認定こども園とは
子どもを預かる「認定こども園」は、幼稚園よりも預かってくれる時間が長いため、働きたい女性をサポートしてくれる施設として注目されています。具体的にどのような施設なのか、その概要を説明します。
出典:第4章 子育ての新たな支え合いと連帯
出典:認定こども園概要: こども家庭庁
幼稚園と保育園の特徴を併せもつ施設
「認定こども園」は、幼稚園と保育園の要素を組み合わせた施設です。「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」によって2006年から始まりました。
3~6歳の未就学児に幼児教育を行う「幼稚園」と、0~6歳までの子どもを保育する「保育園」の両方の機能を併せもつのが特徴ですが、タイプによりどちらの要素を強くもっているかは異なります。
保育園のように、親の就労などの条件が問われることはないため、共働き世帯でなくても0歳から利用できるなどのメリットがあります。
管轄や職員の資格
幼稚園・保育園・認定こども園は、それぞれ管轄している省庁や必要となる職員の資格が異なります。管轄に関しては以下の通りです。
- 幼稚園:文部科学省
- 保育園:厚生労働省
- 認定こども園:内閣府
また、職員に必要な資格もそれぞれ異なります。幼稚園の職員は「幼稚園教諭免許」、保育園の職員は「保育士資格」が必要です。
認定こども園では、「幼稚園教諭免許」と「保育士資格」の両方を保有する「保育教諭」が必要となります。現在は、新制度への円滑な移行を進めるため「経過措置」として、幼稚園教諭も保育士も在籍できる状態が取られています。
出典:幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例|こども家庭庁
4つのタイプ別の特徴
認定こども園は、教育と保育どちらの機能も備える施設ですが、タイプ別に「幼保連携型」「幼稚園型」「保育所型」「地方裁量型」の4種に分類されます。
それぞれ特徴が異なるため、認定こども園の利用を考えている場合は各タイプの特徴を知っておきましょう。
出典:幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園
出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック
幼保連携型
「幼保連携型」は、教育を担う幼稚園と児童福祉施設としての保育園の機能※をどちらも持っています。小学校入学までに基礎となる教育を行いながら、幼い子どもの保育も行う施設です。
原則、1日11時間の開園と、土曜日の預かりを行っており、幼児教育の時間が1日4時間設けられています。ただし、幼稚園入園前の年齢となる0~2歳の保育は必須ではないため、対応していない施設もあります。
※ただし、2018年以降「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の3法令の改正によって、幼稚園・保育園・認定こども園のいずれもが「幼児教育機関」と位置付けられ、同程度の幼児教育を受けられる施設となっています。
幼稚園型
「幼稚園型」は、公立・私立幼稚園が主体となって保育にも対応している施設です。例えば、午前中は保育の必要がない子どもと、保育の必要がある子どもの両方に教育を行い、午後からは保育を必要とする子どもに延長保育を提供します。
基本的なシステムは幼稚園と同じで、幼稚園教諭が3歳から小学校入学までの子どもに対応します。
幼稚園がベースとなっていることから0~2歳の保育に対応していないこともありますが、状況によっては子育て支援として対応している幼稚園もあります。
保育所型
「保育所型」は、認可保育園をベースとし、保護者の就労の有無にかかわらず受け入れてくれます。
保育の必要がない子どもは短時間の預かりで、保育が必要な子どもに限り午後の預かりにも対応します。また、幼稚園と同様レベルの幼児教育も行われる仕組みです。
保育園がベースのため、0~2歳児の保育に対応しているケースが多いでしょう。幼保連携型と同じように1日11時間開いており、土曜日も原則開園します。
地方裁量型
幼稚園や保育園として認可を得ていない施設でも「地方裁量型」として認められるケースがあります。認可はされていませんが、地域の実情に合わせて認定こども園と同じように運営が可能です。
開園時間などは、地域の状況に合わせて設定できます。自由度が高く、主体となる組織に制限はありません。ほかのタイプと同様に幼稚園と保育園の機能を併せもち、教育と保育を担う施設です。
認定区分と利用手続きの流れ
認定こども園には、保護者の状況に合わせた「認定区分」があります。認定区分は1~3号まであり、認定されれば認定こども園の利用が可能です。
1号認定と2・3号認定では手続きの流れが少し異なります。基本的な申請方法を知っておきましょう。
「1号認定」3歳以上保育の必要なし
