の水と一緒に鍋に入れて30分浸水
3.最初は強火。沸騰したら弱火にして30分程炊く
4.火を止め、蓋をしたまま10分蒸らす
5.裏ごしして、おもゆか湯冷ましで滑らかにする
かぼちゃと玉ねぎのペースト
<材料>
かぼちゃ 10g
玉ねぎ 5g
昆布だし 200ml
<作り方>
1.かぼちゃは、種・ワタ・皮を取り除き1㎝にスライス、玉ねぎは、皮をむいて1㎝のスライスに
2.昆布だしにかぼちゃと玉ねぎを入れて、軟らかくなるまで煮る
3.裏ごし器で裏ごしし、煮汁を加えてトロトロになるまでのばす
焼き芋のミルクペースト
<材料>
焼き芋 15g
育児用ミルク 10ml
<作り方>
1.焼き芋を裏ごしして育児用ミルクを加えてトロトロにする
にんじんのとろっとスープ
にんじんのスープを食べやすくするために米粉でとろみをつけます。
<材料>
にんじん 15g
米粉 小さじ1/2
昆布だし 100~150ml
<作り方>
1.にんじんは皮をむき、煮やすい大きさに切る
2.昆布だしでにんじんを弱火でやわらかくなるまで煮る
3.2を裏ごしする
4.鍋の煮汁を50~80mlにして、3と米粉を入れて火にかけ、とろみがついたら火を止める
離乳食トマトスープ
<材料>
野菜スープ 50ml
トマト 20g
<作り方>
1.トマトに切込みを入れてお湯に入れ、皮を湯むきし、種を取り除く
2.野菜スープに裏ごししたトマトを入れ加熱
さらさらして食べにくければ、水溶き片栗粉小さじ1/2でとろみをつけてみましょう。
離乳食を上手に進めるポイント
食べさせ方や準備など、この時期の離乳食をスムーズに進めるコツや便利なアイテムを、過去記事でご紹介しています。それぞれ参考にしてみてくださいね。
離乳食作りにあると便利な調理器具
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時短テクニックは「ながら」と「ついで」
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使いこなすと便利な離乳食アプリ
離乳食のスタートは「はじめて」を楽しむ気持ちで
離乳食初期(5ヶ月)は、離乳食を食べる「準備期間」です。赤ちゃんが食べる量や食べる意欲に、ママの気持ちも浮き沈みしがちですが「赤ちゃんにとって初体験のことをしているんだ!」とおおらかな気持ちで臨んでくださいね。
記事執筆
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。