【助産師監修】新生児の縦抱きはいつから?縦抱きのメリットや抱き方の注意点

生まれたばかりで首がすわる前の赤ちゃんは「横抱き」が基本とされていますが、「縦抱き」をしても大丈夫なのでしょうか?

助産師 河井恵美さんの監修で、新生児の縦抱きはいつからしていいのか、縦抱きを覚えていた方がいい理由、さらに、縦抱きの仕方や注意点についてご紹介します。

新生児を縦抱きしても大丈夫?

新生児、縦抱き
新生児の抱っこで覚えておきたい縦抱き。

まだ首がすわっていない赤ちゃんは、首も体もとってもやわらかいので、抱っこも慎重になりますね。そんな新生児の抱き方には、「横抱き」と「縦抱き」の2種類があります。

「横抱き」は、寝ている赤ちゃんの頭の下に腕を入れて赤ちゃんの首や頭周辺を支え、もう片方の手で赤ちゃんの下半身を抱えます。

一方「縦抱き」は、赤ちゃんの顔をママの胸元に抱き寄せて、赤ちゃんが立った状態になるようにして抱っこする方法です。

首がすわるまでは横抱きが基本

新生児の場合、首がすわっていないため、首元をしっかりママが支えてあげないと首がグラグラと不安定になってしまいます。

そのため、赤ちゃんの首元をママの腕でしっかりサポートできる「横抱き」が基本と覚えておきましょう。

しかし、長時間横抱きしていると、腕が痛くなってきたり肩が凝ったりするかもしれません。またぐずった赤ちゃんをあやすときなどは、横抱きよりも縦抱きのほうがやりやすいかもしれません。

新生児の縦抱きはいつから?

新生児の抱っこは横抱きが基本。ママが安心して赤ちゃんを縦抱きできるようになるのは、生後3〜4か月頃、首がすわり、体がしっかりしてきた頃からとされています。

ただし、3か月になる前でも、赤ちゃんにとってもママにとっても縦抱きのほうがいいシチュエーションもあるため、縦抱きの方法も覚えておいた方がいいでしょう。もちろん、新生児の縦抱きは、十分に注意をしながら行う必要があります。

新生児の縦抱きを覚えていたほうがいい理由

首がすわる前の新生児でも、次のような場面では、縦抱きのほうが何かとやりやすいこともあるでしょう。

授乳時の縦抱き

授乳するときの体勢には、横抱きの他にも、ママと赤ちゃんが寝たままの状態でおっぱいをあげる「添え乳」のほか、ママがソファなどにもたれかかって、赤ちゃんをママのお腹の上に乗せて授乳する「レイバック」など、さまざまな方法があります。縦抱きも、授乳をするときの抱っこのひとつです。

ママが床やソファに座り、赤ちゃんをママの太ももの上に座らせて、ママの乳首がちょうど赤ちゃんの顔の前にくるようにします。

赤ちゃんの頭や腰をママがしっかりサポートしてあげれば、新生児でも行えますし、一人座りができるようになった赤ちゃんには、さらに授乳がしやすくなるでしょう。

縦抱きの授乳は、吐き戻しが多い赤ちゃんや、横向きに寝かせると耳に痛みを感じる赤ちゃんにも適しています。

ゲップさせるとき

赤ちゃんは、おっぱいやミルクを飲むときに空気も一緒に飲んでしまいます。おっぱいが終わった後そのままにしておくと吐いてしまうこともあるため、ゲップで空気を外に出してあげる必要があります。

授乳後のゲップを出すときにやりやすい体勢が、縦抱き。赤ちゃんの体の重みをママの体に預けるようにして密着させて、赤ちゃんの背中をさすったり、軽くトントンと叩くといいでしょう。

縦抱きすると赤ちゃんが寝やすい

赤ちゃんがなかなか眠れずにぐずっているときに、「縦抱きするとすんなり寝た」という経験があるママは多いもの。

赤ちゃんの体とママの体をぴったりと密着させる縦抱きは、ママの心臓の音が赤ちゃんにしっかり伝わり、赤ちゃんが安心して眠りにつきやすいとされています。

もちろん、赤ちゃんによって縦抱きが好きな子とそうでない子がいますが、赤ちゃんがなかなか寝付がない場合は、縦抱きしてみるのもいいでしょう。

ママが横抱きに疲れたときに

新生児の小さな赤ちゃんであっても、長時間抱っこしているとママも疲れてくるもの。新生児の基本の抱き方である横抱きをしていても、長い間抱っこし続けていると、腕がしびれてきたり肩がこったりします。

そんなときは、臨機応変に縦抱きに切り替えてみるのもひとつの方法です。

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新生児の縦抱きの注意点

縦抱きを覚えておくと便利なのですが、新生児は骨格もまだしっかりしていないため、縦抱きをするときにはさまざまなことに注意する必要があります。

首がガクンとならないようにしっかりサポート

首がすわっていない赤ちゃんは、首を支えないで上体を起こすと、首がグラグラしたりガクンとなったりしてしまいます。

生まれたばかりの赤ちゃんは、体に比べて頭が大きく、自分で頭を支えることができません。新生児を縦抱きするときには、赤ちゃんの頭から首にかけてママの手のひらを当てて、しっかり支えてあげることが大切です。

抱っこ紐は大丈夫なのか?

