男の子も女の子も関係なく、子どもが大好きな恐竜。その恐竜を体験したいと思ったら、「世界3大恐竜博物館」の1つとも言われる福井県立恐竜博物館が、最有力候補になります。
新型コロナウィルスで長らく休館していましたが、6月8日(月)から予約を開始し、完全予約制で15日(月)から開館。入替制を導入して再始動するそう。(7月13日(月)まではプレオープンとし、野外恐竜博物館を含めた完全オープンは、7月14日(火)以降の予定)
そこで今回は実際に福井県立恐竜博物館に行って、見どころを聞いてきました。夏休みや連休のお出かけ先としてチェックしてくださいね。
※取材は2月、コロナウィルスによる自粛前に行いました。
目次
何で福井で恐竜博物館なの?
そもそも福井では、なぜ県が恐竜をテーマにした博物館を運営しているのでしょうか。博物館のある福井県では、国内屈指の化石発掘と研究の実績があります。その貴重な資源を研究や学習だけでなく、地域振興やイメージアップなどに活用し、国内外へと発信するために博物館をつくったのだとか。
館内の展示でも解説されている通り、福井県の勝山市と石川県の白山市の一帯には、約1億2000万年前(前期白亜紀)の地層(手取層群)が広がっています。その恐竜化石が眠る地層を、予算を大きく割いて熱心に掘り続けている自治体が、まさに福井県なのですね。
発掘の実績は年を追うごとに蓄積されていき、2000年(平成12年)には既存の福井県立博物館から、自然系を分離して、福井県立恐竜博物館が整備されました。
その後も発掘は続き、日本で見つかった新種の恐竜8種のうち、5種類が福井県で見つかるなど、その実績は他の自治体の追随を許しません。2017年(平成29年)には、この5種類の新種の恐竜化石と発掘現場が、天然記念物にも指定されました。
展示内容については、現状で恐竜の全身骨格が44体展示されています。そのうち実物の化石を使って組み上げた全身骨格の展示物が、10体存在しています。他の都道府県から視察が次々と訪れるほどで、筆者が取材で足を運んだ日には、フィリピンからの取材クルーも来ていました。
2019年(令和元年)の年間来場者数は、93万人。平日であっても常に数百人は訪れるらしく、県立の博物館・美術館では異色の人気ぶりです。国際的にも注目に値する、日本を代表する恐竜博物館が、まさに福井県立恐竜博物館なのですね。
混雑時に訪れる場合は要チェック!福井県立恐竜博物館の上手な回り方は?
筆者は以前も、ゴールデンウィークの期間中に家族と福井県立恐竜博物館に訪れた経験があります。何もない平日に訪れる分には問題ありませんが、連休など大変な人の出が予想される日に訪れるなら、ある程度、見どころと回り方を押さえておいた方が、人ごみの中で右往左往しなくて済みます。
最初の見どころはやはり、入り口から地下1階へと降り、通路を歩いて階段を上った先にある展示物。「恐竜のからだとくらし」の中央に設置された、動くロボットのティラノサウルスです。
実物の2/3の大きさがあり、かなりリアルに動くため、泣き出す子どもも少なくありません。かつて筆者の子どももパニックに陥り、展示解説員の方が「いつもここで働いているけれど、私は食べられていないから大丈夫だよ」と、落ち着かせてくれました。
ティラノサウルスの周りを歩き、さまざまな角度からその迫力を眺めた後は、「恐竜の繁栄―竜盤目」へ入ります。このコーナーの見どころは、複製に混じって展示されている実物の骨格です。
「恐竜の繁栄-竜盤目」のコーナーには1体、その並びにある竜脚系亜目に1体、本物の骨格が展示されてます。実物化石による展示物の場合、骨の外側に鉄のフレームがあり、そのフレームに化石が固定されています。
一方、複製の場合は化石の中にすでにフレームが組み込まれているため、容易に見分けがつきます。解説ボードにも実物の場合は「複製」の文字がありません。「恐竜の繁栄」では、本物の骨格の展示に注目してみてはどうでしょうか。
ちなみに、上の写真に見えるブラキオサウルスの全身骨格は、開館15周年を記念して常設展示に仲間入りを果たしました。展示方法が検討された結果、展示通路をまたぐように設置されています。ブラキオサウルスのお腹の下に入れる遊び心ある展示スタイルです。その辺りも、注目です。
「恐竜の繁栄」を眺めた後、「ダイノシアター」を観たら、今度はジオラマコーナー「中国四川省の恐竜たち」のコーナーを歩き、「恐竜の繁栄―鳥盤目」へと向かいます。
「恐竜の繁栄―鳥盤目」は、ブラキオサウルスのように分かりやすい恐竜の骨格がないため、何気なく通過してしまうかもしれません。しかし、実物化石を組み上げた恐竜全身骨格が、実は8体も並んでいるエリアになります。
本物と複製の見分け方は、先ほど伝えた通り。家族連れで訪れた際には、違いを子どもに説明してあげてください。子どもの親に対するまなざしも変わってくるはず。しっかり予習して、「ママすごい」「パパすごい」と言わせたいところですね。
化石のクリーニング作業も生で見られる
1階フロアの外周に沿って、福井で発見された5種類の恐竜が展示される「手取層群の恐竜化石」のコーナーがあります。その展示を過ぎたら、吹き抜けのホールに足を運んでください。化石クリーニング室がガラス窓越しに見学できます。
クリーニング作業を行うスタッフは白衣を着ているため、専門の研究者だと思ってしまいがち。しかし、実際はアルバイトで、地元の方々がクリーニングの作業にあたっているとの話です。地域にこれほどロマンティックな仕事があるなんて、ちょっとうらやましいですね。
展示コーナーに戻ったら、「手取層群の恐竜化石」→「日本の恐竜化石」→「アジアの恐竜化石」と進みます。次に「地球の科学コーナー」に立ち寄ってもいいですが、子どもの様子を見て先を急ぎたい場合は、2階へ続くスロープへ進んでください。
2階の生命の歴史ゾーンは、爬虫(はちゅう)類や哺乳(ほにゅう)類などの展示が中心となります。2階からは1階フロアが一望できるようになっていて、正面に見えるドーム状の壁面には、空の絵が描かれています。
照明の変化によって朝から夕方へと変化し、運が良ければ太陽の反射による光の影が、天体のように壁面に映るケースもあるそうです。2階に上がったら壁面を見渡して、空の様子を観察しても面白いかもしれませんね。
その後は、親子連れなら「ダイノラボ」に行き、本物のティラノサウルスの大たい骨を触ったり、恐竜クイズに答えたりして楽しんでください。言葉にすると短く感じるかもしれませんが、ここまでのルートを歩むだけでも、普通の日で1時間以上、混雑していると2時間近くかかります。館内にはベンチやレストランもありますので、休みをとりながら無理なく見学したいですね。
福井県立恐竜博物館のレストランやミュージアムショップのおすすめは?
