授乳後やミルクを飲んだ後、赤ちゃんにゲップをさせます。なぜ、ゲップをさせないといけないでしょうか。当記事では、その理由や赤ちゃんのゲップはいつからいつまでさせるべきかを解説します。また、赤ちゃんがゲップをしないとどうなるのか、さらに、新生児がゲップをしないときの抱き方や対処法もご紹介しましょう。
目次
赤ちゃんにゲップが必要なのはなぜ?
赤ちゃんがミルクを飲み終えたときにはゲップをさせますが、なぜゲップをさせなければならないのでしょうか。その理由を解説していきます。
赤ちゃんがゲップをする理由
ゲップは、正式には「曖気(あいき)」といいます。曖気は、胃の中に溜まった空気やガスの圧が強まると、「噴門(ふんもん)」と呼ばれる食道と胃のつなぎ目の部分が開き、押し出される現象です。
赤ちゃんはこの噴門の筋肉が弱く、少しの刺激で開いてしまいます。また、母乳やミルクを飲むときに、いっしょに空気を吸い込みます。それに加えて、泣いているときにもたくさんの空気を吸い込みます。そのため胃に空気がたくさん溜まってゲップが出ます。
もちろん大人も食べ物や飲み物とともに空気を吸い込むことでゲップが出ることもあります。しかし、大人の場合、吸い込んだ空気は多くの場合血液に溶け込みます。そのため、たまにしかゲップは出ません。
赤ちゃんにゲップが必要な理由
赤ちゃんがミルクを飲んだ後の胃の中は、飲んだミルクとミルクを飲むときに吸い込んだ空気でパンパンになっています。ゲップをさせずにそのままにしておくと、苦しそうにしたり、ミルクが逆流して吐き戻してしまうことがあるのです。
ですので、胃の中の空気を排出させるためにゲップをさせなければなりません。ゲップをさせると、吐き戻しを防ぐことができます。
赤ちゃんのゲップ、いつからいつまでさせる?
赤ちゃんのゲップは、生まれてすぐから、生後3ヶ月くらいまでさせるのが一般的です。というのも、赤ちゃんは成長するにつれ徐々に母乳やミルクを飲む量を調整できるようになり、授乳時に飲み込む空気の量も減っていきます。
また、生後3〜4ヶ月ころには首がすわるようになりますから、その頃には自分でゲップができるようになります。
ただし、生後3ヶ月になって空気をいっぱい吸い込みながら勢いよく母乳やミルクを飲む赤ちゃんであれば、離乳食が始まる5〜6ヶ月くらいまでゲップをさせたほうがよいでしょう。
ゲップをさせるタイミングは?
一般的に赤ちゃんにゲップをさせるタイミングは授乳後です。毎回授乳の後にはゲップをさせましょう。
また、授乳の途中でゲップをさせるのもおすすめです。たとえば、おっぱいの左右を変えるときや、赤ちゃんが一息ついているとき、ミルクを飲みながらむずかっているときなどのタイミングです。授乳途中でゲップをさせると、ゲップが出やすくなることもあります。
赤ちゃんがゲップをしないとどうなる?
赤ちゃんがゲップをしないとどうなるのでしょうか。ゲップをしない赤ちゃんの様子をご紹介します。
出ないと泣く
赤ちゃんはゲップが出ないと、胃の中に空気やガスが溜まり、それが不快感となって泣くことがあります。生後3ヶ月までの赤ちゃんは自分でゲップができないので、パパママが赤ちゃんの背中を叩いてゲップを促すようにしましょう。
苦しそうにする
ゲップをさせずに授乳後すぐ赤ちゃんを平らなところに寝かせると、胃に空気が溜まったままの状態なので苦しそうにしたり、バタバタすることがあります。また、お腹が空気で圧迫されて腹痛が起きて不機嫌になることも…。ゲップで胃の空気を排出してあげることで、苦しさは軽減されます。
おならやしゃっくりをする
ゲップをさせないとお腹に空気が溜まった状態になるため、ゲップの代わりにおならがよく出るようになります。これが数日続くと、お腹が膨らんで苦しくなり、機嫌が悪くなったり、泣くこともあります。また、おならは出るのに便秘になるケースもあります。
しゃっくりは、ミルクを飲んでいるときにいっしょに吸い込んだ空気が横隔膜を圧迫して出ることがあります。このしゃっくりは、ゲップをさせて胃の中の空気を出すことで止まることがよくあります。
新生児がゲップをしないときの抱き方や方法
「なかなかゲップが出ない…」とお悩みのママもいるかもしれませんね。そんなときには、以下のような抱き方や対処法を試してみてください。
縦抱きにして下から上へさする
1 赤ちゃんとパパママが向かい合うようにして縦抱きにします。このとき、赤ちゃんのあごをパパママの肩にのせて顔を横に向け、お尻を片方の腕にのせてしっかり支えるようにしましょう。
2 赤ちゃんの背中を下から上に向かってさすったり、トントンと軽く叩いてください。トントンと軽く叩くときも同じ場所ではなく、下から上へトントンと叩くようにするとよいでしょう。
赤ちゃんの首がまだ座っていない場合は、ゲップをさせるときに赤ちゃんの首が後ろに倒れないように気をつけてください。また、ゲップと同時に赤ちゃんがミルクや母乳を吐き戻してしまうことがあるので、パパママの肩にタオルやガーゼをあてておくと、洋服が汚れる心配がありません。
膝の上に座らせて
1 パパママの左側の太ももの上に赤ちゃんを座らせます。
2 右手を脇の下に入れて、赤ちゃんを前かがみにもたれかけるようにします。パパママの親指の付け根あたりに赤ちゃんの顎をのせるようにしてください。
3 赤ちゃんの背中を下から上に向かってさするか、下から上へトントンと軽く叩きます。
赤ちゃんの胸にパパママの手のひらが当たるようにすることで、赤ちゃんの胸を軽く圧迫することになるので、ゲップが出やすくなります。このとき、けして赤ちゃんの首や耳の下辺り(動脈があります)を圧迫しないように注意してください。
赤ちゃんにゲップをさせる機械もある?
赤ちゃんにゲップをさせるマシーンの動画が話題を呼んでいます。そのマシーンとは、赤ちゃんを前傾にして台に乗せ、ぐるぐる回る自動の手で赤ちゃんの背中を叩くというもの。
しかしこの動画はおもしろ映像として作られたようなので、実際の赤ちゃんでは試されていないようですし、叩き方も強いので、ゲップを出す方法の参考にはなりません。真似しないようにしてくださいね。
赤ちゃんにはゲップをさせて吐き戻しを防ぎましょう
赤ちゃんにゲップをさせるのには、胃の中の空気を出し、吐き戻しを防ぐ意味があります。ご紹介したゲップを出す抱き方や対処法で、授乳後や授乳途中にゲップを出してあげるようにしましょう。
とはいっても、赤ちゃんのゲップが出ないということもあるかもしれませんね。赤ちゃんの機嫌がいいようなら、ゲップを無理に出す必要はありません。ゲップが出ない場合は、いつもよりも5〜10分ほど長めに、胃よりも頭が高くなるように抱っこして様子を見てください。赤ちゃんも少し楽になると思います。肛門を刺激しておならで飲み込んだ空気を出すようにしてもよいでしょう。
記事監修
河井恵美
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部