子どもの視野が広がる!国内留学で体験できること
1年間親元を離れ、豊かな自然に囲まれた土地で生活する国内留学では、どんな体験ができるのでしょうか。実際の暮らしなど、2回の留学を通じて体験したことについて伺いました。
滝田さん:種子島のステイ先は、郷土料理を教えている先生のご家庭だったので、味覚がすごく発達しました。5年生で行った北海道の十勝は牧場でのファームステイ。ステイ先は4人兄弟のお家で、おじいちゃん、おばあちゃんもいらっしゃる大家族。ひとりっ子からいきなり8人の大家族になって、さらに牛が300頭いるので環境が一変。牛の出産も見せてもらったし、死産も見て。留学中の授業の一環で観光牧場では生肉になる過程も体験しました。光だけじゃない、表には出てこない貴重な体験をたくさんしたと思います。
Q 実際の暮らしはどんな感じ?
滝田さん:実際の暮らしはいい意味で普通。別に特に何があるというわけじゃなく、当たり前の、昭和の古き良き生活です。古いしきたりなので、上下関係や挨拶には厳しくて、目上の人に対する敬語の使い方や言葉使いが変わりました。現地では挨拶は必ず年下から、というのが当たり前。目上の人を敬う、年寄りは知恵の宝庫だから敬う、小さい子の面倒を見る。そうしたことを本人が身をもって体験できたことは、今の生活にも大きく影響していると思います。
Q 学校の勉強は?心配ごとはなかった?
滝田さん:種子島でも十勝でも、たまたま使っている教科書が同じだったこともあって、学習面での違和感はまったくありませんでした。全校生徒の人数は東京のひとクラス分程度。なので、本当に密で、毎日給食当番が回ってくるような、いつでも自分が主役になれる環境です。塾はもちろんありませんでしたが、毎日の音読や100文字の漢字練習、計算練習など、宿題はしっかり出ていましたね。学校の授業をきちんとできていれば、世の中に出たときに困らないよね、という考え方で、義務教育を大切にしています。
留学後、どのような変化があった?親子関係は変わる?
Q 留学を終えた後の様子は?
滝田さん:娘をはじめ、留学をした子どもたちみんなに言えることですが、1年間やりきったということ自体が、もう素晴らしい成功体験。みんなイキイキしてるし、内面も顔つきも全然変わります。ゆるっとしてた子がキリッとする。そこからさらにステップアップしていく子もいますが、中には元の生活に戻れず、逆ホームシックになってしまう子も……。でも、そこもバネにして、私立の中高一貫校に合格したりと、やっぱり強い!です。1年間親元を離れたという成功体験があるので、何があってもやってのけてしまう力が備わったと感じます。
Q 親子関係に変化はあった?
滝田さん:もう、ありがたみが違いますね。一緒にいるのが当たり前な中、一緒にいられない時間を経験したからこそ、感謝の言葉を常々述べてくれたり、これをやってくれてうれしいとか、やっぱり伝えないと伝わらないことも多いので、言葉にすることをすごく大事にしてくれるようになりました。親子関係はとてもよくなったと思います。
国内留学をする際に心得ておきたいこと
ニーズが高まっている今、ぜひわが子に国内留学をさせたい!と興味を持つご家庭も多いようですが、その際に親として心得ておきたいことを伺いました。
一番大切なのは本人の意思
滝田さん:国内留学がいい、と聞くと、すぐに「行かせたい!」と親御さんが先走りがち。気をつけてほしいのは、”国内留学をさせる”が目的になってはダメなんです。主語が国内留学ではダメ。お子さんがどうしたいのかが一番大切です。お子さんが行きたいのと、ご両親が行かせたい、というのはまったく本質が異なります。行かせたいと考えるのであれば、無理に実行するのではなく、まずは興味を持つように親が仕向けること。本人に「行きたい」意思がきちんとあることが本当に重要なんです。それがないまま行ってしまうと、リタイアにつながるリスクが高まります。成功するカギは本人の意思と親子に覚悟があるかどうか、だと思います。
子どもの特性を見極める
滝田さん:先ほども述べましたが、まずは本人の意思が一番。お子さんの特性を見て、わが子には何がヒットするのか、そのために留学が本当に必要なのか、それを見極める必要があります。その上で、お友だちにからかわれても跳ね返せる強さがあるかどうか。実際にはいじめがなく「かわいがられてるんだよ〜」と伝えても、本人がいじめと認識してしまって「いじめられました」と帰ってしまうお子さんもいらっしゃいます。気が弱い子ほど開花する場合ももちろんありますが、タフさは大事かと思います。
親がしっかりサポートする
滝田さん:行く前も行ったあとも親のサポートはとても大事です。言葉かけも。行ったあとに「やっぱり帰りたい」とか、電話がかかってくる場合もあるんですけど、そのときの声がけで潰れてしまったり、伸びたり、対応によってその後はさまざま。そのときのお子さんにあった声かけができるかというのが本当に重要なんです。それには里親さんと密に連絡を取って、わが子の状況を把握すること。里親さんと一緒に育てる、という感覚を持つといいと思います。
留学中は里親さんにお任せする
滝田さん:送り出した以上は、ステイ先のおうちにお任せするのが鉄則。娘のときは、里親さんに「1年間はお宅のお子さんなので、煮るなり焼くなり好きにしてください」と伝えました。すると、里親さんから「助かります」と言われて。せっかく留学をさせても、親の過干渉によって里親さんとぶつかってしまい、トラブルに繋がるケースもあります。親のせいで断念をするのはもったいないので、留学期間中は里親さんにまるっとお任せする心構えが必要です。
滝田さんのリアルな体験談から、国内留学のさまざまな魅力や心得るべきことがわかりましたね。次回は費用や年齢に応じたおすすめのプラン、スポットなど、具体的な内容をお届けします!
取材・文/村井絢