【小児科医監修】子供の嘔吐・下痢の原因や対策は?大人にうつらないための排泄物の処理の仕方も

子供の嘔吐や下痢は、ウイルスなどの感染による胃腸炎の症状として見られることがあります。様子を見ながら脱水症状の予防に努めましょう。愛育クリニック 小児科・母子保健科部長の澁谷紀子先生に、原因や対策、感染を予防するためのテクニックについて、お話を伺いました。

子供の嘔吐や下痢の原因は年齢によっていろいろ

胃の構造が未発達なため起こる乳児の嘔吐

胃の構造が未熟なため、ちょっとした刺激で嘔吐することがあります。1歳を過ぎても、激しく泣くことなどがきっかけで吐いてしまうことがありますが、こういった嘔吐は特に心配のないものです。

一方、症状のひとつとしておう吐が見られる病気に胃腸炎があります。気管支炎などの激しいせきや、髄膜炎など脳神経系の病気もおう吐の原因になります。前後の様子をよく見て、適切な処置を心がけましょう。下痢にかんしては、体質的に便が緩めの子もいるので、ふだんのその子と比べて便の状態を見極めることが大切です。

胃腸炎が原因の子供の下痢・嘔吐は季節と深く関係が

嘔吐や下痢を引き起こす病気として多いのは、ウイルスや細菌の感染によって起こる胃腸炎です。暑い季節には細菌性胃腸炎(食中毒)、寒い季節にはウイルス性胃腸炎の感染者が増えます。

嘔吐や下痢をしたときは、脱水症状の予防が第一です。ただし、嘔吐した場合は、直後に水分をとると再び嘔吐を誘発することがあるので、吐き気が治まってから少量ずつ飲ませましょう。

子供が下痢、嘔吐したときのチェックポイント

〜子供の様子〜

□ 顔色は悪くないか
□ 熱はないか
□ 頭痛はないか
□ おなかが張っていないか

〜嘔吐物・排泄物の状態〜

□ 吐いたものの状態(胃液や胆汁など)
□ 便の状態(水様便、白色便、血便など)

胃腸炎などに感染するのを防ぐための対策は?

感染性の胃腸炎は、吐いたものや排泄物に含まれる病原体が手を介して広がることがあります。家族内での流行を防ぐため、吐いたものや排泄物は決められた手順にしたがって処理します。日ごろから、手洗いを徹底することも大切です。幼い子どもは何でも口に入れるので、おもちゃなどもこまめに洗ったり天日干ししたりしましょう。

子供が嘔吐・下痢をしたときのステップ別対処法

1. 体調をチェック

人から人へうつる病気の可能性もあるので、可能であれば兄弟や家族と離れた別室へ移します。上記の「チェックポイント」を参考に体調を確認し、様子を見ながら静かに過ごさせましょう。

2. 吐き気があるときは横向きに寝かせる

あお向けに寝かせた状態で嘔吐すると、吐いたものがのどに詰まって窒息する可能性があります。嘔吐に備えて、顔を横向きにして寝かせるようにします。

3. 嘔吐や下痢の状態を記録

嘔吐や下痢をした時刻や回数、吐いたものや排泄物の状態などを記録しておきます。医師の診療の際にあるとよい場合があるので、少量の排泄物をとっておきます。

4. 水分補給

嘔吐や下痢をくり返すと、脱水を起こすことがあります。飲めるようなら、少量ずつこまめに水分補給を。冷たいものは避け、常温程度に冷ました白湯や麦茶などを与えます。

吐いたものや排泄物の処理のしかた

吐いたものや排泄物の処理が不十分だと、床に残ったウイルスなどから人にうつることもあるので、注意が必要です。

1.  消毒液を作る

水1リットルに次亜塩素酸ナトリウム(台所用の塩素系除菌・漂白剤)20ミリリットルを加えて消毒液を作る。

2. 身支度をする

マスクをかけて使い捨て手袋をはめ、エプロンなどで衣服を覆う。
エプロンが使い捨てでない場合は、他のものと分けて洗濯する。その後、高温の乾燥機で乾燥させたり、アイロンをかけたりすると、より安心。

3. 汚れを取り除く

汚れをペーパータオルで覆い、外側から内側へ集めて取り除く。ペーパータオルは、すぐにポリ袋へ。

4. 消毒液で拭く

の消毒液に浸した別のペーパータオルで、床の汚れていた部分とそのまわりをさらに拭く。

5. ごみを処理する

のペーパータオルやマスクをポリ袋に入れる。手袋を裏返しながら外してポリ袋に入れ(の消毒液も少量入れるとよい)、密封して捨てる。
おう吐したものや排泄物で汚れた衣類は、他のものと分けて洗濯する。高温で消毒するとより安心。

6. 手を洗う

流水と石けんで、丁寧に手を洗う。

 

嘔吐や下痢から始まることが多い子供の病気って?

ウイルス性胃腸炎

ノロウイルスやロタウイルスなどの感染によって、急なおう吐や下痢、発熱などが起こる。感染したウイルスの種類によっては、便が白っぽくなることもある。嘔吐は1〜2日で治まることが多いが、下痢は長引く場合もある。

細菌性胃腸炎 (食中毒)

細菌の感染によって起こる。多く見られる症状は、腹痛、嘔吐、下痢、血便など。細菌がついた食べ物のほか、感染者の吐いたものや排泄物に含まれる細菌が手を介して口に入ることが原因で感染することもある。

腸重積

腸の一部が、腸の別の部分にめり込んでしまう病気。強い腹痛(乳児の場合は、激しく泣き出し、しばらくすると治まるが、またすぐに激しく泣く)や吐き気、血便またはイチゴジャム状の便などの症状が見られる。生後3~4か月から2歳ぐらいまでの子に多い。

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監修/澁谷紀子先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。

出典/『0・1・2歳児の保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編

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