「々」は漢字ではなく、記号。通称「ノマ」
直前の漢字の読みを繰り返しているだけなので、なんだか自分がないような文字ですが、実はこれは漢字ではありません。
繰り返しを表す記号で、「踊り字」「畳字(じょうじ)」などと呼ばれています。特に「々」は、「同の字点」とか、片仮名の「ノ」と「マ」に分解できることから、「ノマ(点)」などと呼ばれることもあります。
ワープロソフトでは「どう」「おなじ」「くりかえし」「おどりじ」で変換。
固有の読みがないので、国語辞典の見出しに載せられません。ただ、最近の漢字の辞典の中には、これを載せているものもあります。でも固有の読みはありませんから音訓索引からは引けず、総画索引で引くしかありません。画数は3画です。
「々」はワープロソフトなどですと、ふつうは「どう」「おなじ」「くりかえし」「おどりじ」と入力すると変換できます。
ひらがなにもある踊り字
ちなみに、平仮名にも踊り字はあります。詩人の金子みすゞの「ゞ」がそうで、「一の字点」などと呼ばれています。
記事執筆
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。