宇宙の温度って知ってる? 宇宙について楽しく学べるおすすめ本はこれ!【親子でプチ科学】

PR

宇宙というと、多くの人がブラックホールや惑星を想像するでしょう。しかし、宇宙の温度についてはあまり知られていません。宇宙の温度の疑問を解消するとともに、発見された背景も学びましょう。宇宙について楽しく学べるおすすめ本も紹介します。

宇宙は暑いの寒いの?

まだ判明していないことが多い宇宙でも、温度については正確なことが分かっています。日常的に用いる「温度」について再確認するとともに、宇宙の温度を知りましょう。

そもそも温度ってなんだろう?

宇宙の温度を学習する前に、まずは温度という単位について考えてみましょう。

温度とは、物質の温かさや冷たさを数値化する尺度です。数値化の基準になるのは、物質が持つエネルギーの量です。

分子や原子の運動(熱運動)の激しさによって、温度は決まります。分子や原子が激しく動けばエネルギーが増えて温度が上がり、運動量が少ないとエネルギーが減って温度が下がる仕組みです。

温度を表す単位はいくつも存在します。日本で一般的な単位「摂氏温度」では、水が凍って氷になる温度を0℃、水が沸騰して蒸気になる温度を100℃としています。

宇宙の温度は約-270℃

一般的に宇宙は真空といわれています。真空状態では空気の分子が存在しないため、熱は伝わりません。では、宇宙には温度はないのでしょうか?  実は、厳密にいうと宇宙は真空ではなくわずかに分子が存在するため、宇宙にも温度は存在します。

宇宙の温度はおよそ3K(ケルビン)ということが分かっています。K(ケルビン)とは「絶対温度」の単位です。一つの物質である水の性質を基準にする摂氏温度に対し、絶対温度は自然界すべての物質に共通の性質が基準となっています。

一定の圧力のもとで体積と温度が比例する「シャルルの法則」では、約-273℃で体積が0になってしまうことから、絶対温度では-273℃を0K(絶対零度)としています。3Kを摂氏温度に換算した宇宙の温度が「約-270℃」です。

宇宙でも日なたと日陰で温度が違う

日なたと日陰で温度が違うのは、ほぼ真空状態の宇宙でも同じです。宇宙でも熱を感じる理由は、赤外線の熱を伝える性質にあります。

熱を持つものは、赤外線を放出します。火に近づくと触らなくても温かいのは、火から出る赤外線が肌を温めるからです。これと同じように、スペースシャトルや人工衛星などの表面は、太陽の出す紫外線によって温められます。

ほぼ真空状態の宇宙では空気による冷却作用がないため、日なたの温度は約120℃です。日陰は約-150℃で、日なたと日陰で200℃以上の温度差が生じます。

宇宙の温度はどうやって発見されたの?

宇宙の温度は約-270℃です。この根拠と、どのようにして発見されのかを見ていきましょう。

二人の物理学者が宇宙からの電磁波を確認

宇宙の温度が発見されたきっかけは、二人の物理学者によって宇宙からの電磁波が確認されたことでした。アメリカのベル電話研究所で働く「アーノ・ペンジアス」と「ロバート・ウィルソン」がその二人です。

1965年、研究の過程でペンジアスとウィルソンはアンテナからあるノイズ(雑音)を拾いました。ノイズを減らすよう努力してもうまくいかず、どこにアンテナを向けてもノイズを受信してしまいます。ノイズの発生源すら二人は特定できませんでした。

あらゆる可能性を検討した二人は、最終的にノイズの正体を「宇宙からの電磁波」と結論づけました。これが現在「宇宙マイクロ波背景放射(CMB)」と呼ばれる電磁波です。

電磁波の波長から宇宙の温度を計算

ペンジアスとウィルソンが発見した電磁波の波長(CMB)から、のちに宇宙の温度が判明しました。そのきっかけとなったのが、1989年に「アメリカ航空宇宙局(NASA)」が打ち上げた初の人工衛星「COBE(コービー)」です。

COBEの観測によって、CMBの波長は約3Kの黒体放射と完全に一致すること分かりました。これにより、宇宙の温度は約3Kと計算できたのです。

宇宙の温度が判明するきっかけとなったCMB発見の功績により、78年にペンジアスとウィルソンはノーベル物理学賞を受賞しています。

光の速度について学ぼう|「光」とは何なのか、速さはこうして測った!
光の速度とはどれくらいでしょうか?物理の授業で習ったことがあっても、光の性質や速さについて説明するのが難しいと感じる人は多くないかも...

大好きな宇宙について学べるおすすめの本

宇宙の温度の疑問が解決すると、新しい疑問が生じることもあります。そんなときは、宇宙について学べる本を読むのがおすすめです。子ども向けの本も多くあるため、親子で楽しく宇宙について学ぶことができます。

親子で楽しく学べる「宇宙について知っておくべき100のこと」竹内薫

「宇宙について知っておくべき100のこと」は、親子で楽しく学べる宇宙科学の入門書です。イラストや図で情報やデータを直感的に伝える、インフォグラフィックスという技術を用いています。

「国際宇宙ステーションでは1日に15回日が沈む」「火星に降る雪は四角い」など、この本では100ものトピックを取り上げています。可愛らしい表紙で子ども向けの本に見えますが、大人も夢中になって楽しめる1冊です。

 

仕掛けが楽しい「うちゅうのふしぎ」ロブ・ロイドジョーンズ

「うちゅうのふしぎ」は、宇宙に興味を持ったばかりの子どもにぴったりの仕掛け絵本です。全編ひらがなとカタカナのため、文字を覚えたばかりの幼児でも楽しめます。

全17ページの1冊に70個以上の仕掛けがあり、仕掛けをめくるたびに宇宙の基礎知識を学べます。内容は盛りだくさんで、大人の知らない知識も載っているため、小学校高学年の子どもや大人も楽しめるでしょう。

宇宙のことを全部知りたい「小学館の図鑑NEO 宇宙」

土星の環の正体は?もしもブラックホールに落ちたらどうなる?宇宙の運命は?好奇心と考える力がどんどん伸びる構成!NEOだけの最新情報がいっぱい!新しい切り口と、美しいビジュアルで宇宙のなぞにせまります。3歳から高学年、だれでも楽しく読めます。

宇宙の温度は存在する

完全な真空ではないため、宇宙には温度が存在します。宇宙の温度は約-270℃とされているものの、日なたの温度は約120℃。宇宙とひとくちでいっても、太陽との位置関係によって温度にはこんなに差があるんですね。暑くて寒い宇宙の温度のことを考えると不思議な気持ちになりますね。

温度についての疑問をきっかけに、宇宙について深く学びましょう!

太陽の大きさってどのくらい? 月と同じくらいの大きさに見える理由とは
太陽なくして地球の生物は生きていけません。しかし、重要であるわりに、太陽について詳しく説明するのは案外難しいものです。その大きさ・年...

文・構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事