チャイルドシートはいつまで使う?6歳未満の使用状況は
「子どもをクルマに乗せる時は、子どもの身体の大きさに合ったチャイルドシートに座らせる」ということは、みなさん実践されていると思います。
毎年警察庁とJAF(日本自動車連盟)が合同で行っている「チャイルドシート使用状況調査」によりますと、2019年は道路交通法によって着用が義務付けられている「6歳未満」のチャイルドシート使用率は約70%で、前年よりやや向上しました。
■6歳未満のチャイルドシート乗車状況(2019年)
■年齢別チャイルドシート利用率(2019年)
参照:国土交通省「チャイルドシートコーナー」
チャイルドシートの重要性
しかし、年齢別の使用率を見てみますと、0歳の赤ちゃんは90%近い使用率ですが、年齢が上がるにつれ低くなり、5歳では48%と半数を下回っています。チャイルドシートの重要性についてはみなさんよくご存じだと思いますが、あらためてこちらの映像でポイントを確認しておきましょう。
「チャイルドシートを正しく使いましょう〜お子さまを交通事故から守るために〜」(国土交通省)
6歳になったらチャイルドシートは使わなくてもいいの?
さて、このように子どもの安全には欠かせないチャイルドシートですが、道路交通法では、「6歳未満の子どもを自動車に同乗させる際は、チャイルドシートを使用しなければならない」とあり、6歳以上の子どもについての記述はありません。しかしシートベルトは、「身長140cm以上の人」の使用を想定して作られていますので、「6歳以上で身長140cm以下の人」は、そのままではシートベルトを正しく使用することができず、したがって非常に危険な状態になります。
では、「6歳以上で身長140cm以下の人」はどうしたらいいでしょうか?この時期の子どもの自動車同乗中の安全を確保するため、「ジュニアシート」、「ブースターシート」と言われる製品が製造・販売されています。
ご自身のクルマにジュニアシートやブースターシートを設置されている方は多いと思いますが、タクシーに乗る時や、お友達のクルマに乗せてもらう時はどうされていますか?
コンパクトタイプのジュニアシートやブースターシートは比較的軽量ですが、バッグに入れて持ち運びができるというわけではありません。タクシー乗車時などに便利な、「持ち運びができる補助装置」のうち、今回は「スマートキッズベルト」と「マイフォールド」をご紹介します。
ジュニアシートやブースターシートが「座面を上げることによって、子どもの身体を既存のシートベルトにフィットさせる」のに対し、スマートキッズベルトやマイフォールドは、「専用のクリップ等を用いることにより、子どもの身体を既存のシートベルトにフィット」させ、身長が140cmに満たない子どもでもシートベルトが正しく使えるようにしています。
スマートキッズベルト
「スマートキッズベルト」は、シートベルトを専用の2つのクリップで挟むことで、身長140cmに満たない子どもでも、シートベルトが正しく使用できるようにした製品です。重さ約120gと軽く、サイズも化粧ポーチやペンケースと同じくらいなので、保護者の方のバッグに入れたり、子どものバックパックに入れたりして、持ち運ぶことができます。
マイフォールド
「マイフォールド」も、専用のクリップでシートベルトの位置を調整し、子どもの身体が正しくフィットするよう設計されています。こちらは幅の調整ができる座面付きで、子どもの腰の幅に合わせて使うことができます。
いずれの製品もUN R44/04に適合しており、安全性については問題ないですが、それぞれ適応体重や取り付け可能な自動車が定められていますので、事前に製品の情報を把握し、実際に使用する際は取扱説明書に従って使用してください。
これらの「進化形グッズ」を活用し、ジュニアシートやブースターシートがない場合でも「6歳以上で身長140cm以下」の子どもが安全にクルマ移動できるようにしたいですね。
Safe Kids Japanとは
私たちSafe Kids Japanは、事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人です。2018年6月からこのHugKumで、子どもの傷害予防に関する記事を配信しています。基本的に毎月1回、季節や年中行事などに関連した内容の記事をお送りしたいと考えています。
さて、「事故による傷害」、「傷害予防」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。私たちがなぜ「事故」ではなく「傷害」という言葉にこだわっているのか、について、少し説明させてください。
事故?傷害?その違いは?
「事故」という言葉を辞書で調べてみると、「思いがけなく起こった良くないできごと」とあります。英語で言うとaccidentですね。accidentは「意図しない不幸なできごと」という意味で、「避けることができない運命的なもの」という意味も含まれています。海外でもかつてはaccidentを使っていましたが、最近ではinjuryという言葉が使用されるようになりました。injuryは「ケガ」「負傷」という意味です。「事故」は科学的に分析し、きちんと対策すれば「予防することが可能」という考え方が一般的になり、「運命的な」という意味を含むaccidentではなく、injuryという言葉を使用することが勧められるようになったのです。今ではaccidentという言葉の使用を禁止している医学誌もあるくらいです。
そのinjuryに対応する日本語として、Safe Kids Japanでは「傷害」という言葉を使っています。よく「事故予防」と言われますね。もちろん事故そのものが起きないことがいちばんなのですが、たとえ事故が起きたとしても、(重大な)ケガはしないように備えよう、そんな思いも込めて、「傷害予防」と言っています。