花まつり(灌仏会:かんぶつえ)とは
花まつり(灌仏会:かんぶつえ)とは、お釈迦さまの誕生を祝う仏教行事です。クリスマスは、イエス・キリストの生誕をお祝いする行事ですが、それの「仏教版」といったところでしょうか。
この花まつりは、降誕会(ごうたんえ)、仏生会(ぶっしょうえ)、浴仏会(よくぶつえ)、龍華会(りゅうげえ)、花会式(はなえしき)などの別名で呼ばれることもあります。
花まつりはいつから始まった?
花まつりの歴史は非常に古いです。奈良時代に書かれた日本の歴史書である「日本書紀」に、その記述があります。606年(推古天皇14年)4月に元興寺で催されたとあり、それが日本で一番古い記録となっています。
元興寺とは、1300年の歴史を持つ奈良の国宝・世界文化遺産で、南都七大寺のひとつに数えられる寺院です。
2024年の花まつりはいつ?
2024年の花まつりは、4月8日(月曜日)です。日本では、原則として毎年同じ日に行われます。海外の日にちは、台湾では旧暦の4月8日、インドでは5月の満月の日、中国では、中国暦の4月8日に花まつりが行われるようです。
花まつりにはお寺で何をするの?
花まつりはお寺で行われます。一体、どんなことをしているのか、見ていきましょう。
誕生仏に甘茶をかける
花まつりには、多くの人がお寺へ参拝に訪れます。訪れた人たちは、誕生仏と呼ばれる仏像の頭に、竹の杓で甘茶をかけてお祝いします。
甘茶をかけるのはなぜでしょうか。それには、こんな言い伝えがもとになっています。
「お釈迦様が生まれたときに、9匹の竜が現れました。この竜たちは、天から甘露の雨を降らせ、お釈迦様は甘露の雨を産湯にしました。」
現在では甘露の雨のかわりに甘茶を使って、お釈迦様の誕生を再現しているのです。
誕生仏とは
甘茶をかける誕生仏は、お釈迦様をかたどった仏像で、右手は天を指し、左手は地上を指しています。このポーズには、お釈迦様が産まれた直後、七歩歩き、右手で天を、左手で地を指して「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と唱えた姿を表しているのだそうです。
甘茶とは
花まつりで使われる甘茶は、ユキノシタ科の植物です。ヤマアジサイ(ガクアジサイ)のような花を咲かせます。花の色は、紫色やピンク、白、藍色です。
お茶に使われるのは葉っぱの部分で、そのままで食べると苦いのですが、発酵させると砂糖の100〜1000倍の甘さになります。かつて砂糖がない時代には甘味料として、また漢方薬の苦み消しや民間療法などに使われていたのだそうです。
甘茶には、いろいろな言い伝えがあります。中国では「思いやりのある政治を行うと、天から甘い露が降る」といわれていたり、インドでは「飲むと不老不死になれる」という言い伝えがあります。また、甘茶を使って墨をすり習字をすると上達する、害虫よけのおまじないになる、というものもあります。
花御堂を乗せた白い象を引く稚児行列
花まつりには、稚児行列が行われます。稚児行列とは、子どもたちが伝統的な装束を身につけ、境内や町内を練り歩くことです。このとき、白い象の背中に、御釈迦様の誕生仏を安置した花御堂(はなみどう)を乗せていっしょに歩きます。
花御堂とは
花御堂(はなみどう)は、お釈迦様が生まれた場所であるルンビニの花園を表した、小さなお堂です。屋根や柱などには、桜やれんぎょう、木蓮など花が飾られます。
白い象とは
