コロナ禍で貯金が激減?人気FPおすすめの将来の不安を解消するツールとは?

今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、家計がひっ迫し、貯金をとりくずしたという家庭も少なくないのではないでしょうか。「必要だから仕方ない」「また貯めればいい」と思っても、残高が減っていく通帳からは、つい目をそむけたくなります。「だからこそ、しっかりと“貯金簿”をつけてほしい」と話すのが、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子先生。畠中先生が提案している貯金簿とは、いったいどんなものなのでしょうか。

貯金の増減を書き出して推移を追う「貯金簿」で家計を防衛

貯金簿とは、現在の預金や保険のほか、住宅ローンなどの増減を書き出し、その貯金の推移を追っていくもの。私自身、35歳ごろからつけ始めました。そのきっかけは、家計簿をつけていても、1年間でいくら貯まっているかわからなかったから。

 

特に家族の旅行費や冠婚葬祭費、家電の買い替え費などの特別支出は、月々の家計簿では見落としがち。でも貯金簿なら特別支出も配当金などの入金も記入していくため、そのときどきの資産を把握しやすいのです。

 

現時点の資産が正確な数字でわかれば、これまで貯めてきたお金をどう減らしていくか、あるいはどうやって増やしていくか、この先の貯金の戦略を練ることができて、将来の不安解消につながります。

緊急事態の今、まず、2か月ごとにトライしてみて

貯金簿の記帳は、通常は年に2~4回でOKですが、今回のような突発的な出来事で貯金をくずすようなことがあった場合は、2カ月に一度の頻度でつけてみることをおすすめします。

 

たとえば、今回の新型コロナウイルス災禍なら、今年の2月からだんだんと影響が出始めたので、全く影響のない去年の12月、影響の出始めた2月、完全に影響を受けている4月と連続してつけてみて、その影響がどれぐらいあるか、どれぐらい貯金が減ったか、確認してみましょう。過去の通帳を取り出したり、スマホで金融機関にログインすれば、さかのぼって記入できるのも貯金簿のメリットです。

 

プラスの資産だけでなくマイナスの資産も記入

貯金簿のつけ方は簡単。まずは罫線のある大学ノート、筆記用具、定規、電卓のほか、通帳や保険証書、住宅ローンの返済表や財形貯蓄の残高通知書といった、お金関係の書類もすべて用意しましょう。

ノートに「預金」「保険」「運用商品」といった欄を設けて、それぞれ「名義」「金融機関」「金融商品」を書き、たとえば4月なら、4月時点の残高を記入します。それぞれの金融商品について小計を算出し、さらに「貯蓄合計」と「貯蓄増減」を記入します。プラスの資産だけでなく、「住宅ローン」「住宅ローン減税」「その他のローン残高」などマイナスの資産も書きましょう。

貯蓄簿の記入見本

預金

一般の銀行やネット銀行などの預金を記入。普通預金は残高、定期預金は合計額を記入します。財形貯蓄の合計額も、ここに記入します。

 

保険

掛け捨てではなく、個人年金保険や学資保険、養老保険など貯蓄性のある保険について記入します。その時点の解約返戻金を書くのが理想ですが、わからなければ支払った保険料総額を書きましょう。そのまま貯蓄額と思って差し支えないでしょう。

 

運用商品

株や投資信託、国債、外貨預金といった運用商品の時価を記入します。一つの証券会社で複数の商品を投資している場合は、その合計額でOK。確定拠出年金は、残高を書きましょう。

生存給付金や満期金が支払われる医療保険は、積み立てに回されていそうな(だいたいでOK)保険料を記入。解約すると返戻金の出る終身保険は、その時点の解約返戻金か支払った保険料の合計額を書きましょう。

 

貯蓄増減

それぞれの月の貯蓄合計を出したら、前回よりも増えているか減っているかチェックしましょう。通常なら手取り年収の10~15%程度が、貯金として増えていれば合格点。

ローン

住宅ローンは、金融機関から送られてくる返済表を確認しながら、残高を記入しましょう。合わせて、住宅ローンの増減も記入。車のローンやクレジットカードのリボ払いなど、その他にローンがあれば、それぞれの欄をつくって残高を記載しましょう。

数字を確認する癖がつけば危機管理能力がアップ!

この新型コロナウイルス災禍で、貯金が減ったとしても、どれぐらい減ったのか、残高がどれぐらいあるのか、ということが目に見えてわかるのが貯金簿。くずした貯金を何に使ったか、一言メモしておくと、次の危機に備えられるでしょう。

 

貯金簿をつけると、こうした危機的状況に役立つだけでなく、将来の老後資金を見通すこともできます。家計簿をつけるのが苦手という人も、貯金簿なら無理なくつけられるはず。これを機に、ぜひ習慣にしてください。

 

教えていただいたのは

畠中雅子さん

ファイナンシャルプランナー。実体験に基づく的確なアドバイスが人気。多数のメディアで執筆やセミナー講師など、幅広く活躍している。2男、1女の母。最新著書に『病気にかかるお金がわかる本』(黒田尚子共著・主婦の友社)がある。

フェイスブック

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畠中雅子のミニチュアワールド見学ブログhttp://miniatureworld.jp/

取材・構成/池田純子

 

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