福井恐竜博物館の3階にあるレストランやミュージアムショップでは何が人気なのか、スタッフの方に聞いてみました。
レストランに関しては、親子連れに人気のメニューとして、
- 化石発掘オムライス(1,000円)
- フクイティタンプレート(1,030円)
が挙げられると言います。化石発掘オムライスについては、オムライスを食べ進めると中から何かが出てくるとの話。答えは秘密ですが、その遊び心が子どもに大人気みたいですね。
デザートには、ティラノパフェ(600円)が人気だとか。
ミュージアムショップにおける人気の商品としては、
- スーパーボールの「ガチャガチャ」(1回200円)
- FIVE STARS(福井県で発見された5体の恐竜フィギュアセット)(2,200円)
- 羽二重餅(24個入り)(1,350円)
- ソフトモデルのフクイラプトル、フクイサウルス(各1,760円)
- 系統図(216円)
- 展示解説書(1,600円)
などが幅広く人気だと言います。※価格は、いずれも税込価格です。
「ガチャガチャ」から出てくるスーパーボールは全12種類。羽二重餅に関しては、特別な個包装がされているため、製造日から3カ月は消費期限があるそうです。いずれも福井県立恐竜博物館の中にあるミュージアムショップでしか買えないアイテムになります。
福井県立恐竜博物館へのアクセスは?
福井県立恐竜博物館へのアクセスは、自動車で直接訪れるか、公共交通を乗り継いで訪れるか、いずれかの方法があります。
自動車で訪れる場合、ゴールデンウィークなどの混雑時期には、開館前から大変な渋滞が発生します。開館後になると渋滞はさらにひどくなり、想像を絶する混雑ぶりを見せます。
子ども連れの場合は、車内でのいら立ちが耐え切れないレベルに達すると思いますので、早々に博物館周辺の臨時駐車場に車を停め、シャトルバスに乗り換えてアクセスしてください。シャトルバスは一般のルートとは別で運行しているので、スムーズに福井県立恐竜博物館にアクセスできます。
公共交通の場合は、福井の玄関口であるJR福井駅から、えちぜん鉄道勝山永平寺線に乗り換え、終点の勝山駅を目指してください。福井駅から勝山駅までは片道1時間ほどです。
その際、勝山駅までの往復の乗車券(往復1,540円)、勝山駅から福井恐竜博物館までの往復のコミュニティバスの乗車券(往復600円)、福井恐竜博物館の入館料(730円)がセットになったお得なセット券(2,130円)が、えちぜん鉄道の福井駅で購入できます。
しかも、お得なセット券を買えば、勝山市内バス(京福バスは対象外)まで乗り放題になります。公共交通を使って訪れる場合は、購入を検討してはいかがでしょうか
毎年春から秋にかけては、恐竜化石の発掘現場に設けられた野外恐竜博物館のバスツアー(所要時間2時間ほど)が開催され、化石発掘体験も楽しめます。
福井県立恐竜博物館とは直接関係ありませんが、博物館の周辺には大きな公園(かつやま恐竜の森)が整備されていて、遊具なども用意されています。親子連れで訪れれば、1日楽しめるスポットになっています。北陸に旅行する際には、ぜひともプログラムに入れてみてくださいね。
福井県立恐竜博物館
開館時間:午前9時~午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:第2、第4水曜日(夏休み期間中は無休)、および12月29日~1月2日(※ただし、これ以外にも、施設点検等のために臨時で休館する日もあります。博物館まで、事前に問い合わせてください)
常設展観覧料:(小・中学生)個人260円、 団体210円(高・大学生)個人420円、 団体320円(一般)個人730円、団体630円
所在地:福井県勝山市村岡町寺尾51-11 かつやま恐竜の森内
TEL:0779-88-0001(代表)、0779-88-0892(団体受付)
取材協力/福井県立恐竜博物館
文・写真/坂本正敬