透明感のある色合いが魅力の水彩絵具は、他の絵具と比べて手軽に始めやすく、趣味として絵画を始めるならぴったりの絵具です。
水彩画を始める場合、特に種類が多い画材がパレットです。大きさや形状はもちろん素材もいろいろあるので、何を選べば良いのか分からなくなりがちです。どれくらいの大きさの水彩画を描きたいのか、どれくらいの期間使いそうかなど、使う人によってぴったりのパレットはそれぞれ違います。今回は、水彩画用パレットの違いと、おすすめを紹介します。
水彩画で使うパレットの使い方や特徴は?
アクリル絵具や油絵具と違い、水彩絵具は一般的にパレットで絵具を乾燥させてから使います。そのため、水彩絵具のパレットは絵具を色ごとに入れて乾燥させるための仕切りと、水で溶かして色同士を混ぜ合わせるための調色スペースが必要です。
アクリル絵具のように、乾いても水ですぐに溶けるので、基本的にパレットは洗う必要がありません。調色スペースが無くなった場合は、濡れたタオルなどで拭き取ってスペースを作ります。小学校などで使う絵具は「ガッシュ」と呼ばれ、一般的な水彩絵の具とは違うので、パレットは洗って使うことが多いのです。
水彩画パレットには3つの形状がある
水彩画用パレットには形状によって3種類に分けられます。同じ水彩画用パレットでも、それぞれに使うシーンや目的が少し異なるので、用途に応じて選びましょう。
ボックスタイプ
水彩絵具を色ごとに入れるための仕切りと、調色スペースが組み合わさったタイプです。水彩絵具のパレットとしては基本的なタイプで、使う色の数と同じ数だけ、絵具を出すための小さく仕切られたスペースが必要です。
絵具を出す仕切りの数が多すぎてもスペースが無駄になるだけなので、持っている絵具の数に応じて選びましょう。小中学校の授業で使うパレットの多くは、ボックスタイプのパレットです。
デザインタイプ
調色スペースがメインになっているタイプのパレットです。それぞれの仕切りが深めになっているタイプが多く、隣の皿同士で混色しにくく、好きな色を作りやすくなります。
ボックスタイプだけでは、調色スペースが足りない場合に組み合わせて使うと便利です。大きさもさまざまなので、色をあまり使わない場合やコンパクトなパレットが欲しい場合もおすすめできます。
また、もともと固まっている固形タイプの水彩絵具を使う場合は、デザインタイプのパレットだけでも良いでしょう。
補助タイプ
メインで使うパレットでは使いたい色を出すスペースが足りない場合、補助的な役割で使えるパレットです。
深さがあるタイプが多く、同一の色をたくさん使いたい場合も便利です。梅皿と呼ばれるパレットが代表的で、絵具を入れる場所が7か所あり梅の花の形をしています。メインのパレットとしては小さいですが、梅皿であれば、たまに水彩絵葉書を描きたい程度ならこれだけでも十分です。
水彩画パレットの素材
形以外にも、パレットの素材で違いがあります。パレットの素材は、水彩画に取り組む頻度や使うシーンによって最適なタイプが異なります。
プラスチック
絵具をはじきやすく色移りもしやすいですが、軽くて安価なので初めて買うパレットには向いています。軽い素材なので、パレットを持ちながら描く場合も手が疲れにくいです。
また、サイズや仕切りのタイプも種類が豊富で、自分にあったパレットデザインを見付けやすく、初心者から上級者まで愛用者は多いです。
アルミ
プラスチックに比べて色移りしにくく、金属の中でも軽いので長時間持っていても疲れません。プラスチックよりも値段が高くなることは多いですが、丈夫で壊れにくいので長く使えます。
白色に塗装しているタイプが多く、絵具の色がはっきり分かるので、調色した絵具を実際にキャンパスに塗ったときのイメージがつかみやすいです。
陶器
補助タイプのパレットに多く使われる素材で、素材自体が白く劣化もしないので長く使え、絵具の色もはっきりと分かります。
陶器なので割れやすく、持ち運びにはあまり向いていません。基本的には机などに置いて使うパレットです。
おすすめの水彩画パレット6選!
形状・素材ごとにおすすめの水彩画用パレットを紹介します。
パレット 15色用 – サクラ
ボックスタイプのプラスチック製パレットです。15色の水彩絵具を出すスペースは深めに設計されているので、絵具を固めずに使った場合も隣と色が混ざりにくいです。
また、特殊加工を施すことで水を弾きにくくなっているので、調色した絵具がパレット上で水滴になって転がらず定着しやすいです。プラスチック製のため軽く、値段も安価なので初心者にはおすすめのパレットです。
水彩パレット No.200 – ホルベイン画材
ボックスタイプのアルミ製パレットです。横352mm×縦306mmの中に、たっぷり35色の水彩絵具を出すスペースがあります。調色スペースも広く高さもあるので、さまざまな色を調色して色とりどりの水彩画を描きたい人に向いています。
アルミ製で丈夫なので、本格的に水彩画に取り組みたい人でも、問題なく利用可能なパレットです。
アートパレットS – 坪米製作所
デザインタイプのプラスチック製パレットです。プラスチック製ですが水を弾きにくい加工がされており、調色後も水滴になりにくいです。
小さな仕切りが6つと大きな仕切りが2つのコンパクトなタイプで持ち運びやメンテナンスもしやすく、サブパレットとして使い勝手の良いパレットです。水切り用のエッジが付いているので、筆に付く絵具の量を調整しやすくなっています。
デザインパレット(大) – ホルベイン画材
デザインタイプのプラスチック製パレットです。デザインタイプの中でも大型のタイプで、違う色を混ぜ合わせる混色皿が8個と、仕切り付きのスペースが12個付いています。
1つ1つのスペースは高さもあるので、調色した色が隣同士で混ざり合ってしまう心配もありません。メインで使っているパレットではスペースが足りない場合、これ1つ用意すればたくさんの調色スペースを確保できます。
陶器 梅皿パック 8.5cm – 墨運堂
補助タイプの陶器パレットです。7つに仕切られたスペースは深く、コンパクトながら広いスペースを描くだけの絵具を溶かし入れられます。また、陶器の白が絵具の色をはっきりと見せるため細かい調色ができますよ。
水彩画に本格的に取り組む人が補助パレットとして利用する用途のほか、趣味で初めて絵葉書に挑戦するような場合も、洗いやすくコンパクトな陶器の梅皿はおすすめです。
w-lette – ダブレット・ラボ
ボックスタイプのプラスチック製パレットです。専用フレームで風景などをトレースできるので、初心者でも簡単に下書きを描けます。
12色分の絵具を出すスペースと、広めの調色スペースが確保されていて、これから水彩絵具で風景画を始めたい人にはぴったりのパレットです。
自分にぴったりのパレットを用意して水彩画を楽しもう!
水彩画用のパレットの選び方には、大きさ以外にもさまざまなポイントがあります。水彩画を楽しむためには、水彩絵具や筆以上にパレット選びが大切です。
書きたい水彩画のサイズや使う頻度はもちろん、使いたい色の数や使う場所などによっても、最適なパレットは異なります。自分が絵を描いているシーンをイメージして、ぴったりのパレットを選びましょう。
文・構成/HugKum編集部