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不登校は本当に不幸?そのイメージを覆す家族の選択とは
不登校・非登校を親はどう考えるべきか。我が子が学校に行きたがらないとき、親や家庭はどんなサポートができるのか…。生駒さんのお宅は、中2長男を筆頭に小6、小4、小2、4歳、2歳の6人のきょうだいが全員、自宅を学びの場として日常生活を送っています。学校にとらわれず、フリースクールや自宅学習などで自主学習を中心に学ぶケースを取材しました。
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ホームスクール歴8年。生駒さんが行き着いた答え
学校が休校になって以来、ものすごいスピードですすむ授業、たくさん課せられるドリル。学校行事も中止や縮小の中、機械的に問題を解くタイプの学習が多くなって、子どもたちの勉強のテンションは下がりまくりでは?
そんなときは、子どもの興味を中心にした学びを差し込んであげるといいのです。
「えっ、また勉強?」と不満を漏らす子は、少ないはず。自分の「好き」をどんどん深め、広げていく学習は、勉強というより遊びの感覚です。
動物が好きな子なら、図鑑を手に動物園に行って、動物の意外な生態を知る。サッカーが大好きな子なら、有名サッカー選手の栄養やトレーニングで身体がどう変わるかのメカニズムを学ぶ。こんな学習なら、「おもしろい! もっと知りたい!」となりますよね。
実は、こうした「探求型学習」は、学校に望むより、時間の制限がない自宅で学んだほうが、余裕がある分、楽しさも学びの深さも十分に期待できます。親が勉強を教えるなんて……、と思うかもしれないけれど、実は親は子どもの背中を押すだけ。
で、実際どうしたらうまくいくのか? 子どもたちの不登校をきっかけに「ホームスクール」を始めて8年。今や子どもたちは発酵学や物理学、農業やプログラミングまで学ぶという生駒知里さんに、生駒家の自宅学習法を、伝授してもらいました。
【人口密度って…なんだ? 北海道と神奈川県を比べてみた】小4、小6
テレビや身近な人の会話の中で、子どもたちがふとひっかかる言葉があります。「それってなんだろう?」 素朴な疑問を聞いたら、すぐにその場で調べ出すとよいのです。
生駒家の次男くん(小6)は、ある日、人口密度の意味を知りたくなりました。
比べる対象をもっとよく知るための学習にも広がる
こういうの、算数の問題によく出てきますが、自分の住んでいる地域と、旅行で行ったことのある場所とを比べたりすると、風景や街の様子の違いなどを実感しているから、ますます数字をリアルに感じることができます。
「えっ……こんなに違うの?」
そばで見ていた知里さんも、子どもたちといっしょにびっくり!
「北海道には人が住んでいない平原も多いよね」「うちのそばはマンションだらけだ」
そんな会話もできるでしょう。
子どもたちの関心のままに、算数から地理へと、進んでいくこともありそうですね。
◆この学びを真似するなら……
・比較するときは、ふたつを同じ条件にすること。
令和2年の人口と平成15年の人口で計算しても比較できないことは教えてあげましょう。
・比較する地域の地図や旅行ガイドなどがあれば、さりげなくそばに置いておきましょう。
何も言わず、ただそっと置いておくのです。親は「読んでみなさい」とか「これに書いてあるわよ」などと意見を言いません。知里さんはこの行為を「置き本」と呼んでいます。
【かまぼこキットでかまぼこをひとりで作る】小2
かまぼこ作りの“キット”を手に入れて、小2の長女ちゃんがひとりでかまぼこを作り始めました。
すり身をペタペタとかまぼこ形にして蒸したら、表面が固くなって、「なぜだろう……?」と疑問が沸いてきました。すると、すかさず小4の三男くんが、「簡単だよ、タンパク質が固まるんだ」。
生駒家は、なんと6人きょうだい。「ホームスクール」では、親が手を出さないかわりに、子どもたち同士が先生になったり生徒になったり、教え教えられて学んでいきます。
でも、長女ちゃんに「どうして固まるの? タンパク質って何?」と問われると正しく答えられないからと、新たに調べ始めた三男くん。
日常の中に利用されている化学変化を学ぶ
「わかったよ! 魚のすり身のタンパク質は、熱を加えると分子が分解されて水素が出ちゃうんだよ。それで固くなる。ほかにも豆腐とかチーズとかは熱以外でも固まるよ。卵はもっと複雑で……」
三男くんの説明が難しすぎて、ついていけない長女ちゃん。
でも、気を取り直して、これまでの自分の体験を思い出し、熱で固くなるもの、熱でやわらかくなるもののリストを作っていたそうです。
◆この学びを真似するなら……
・一般の小2の子どもだと、慣れていなくてなかなかここまで自分ひとりで調理はできません。まず、レシピを読み込み、作り方のプロセスを頭に入れるところは、一緒にやってあげると安心です。火を使うときはついていて火傷をしないように見守ります。
・親やきょうだいが教えるときには、間違った情報を伝えないようにしながら、一緒に調べていきます。
・親は答えを知っていても、子どもには口を出しません。「わかった!」は、あくまで本人のためにとっておきます。
・むしろ、大人は子どもに「なぜ固まるか」を教えてもらう立場になることが大切です。