今話題の『出産前の友だちよりも心配な友達の夫に贈る100の言葉』という本をご存知ですか? 人気雑誌VERYの読者300人以上にアンケートして書かれたこの本は、これからパパになる夫たちに「どうかこれだけは覚えておいてほしい」という先輩ママ達のアドバイスが詰まっています。
ちょうど、VERYモデル東原亜希さんのSNSで「頷きすぎて首がもげそうな一冊」と紹介されているのを見て気になっていた筆者。実際読んでみると、本当に頷きすぎて赤べこ状態!! かつて妊娠、出産を経験したママ達も共感しながら楽しめるこの本をレビューします。
目次
「ママ」に変身していく妻のトリセツ
この本は、先輩ママ達からパパへのアドバイスがたっぷり。
「ミルクのあげ方、自己流はだめです」
「お風呂に入れるなら後片付けまでやってね」
「産後すぐの妻の話には“共感”を。異論・反論はいらないよ」
など、厳しいアドバイスが連発! これを読み、来たる未来を想像する男性の気持ち、お察しします……。でも、日々衝突を繰り返しながら過ごすのと、事前にこれを読んで「ママになる女性ってこういうものだ」と知っておくのとでは、お互いのストレスは格段に違うハズ!
もちろん、厳しい言葉だけではありません! 時には新米パパを励ます言葉も。
考えてみれば、ママが妊娠してもパパは身体に変化があるわけもなく、仕事も通常運行。赤ちゃんへの愛情を育みにくいのは当たり前のことですよね。先輩ママのアドバイスは、そんなパパの心もほぐしてくれます。
パパが理解しやすい妊娠出産情報がいっぱい
妊娠が分かると、ママ達は熱心に情報収取を初め、どんどんアップデートしていきますよね。一方、パパは妊娠中の微妙な変化や出産の知識も理解しづらく、ママとの温度差が広がってしまうことも。一般的な妊娠出産情報の多くが女性向けに書かれており、男性にとって理解しづらい表現が多いことも原因かもしれません。
この本の良いところは、あくまでパパ向けの表現なところ。男性が読むことを前提に書かれているので、パパも理解しやすいのではないでしょうか。中でも印象的だったのは、産婦人科医師からの「陣痛は局部を10分おきに5回蹴りあげられるようなもの」という言葉(笑)
パパの理解が格段にアップすること間違いなしです!
監修は、とくダネのコメンテーターでもお馴染みの産婦人科医、宋美玄先生。ご自身も二児のママで、絶賛子育て中。医師目線の確かな情報を、ママの立場を理解した上で書かれているため、共感しやすいところもポイントです。
10人に1人が発症!? 産後うつのママを救えるのはパパ
出産後3カ月以内に産後うつになるママは、10人に1人と言われています。実は、出産で亡くなるママよりも多くのママが、自殺により亡くなっているというデータも。産後、初めての育児と睡眠不足に追い込まれていく妻に気づけるのは、一番近くにいるパパではないでしょうか。
この本では、産後のうつ症状が起こる原因や、対処法について詳しく書かれています。正しい知識を知っておくことでパパがアンテナを張り、最悪の事態を減らすきっかけになってほしいと思います。
あのデザイナーによる、読みやすいレイアウト
文字が多いのに飽きることなく軽く読み進められるこの本。内容の面白さはもちろんのこと、計算しつくされたデザインもその理由だと気づかされます。それもそのはず、デザインはこれまで数々の広告賞を受賞している、MR_DESIGNの佐野研二郎さん! ママ達の身近な作品では、ふうせんいぬティニーのイラストを描いている方としても有名です。この本も、シンプルかつおしゃれなデザインで、プレゼントとしてもピッタリです!
その他、男性学について詳しい大正大学心理社会学人間科学科准教授の田中俊之先生や、NPO法人ファザーリンク・ジャパン代表の安藤哲也さんによる、男性視点のコラムも掲載。女性目線だけでなく、男性の目線からのアドバイスも読むことができますよ。
全部を完璧にできなくてOK!ひとつでもパパの心に届いたら
男性は、妊娠、出産、育児を経て変貌をとげていく妻に、時にはビックリ、時には幻滅することだってあるかもしれません。でも、ママは初めてのことばかりで必死な毎日。パパへの配慮ができないことだってあります。この本を読んだパパ達がママの気持ちに寄り添い、妊娠や出産を自分事として考えることで、一人でも多くのママ達が救われたらいいなと思います。
この本の言葉を全部実行できるパパは、少数派かもしれません。でも、100の言葉のひとつひとつは、先輩ママ達の苦労した体験や、傷ついた経験をもとに絞り出された結晶。ひとつでもパパの心に響いてくれたらいいなと思います。
もし皆さんの周りに、これからパパになる方がいるのなら、プレゼントしてみてはいかがでしょうか!
文・構成/寒河江尚子