赤ちゃんを縦抱きするときに使用する「抱っこ紐」がありますが、まだ首がすわっていない新生児の場合、縦抱きするときに抱っこ紐は使ってもいいのでしょうか。

前述したように、首がすわる前の赤ちゃんは横抱きが基本です。外出時に抱っこ紐を使ったりする場面もあるかもしれませんが、抱っこ紐を使う場合は、生後3か月くらいを過ぎるまでは縦抱きにしないのがおすすめ。

もし、抱っこ紐を使って縦抱きをしなければならない場面があったら、頭がグラグラしないガード付きのものなど、安全性が高い抱っこ紐を使うようにしましょう。

また、こまめに赤ちゃんの姿勢が崩れていないか、呼吸を妨げていないかなどを見てあげてくださいね。

正しい抱き方で赤ちゃんの体に負担をかけない

首や背中、腰がまだやわらかく、ふにゃふにゃとした体の新生児は、縦抱きによって体に負担がかかってしまう可能性もあります。

特に、赤ちゃんの足はM字型に開いているのが自然です。無理に足を伸ばしたり、股関節を閉じたりしないように、M字型を意識して抱っこしましょう。

間違った抱き方で赤ちゃんを縦抱きしていると、その影響が心配です。正しい方法をマスターしてから、赤ちゃんを縦抱きするようにしましょう。

参照:先天性股関節脱臼予防パンフレット – 日本小児整形外科学会

長時間は控える

正しい抱き方であっても、体がしっかりできていない赤ちゃんを縦抱きし続けていると、赤ちゃんの体への影響が懸念されます。

新生児の縦抱きはあくまでも一時的なもので、短時間に留めておく方がいいでしょう。長時間縦抱きで過ごすことは控えましょう。

横抱きが嫌いにならないようにする

ママの体と密着する縦抱きは、赤ちゃんに安心感をもたらすことができます。しかし、頻繁に縦抱きをして、横抱きにすると赤ちゃんが嫌がって泣くようになってしまうと、ママも大変ですね。

横抱きの場合は、赤ちゃんを片手でしっかりと抱いていれば、反対側の手を使って赤ちゃんの口の周りを拭いてあげたりなどもできますが、縦抱きはママの両手がふさがってしまいます。

ママやパパの負担にならないように、横抱きと縦抱きをうまく使い分けるようにしましょう。

新生児の縦抱きの仕方

新生児を縦抱きする方法や注意点を順にご紹介します。

1. 赤ちゃんの両脇から手を入れて頭を支える

まずは、寝ている赤ちゃんに声をかけます。赤ちゃんは、言葉はわからなくても声は聞こえています。赤ちゃんに何かするときは、ひと声かけてから行うようにする習慣をつけると、ママと赤ちゃんのコミュニケーションにもなりますね。

ひと声かけてから、赤ちゃんの両脇に両手を入れて、その手を背中や頭の後ろに持っていきましょう。

2. 赤ちゃんの後頭部を支えながら抱きあげる

赤ちゃんの背中から後頭部あたりをしっかりと手で支えながら、赤ちゃんを抱きあげて、ママの体の方に抱き寄せます。赤ちゃんの重心をママの体の方に預けるようにして抱きかかえてください。

 

3. 片手は頭から背中、もう片手でお尻を支える

左右どちらかの手をずらして、赤ちゃんのお尻あたりを腕と手で支えます。その後すぐ、もう一方の手と腕で赤ちゃんの頭から背中を支えます。

4. 左右の手で抱き替える

左右の手で抱き替えるときは、赤ちゃんのお尻を支えていた手をずらして、赤ちゃんの頭と背中を支えます。赤ちゃんの体から手を離さずに、沿わせながら手を移動するといいでしょう。そのとき、赤ちゃんの全体重をママの上半身で受け止めてあげてください。

赤ちゃんの頭と背中をしっかり支えながら、赤ちゃんの頭を今までと反対側のママの肩にまわし、左右反対の腕で赤ちゃんのお尻と後頭部を支えます。

5. 抱き下ろす

赤ちゃんを下すときは、赤ちゃんの頭をママの手のひらでしっかり支えながら、お尻を支えている手を股の間にずらし、赤ちゃんのお尻から背中、頭の順にゆっくりと下していきます。

赤ちゃんの体を完全に下してから、ママのををやさしく抜きます。

コツをつかめば縦抱きも大丈夫!

新米ママは特に、新生児の赤ちゃんを抱っこするのは、おっかなびっくりしてしまうもの。しかし、赤ちゃんの抱き方のコツをつかめば、安心しながら抱っこできるようになるはずです。

慣れないうちは、ママも肩こりになったり、腕が痛くなったりするかもしれませんが、抱っこは赤ちゃんとママの大切なスキンシップのひとつ。ぜひ、愛情を感じながらも、慎重に行えるようにしましょう。

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記事監修

河井恵美|助産師・看護師

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

文・構成/HugKum編集部

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