幼児期・児童期にもはぐくみたい「キャリア教育」とは? Vol.1そもそもどんな教育?

皆さんは「キャリア教育」という言葉を聞いたことがありますか?最近は「プログラミング教育」「道徳教育」などの新しい「●●教育」という言葉に押され気味ですが、聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?

今回は、その「キャリア教育」とはどのような教育なのか、考えてみたいと思います。

「キャリア教育」ってどんな教育?

「キャリア」と聞くと、大人の場合は就職や学歴、昇進など「職業」の選択や決定、子どもの場合は、大学の学部選び、会社選びなど「進路」の選択や指導をイメージするかもしれませんね。いずれにしても、幼児期・児童期には早いように感じる方も多いと思います。

ですが、文科省・中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」では、「キャリア」または「キャリア教育」は以下のように定義されています。

 

●キャリアとは

人は、他者や社会とのかかわりの中で、職業人、家庭人、地域社会の一員等、様々な役割を担いながら生きている。(中略)人は、このような自分の役割を果たして活動すること、つまり「働くこと」を通して、人や社会にかかわることになり,そのかかわり方の違いが「自分らしい生き方」となっていくものである。このように,人が,生涯の中で様々な役割を果たす過程で,自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ねが,「キャリア」の意味するところである。

●キャリア教育とは

一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育

 

つまり、自分の役割を果たして活動することを通して、生涯に渡って自分の価値や役割を見つけ、人や社会と関わっていくことがキャリアであり、「キャリア教育」は単なる学部・会社選びや進路選択を促すのではなく、それらも踏まえて広い視野、長期的な視点で子どもたちの「自立」に向けての能力や態度を身に付け、「自分らしい生き方とは何か?」を自身で考え、選び、行動できるための教育と言えるのではないでしょうか?

 

いつから子どものキャリア教育を考えると良い?

このように、キャリア教育とは

①社会や他者との関わりの中から、自身の役割・生き方を見つけ

②自分で考え、行動するために必要な発達を促す教育

と言えそうです。では、いつくらいから意識して、どう子どもに関わると良いのでしょうか?

 

キャリア教育は今年度からの小学校新学習指導要領に改訂ポイントとして盛り込まれているのですが、①②とも、幼児期・児童期でも親の関わりで十分に育める力ではないかと思います。

実際、幼稚園教育要領にも「キャリア教育」とは明言されていませんが、改訂のポイントとして、「自立心」「協同性」「道徳性・規範意識の芽生え」「社会生活との関わり」といった言葉が追記されています。(新しい幼稚園教育要領は2018年度から実施)

 

難しく考えなくても、家でのお手伝いをお願いして、家族の中での自分の役割を持たせたり、親が先回りしたり、独断で決めてしまうのではなく、小さなことでもいいので、「相談して一緒に決める」経験や、毎日の洋服や、朝ご飯をパンにするかご飯にするかなど「子どもが自分で決められることは自分で決める」経験をたくさんさせてあげるのも良いと思います。

この辺の話は、まだ次回に詳しく書きたいと思います。

 

キャリア教育の本質をどう捉えるか

いかがでしたか?キャリア教育とは、端的に言うと「子どもが自立し、より良く生きるための教育」です。「社会人になる」ことだけを目標とするのではなく、「キャリア」の言葉の意味を広く捉え、「他者と関われる」「自分で考えられる」など「主体的に人生を切り拓くにはどう関わったら良いかを考えて関わっていくことが大切なのではないでしょうか。

     

    文/かつまたけいこ

    大手情報サービス企業を卒業して早5年半。国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、現在は大学での就活支援、ライター、情報教育支援など数足のわらじを履いて生きています。中1娘、小2息子の二児の母。

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