子供が気管支ぜんそくの疑いがあるとき、どのような判断をすればいいのでしょうか?また、診断された時の正しい対処法は?気管支ぜんそくの場合は、治療を続けながら、発作を起こさないよう、生活面の工夫をすることが重要です。愛育クリニック小児科・母子保健科部長の澁谷法子先生にお話を伺いました。
「気管支ぜんそく」のおもな症状と原因
アレルギー反応やその他の要因で呼吸がしにくくなる発作
のどから肺へつながる空気の通り道(気道)が慢性的な炎症を起こし、呼吸がしにくくなる発作をくり返す病気です。発作が起こると、激しいせきをしたり、呼吸をするとき(おもに息を吐くとき)にゼイゼイ、ヒューヒューと音がしたりします。アレルギー反応によって起こる「アトピー型」のほかにいくつかのタイプがあり、小さい子どもではRSウイルス、ライノウイルスなどの感染が関係するものがよく見られます。
「気管支ぜんそく」治療の基本
「アトピー型」は長引くことが多く、薬を正しく使って発作を予防
治療の基本は、病院で処方される薬を正しく使い、体調をコントロールすること。発作を起こしたときは安静にし、上半身を起こしてすわらせます。腹式呼吸などで呼吸のリズムを整え、少しずつ水分を摂らせましょう。治まらなければ早めに受診を。ウイルス感染がらみのタイプ(ぜんそく型気管支炎ともいわれる)は、3歳を過ぎると発作がほとんど見られなくなりますが、「アトピー型」はそれよりも長くかかることが多く、治まる時期にも個人差があります。
「気管支ぜんそく」予防のためにできること
発作のきっかけをつくるものを遠ざける工夫を
ぜんそくの発作は何らかの刺激がきっかけとなって起こります。「アトピー型」の場合、アレルゲンとしてダニやハウスダスト、ペットやカビなどが知られています。このほか、ぜんそくに共通する悪化因子は、風邪などの感染症や急な温度変化、煙などによる空気の汚れ、激しい運動などです。走り回った後にせき込んでいないか、昼寝のときにゼイゼイと呼吸をしていないかなどを日ごろから注意して見るようにしましょう。
気管支ぜんそくの発作が起こったら
体を起こしてすわらせる
寝かせるとかえって呼吸が苦しくなるので、体を支えたり、抱いたりしてすわらせる。
水分を摂らせる
少しずつ水分を摂らせる。
腹式呼吸をさせる
ゆっくりとおなかに息を吸い込み、ゆっくりと吐く呼吸をさせてみる。
発作のきっかけとなる主な原因
・ダニ、ハウスダスト
・カビ
・動物の毛やフケ
・急な温度の変化
・激しい運動
・空気の汚れ(煙など)
記事監修
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部