白い象は、仏教発祥の地・インドでは、とても神聖な生き物として扱われています。大乗仏教の経典である『方向大荘厳経』によれば、「お釈迦様のお母さんが、6本の牙を持つ白い象がお腹の中に入る夢を見て、お釈迦様を懐妊したことを知った」ということが書かれており、白い象がお釈迦様を連れてきたということのようです。そのことから、お釈迦様の誕生日である花まつりに、白い象が登場するのかもしれません。
花まつりの歌とは
花まつりには、いくつか歌があります。その歌をご紹介しましょう。
「花祭りの歌」
作詞は西条八十氏、作曲は本多鉄麿氏が手がけた曲です。歌詞には、春、花などが登場し、花まつりを楽しんでいる様子が歌われています。
「花祭り行進曲」
この「花祭り行進曲」は、作詞が赤尾白嶺氏、作曲が成瀬鉄治氏で、明治41年に作られました。曲調は「行進曲」だけに、1、2、1、2といった足踏みがぴったりの曲です。なお、稚児行列の際に、この曲を流して歩く地域もあるようです。
歌詞が意味すること
「花祭りの歌」の歌詞は、お釈迦様の恩恵や、感謝、花まつりをお祝いする内容となっています。「花祭り行進曲」の歌詞は、お釈迦様の誕生、苦行に励んだこと、教えを説いたことなどが歌われています。
それらの歌詞は、お釈迦様がこの世に生まれたことに感謝し、その教えに倣って平和で幸せな世の中にしよう、ということを伝えたいのではないかと考えられます。
花まつりの食べ物
花まつりでは甘茶以外にも食べるものがあります。それを解説していきます。
精進料理
花まつりでは、参拝者に精進料理が振舞われることもあります。精進料理とは、野菜、豆、穀物のみを使って作られた料理のことです。花まつりは4月8日に行われるので、たけのこやそら豆、ウドなどの春の食材が使われるようです。
たけのこは、別名「仏影蔬(ぶつえいそ)」と呼ばれています。これは、土の中から空に向かって成長する姿が誕生仏に似ていることからなのだそうです。また、そら豆はさやの先が天に向かって伸びるため、別名を「仏豆」、ウドは漢字で「独活」と書かれ、「天上天下唯我独尊」に通じることから、花まつりの精進料理によく用いられます。
草団子、草餅、よもぎ餅
花まつりには、草団子、草餅、よもぎ餅を仏様にお供えする風習があります。山で摘み取ってきたよもぎを使い、各家庭で草団子や草餅、よもぎ餅を作るのだそうです。
花まつりにいただく甘茶のおすすめ
花まつり気分を気軽に楽しむなら、甘茶を飲むのはいかがでしょうか? ここでは甘茶のおすすめを5つピックアップしました。
「LifeJoy 甘茶 1.5g×30包【国産 甘茶】」
岩手県産のアマチャの若い葉を蒸して揉み乾燥させた、1.5g入りのティーバッグタイプ。無農薬、無添加で、ティーバッグタイプなので、飲みたいときにすぐ飲めるのがポイントです。
「甘茶 九州産甘茶 無添加 九州福岡県八女産100% リーフタイプ 30g」
日本でもごく一部でしか作られていない 国産として大変希少なお茶です。ノンカロリーなのにとっても甘いので、お子さんや年配の方にもよろこばれる味わいです。
「花祭り 甘茶 100g 純国産 高品質」
深山の里で心を込めて手作りされた逸品。甘く、まろやかな味わいをたのしむことができます。お釈迦様が描かれたパッケージが、花まつり気分を高めます。
「OSK 花まつり あま茶ワンカップ用 (1g×30袋) 」
ティーパックタイプで1袋1gと使いやすく、花まつりにぴったりなあま茶です。御仏前や御先祖の供養にお供えにも、健康茶としても楽しめます。
花まつりはお釈迦様の誕生日!
花まつりが行われる4月8日は、お釈迦様の誕生日です。お寺や地域では、花まつりのイベントが開催されています。ぜひ、お子さんといっしょにお寺を訪れて、お釈迦様の誕生をお祝いしましょう!
あなたにはこちらもおすすめ
文・構成/HugKum編集部