1号認定は、保護者に就労などの事情がなく「保育の必要がない」とみなされる3歳以上の子どもです。専業主婦など、自宅で子どもの面倒が見られる状況であれば、1号認定となります。
幼稚園のように、午前中から14時ごろまで幼児教育のために子どもを園に通わせることができます。
施設を利用する場合は、直接認定こども園に申し込みましょう。応募が多い場合は面接などが行われ、人数が調整される仕組みです。内定が決まり市町村への申請を行うと、認定証が交付され契約が可能になります。
「2号認定」3歳以上保育の必要あり
2号認定は、保護者の就労や妊娠、病気などにより「保育が必要」とみなされる3歳以上の子どもの場合です。保育園や認定こども園の延長保育が利用でき、最長で11時間子どもを預かってもらえます。
2号認定を受けるには、まず市町村に申請をしましょう。利用したい施設の申し込みも並行して行えます。
保育の必要があると認定されれば、長時間子どもを預かってもらうことが可能です。保育の必要性が高いと考えられる人から優先的に調整され、利用する施設が決まれば園との契約を進めましょう。
「3号認定」0歳から2歳保育の必要あり
3号認定は、2号認定と同様に「保育の必要性がある」と認められた0~2歳の子どもの場合に適用される区分です。認定を受ければ、年齢に対応する認定こども園に預けることができます。
利用の流れは、2号認定と同様に市町村に申請を出し、保育の必要性が認められれば施設が利用できる仕組みです。
希望人数が多い場合は、利用調整が行われます。0~2歳の保育に対応している施設は限られるため、3歳以上の子どもを預けるよりもハードルは高くなるでしょう。
認定こども園の保育料
2019年10月より「幼児教育無償化」が始まりました。もちろん、認定こども園も幼児教育無償化の対象です。全てが無償となるわけではありませんが、条件を満たしていれば無料で施設が利用できます。
3歳から5歳のすべての子どもが無料
幼稚園と保育園だけでなく、認定こども園に通う子どもも、幼児教育無償化の対象です。3~5歳の子どもは、送迎費や給食費、行事費などを除く費用が無料となります。
なお、年収360万円未満または3人目の子どもからは、認定こども園で提供される副食費用がかかりません。
例えば、4人の子どもがいる場合、3人目と4人目は保護者の所得にかかわらず教育費と副食費用が免除されるのです。また、年収360万円未満の世帯は、子どもの数にかかわらず副食費用が免除されます。
0歳から2歳までは住民税非課税世帯が無料
3歳以上の子どもと異なり、0~2歳の子どもは原則保育料がかかります。ただし、住民税非課税世帯の場合、無料で保育を受けることが可能です。3歳以上の子どもと同様に、施設利用料以外の費用は別途必要です。
また、2人目以降の子どもについては、条件を満たした場合に半額または無料となります。保育を受けている一番年長の子どもを起点として、2番目の子どもは半額、3番目以降の子どもは無料です。
年収360万円未満の世帯に限り、子どもの年齢や保育を受けているかにかかわらず2人目以降は保育料が減免・無償化となります。
知っておきたいポイント
認定こども園を利用するにあたって、メリットやデメリットも知っておきましょう。幼稚園や保育園と迷っている人も、認定こども園の雰囲気がわかれば利用にあたって判断の助けとなるでしょう。
幼保連携ならではのメリット
認定こども園は、幼稚園と保育園のどちらの機能も持っています。そのため、親の働き方の変化にも柔軟な対応ができる場合が多くなります。
働いていない保護者が、急に保育が必要になった場合は園の空き状況によりますが、仕事を辞めたなど保育の必要がなくなった場合に退園を求められるケースは稀でしょう。
また、0~6歳まで幅広い年齢の子どもが通っている施設が多いため、子どもたちが年齢を超えて触れ合えるのも魅力といえます。
さらに給食の提供があるなど、忙しい保護者にはメリットが大きいでしょう。
金銭面などのデメリット
認定こども園には、デメリットもあります。例えば、0~2歳の子どもを預ける場合、住民税非課税世帯以外は原則保育料がかかります。認可外保育園などの場合は補助が出るため、状況によっては費用が多くかかることも考えられます。
無償化の対象となった場合、施設の種類を問わず保育料はかかりませんが、上乗せの徴収費用や別途かかる料金なども確認しておきましょう。制服費・絵本や鍵盤ハーモニカなどの教育に関する教材費などがかかる園もあります。
出典:子ども・子育て支援新制度の解説資料 2.利用者負担 その1
特色をしっかり理解して快適な園生活を
「子どもを預けて仕事を始めたい」など、家庭によっては早いうちから保育園や認定こども園の利用を検討することもあるでしょう。一口に認定こども園といっても、タイプによって預かる子どもの年齢や、幼稚園・保育園のどちらの要素を強く持っているかは、園によって異なります。
どのような施設が向いているのか、それぞれの特徴やメリットを知って、自分や子どもに合った施設を選ぶことが重要です。
構成・文/HugKum編集部