2020年ノーベル化学賞の技術について『ドラえもん 科学ワールド』が解説!ステーキ味のトマトをうみだした「ゲノム編集」って?

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ステーキ味のトマトや、食べる部分が多くなった肉厚の魚。「こんなこといいな、できたらいいな♪」とくちずさみたくなるような技術が、すでに遺伝子工学の技術によって作りだされているのをご存じですか?

その遺伝子工学の技術である「ゲノム編集」のうち、画期的な方法を発表した二人の女性科学者が、2020年のノーベル化学賞を受賞しました。受賞したのは、マックス・プランク感染生物学研究所 エマニュエル・シャルパンティエ所長と、 カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授で、いずれも女性の研究者です。

ノーベル化学賞というと「一般人にはわからない難しい話」と敬遠しがちですが、上記のような不思議なトマトや魚を作りだし、日常生活を驚きや便利さで満たしてくれるという意味で、遺伝子工学は私たちにとって身近な存在となっています。

最近よく聞く「遺伝子組み換え」の問題もからんで、子どもに遺伝子技術について聞かれる機会も増えてくることでしょう。さて、ではこの「ゲノム編集」について、どのくらい正確にお子さんに説明できますか?

『ドラえもん  科学ワールド ~未来のくらし~』が教えてくれること

「なかったものを作り出す」といわれる遺伝子工学。なかでも2020年のノーベル化学賞受賞の「ゲノム編集」について、わかりやすく解説してくれるのが『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』です。

『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』 小学館/850円+税

 

この本の中で、ゲノム編集がどのように紹介されているか、少しぺージをめくってみましょう。

“生命の設計図” 遺伝子を組みかえるゲノム編集

動物や植物の組織・器官をつくりあげ、その生命システムが機能するようプログラムされた、いわば設計図が「遺伝子」です。動植物の細胞のなかにあるDNAと呼ばれるもので、二重の鎖のらせん状であることがわかっています。

このDNAの鎖部分の配列が「設計図」の情報そのものなので、ハサミで切るようにその鎖を断ち切り、その修復時におこる突然変異を待つことで、新しい情報に書き換えられたDNAを作り出すことができます。このような技術が「ゲノム編集」と呼ばれています。

※イメージ

 

それ以前は偶然に頼る場合が多かったこのゲノム編集において、狙った場所の鎖だけを断ち切る効率的な“ハサミ”の技術が生みだされました。それが「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれる画期的な手法で、その技術を発表した二人の研究者が、2020年10月にノーベル化学賞を受賞しました。

 

『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』では、「ゲノム編集」について数ぺージにわたって詳しく解説されています

ゲノム編集で実現したこと

さて、それではそのゲノム編集によって、どのようなことが実現したのでしょうか。

ステーキ味のトマト

トマトに、牛肉に含まれるミオグロビンというタンパク質をつくる遺伝子を組み込んだところ、なんとステーキ味のトマトが開発されました。野菜嫌いの人も、肉を食べるようなつもりでトマトを食べられますね。

病気に強いブドウ

ワイン農家はブドウの病気による収穫量の変動に長らく悩まされてきましたが、ウドンコ病に耐性のあるブドウが開発されています。おいしいワインが安定した価格で供給されるようになるかもしれませんね。

食べられる部分の多いマダイ

マダイの筋肉の成長を抑える遺伝子を抑制することで、食べられる部分が通常の1.2倍もある肉厚マダイを育てることに成功しました。

 

他にも、遺伝子工学技術で成功した例が上記の『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』の中で解説されています。

便利?  安全?  遺伝子組み換えについて考えるべきこと

このように、さまざまな「便利」が実現するゲノム編集。実際に新型コロナの研究にも用いられ、その他の医療にも役立てられています。

初期の遺伝子組み換えが、農作物の収穫量アップや、新しいメリットが加えられた作物の生産などに利用されていた一方で、これからは公害物質を吸収・回収する作物を作り出したり、環境に強い作物で砂漠の緑化を進めるなど、地球環境に役立つ用途も研究されはじめています。

しかし、意図的に作りだされた生物・作物が未来に及ぼす影響や、人間が動植物を「便利に」改変することなど、倫理的に多くの問題を含んでいることも確かです。このような技術がさらに普及する時代を生きる子どもたちと、これらの問題について、日頃から家族で話し合ってみる必要もありますね。

「未来のくらし」はもう始まっている!

『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』では、上でご紹介した遺伝子工学技術のほか、AI(人工知能)、自動運転車、VR(バーチャルリアリティ)など、これからの時代を生きる子どもたちに欠かせない最先端の科学知識について、ドラえもんの漫画や図説でわかりやすく解説しています。

『ドラえもん 科学ワールド ~未来のくらし~』より

 

理科の教科学習も大切ですが、科学と生活の関わりや技術と倫理の問題などをふだんからの話題とすることで、理系の学問や進路への関心が生まれるかもしれません。これからの「未来」を生きる子どもたちはもちろん、そんな子どもたちに伴走するパパママも、「未来のくらし」についてぜひ知見を深めてみてください。

 

漫画:藤子・F・不二雄 小学館 850円+税
ドラえもんの漫画を通じて、自然科学や先端科学をテーマ別に取り上げる、子ども向けの科学の学習本「ドラえもん科学ワールド」。20巻目である「未来のくらし」はドラえもんのひみつ道具をきっかけに、先端科学によって未来の生活がどのように変わるのか、わかりやすく解説しています。
未来の医療はどうなる?未来の乗り物は?農業は?家は?エネルギーは? 様々な観点から未来のくらしについて学習でき、大人も子どもも楽しめる1冊です。

構成・文/HugKum編集部 Ⓒ藤子プロ・小学館

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