離乳食に玄米はNG!その理由は?子どもに与えるときのポイントと注意点を解説

こんにちは!離乳食インストラクターの中田馨です。ママたちからの離乳食の質問で、「おかゆを作る時に、玄米を使ってもいいですか?」と言われることがあります。一般的に「玄米」には「健康食」のイメージがありませんか?きっと、健康にいい食べ物を赤ちゃんに食べさせたい!というママの思いがあるからそこの質問ですね。今回は、離乳食に玄米を取り入れてもいいのか?玄米はいつから食べられるのか?など玄米の基本と玄米レシピを紹介します。

玄米(左)と白米(右)

玄米は赤ちゃんの離乳食には危険です!

まず、基本として、玄米は離乳食に取り入れることはできません。どうしてダメなのかを以下からお話します。

玄米ってどんなお米?

精白されていないお米のことを玄米と言います。玄米は、お米のもみ殻を除いたものが玄米。一般的にスーパーなどで売られている精白米(白米)は、玄米の表面にあるぬかを取り除いたものです。

一般的な玄米のメリット

「玄米は健康に良い食べ物」ということは、何となく知っているけれど、では具体的に、どう身体にいいのか?私たち大人にとっての玄米のメリットを紹介します。

噛む回数が増える

私たちは現代人は、噛む回数が減ったと言われています。1回の食事の咀嚼回数と時間を比較した資料によると、

・戦前 1420回 約22分

・戦後 620回 約11分

と、噛む回数が半分以下になっています。噛む回数が増えることは、肥満予防、味覚の発達、脳の発達、歯の病気の予防などにつながると言われています。

参照:東京都福祉保健局 各時代の復元食の咀嚼回数と食事時間

それを考えると、精白米(白米)よりも玄米の方が噛み応えがあるので、おのずと噛む回数が増えるということです。

食物繊維を摂れる

玄米には白米の4~5倍の食物繊維が含まれています。食物繊維が豊富なので腸内環境を改善につながります。

良質な栄養素を摂れる

玄米には、ビタミン・ミネラルなどの豊富な栄養素がバランスよく含まれています。そのため、「完全栄養食」とも呼ばれています。

消化に悪い?玄米のデメリット

食物繊維や栄養素が豊富で、大人にとっては「完全栄養食」と言われている玄米ですが、逆にデメリットは何でしょう?デメリットは子ども目線で見ていきたいと思います。

残留農薬が気になる

白米に比べて玄米には残留農薬が多いといわれています。子どもが玄米が食べられるような年齢になってからも、残留農薬のチェックがされた安全安心な玄米を選ぶようにすると安心です。分からないことがあれば、生産者や販売者に確認すると良いでしょう。

お腹がゆるくなることがある

大人よりも内臓機能が未発達な子どもは、玄米を食べることでお腹がゆるくなってしまうことがあります。

子どもはいつから玄米を食べられるの?

玄米は「完全栄養食」ですので、子どもの食事にも取り入れていきたい!と考える親御さんもいらっしゃると思います。ただ、子どもの消化機能は未発達なので、食べさせ始める年齢を見極めなければいけません。離乳食期は食べさせるのはNGです。では具体的に、何歳から玄米が食べられるようになるのでしょうか?

玄米を食べるのは3歳以降。奥歯でしっかり噛めるようになってから

玄米は、消化に時間がかかる食べ物なので、よく噛む必要があります。子どもの奥歯が生えそろい、食べ物を奥歯でしっかり「カミカミ」できるようになってからが、玄米を食べる目安の一つです。また、消化機能が整ってくる頃と言うのも目安の一つ。
それらを総合して考えると、3歳以降を目安にチャレンジし始めましょう。

市販の玄米フレーク、玄米パンはいつから?

市販の玄米フレーク、玄米パンも、玄米と同じく3歳以降に取り入れるようにしましょう。

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子どもに玄米を食べさせる時のポイント・注意点

では、子どもに玄米を食べさせる時のポイントを具体的にお話します。

しっかり浸水させる

白米は30分~1時間程度の浸水で構いませんが、玄米は最低でも2~3時間ほど浸水する必要があります。寒い季節などは5~6時間必要!食物繊維が水を吸収するのを邪魔するので、浸水に時間がかかるのです。

噛む回数を増やすよう促す

玄米は白米に比べて消化が悪いので、意識的に噛む必要があります。子どもに食べさせる時は「カミカミしてね」と伝えながら食べるようにしましょう。

食事に少しづつ取り入れる

これまで白米を食べていたのですから、急に玄米に変えるのではなく徐々に変化させていくことをお勧めします。まずは七分つき米からスタート。子どもの食べる様子や食べた後の体調を観察しましょう。七分つき米に食べ慣れたら五分つき米、三分つき米。と徐々に玄米に近づけていきます。進め方としては、

・七分つき米からスタートする
・お腹がゆるくなった場合は白米に戻す
・たまには白米も取り入れながら、いろいろなお米の種類を味合わせる

このように、ゆるやかに取り入れてみてください。

わが家も、下の子が小学生になってから玄米にチャレンジしました。でも、長男が玄米のにおいを嫌がったこと、お腹がゆるくなったことで、結局は五分つき米や七分つき米をメインに食べることが多かったです。子どもはそれぞれに好みや発達などが違いますので、子どもの様子を見ながら進めることが大切です。

 まずは玄米がゆからはじめてみよう!

玄米を初めて食べるときは、玄米がゆから始めてみましょう。最初は水分量を多めにしてやわらかく炊きます。玄米をおかゆにするとやわらかくなり消化もよくなりますよ。

基本の作り方

玄米がゆの炊き方


材料

玄米 適量
水 玄米の10倍

作り方

1.玄米を洗う
2.玄米を水につける(3時間)
3.鍋に火をかけ沸騰させ、弱火で30分~40分炊く
4.10分蒸らす

玄米・玄米粉などを使ったレシピ

幼児期 玄米おはぎ

材料

玄米 1カップ

水 1カップ
あんこ 20~30g

きな粉 適量

作り方

1.玄米を洗って一晩水につける。炊飯器に入れて炊く。
2.1を俵状にして、中にあんこを小さじ1程度入れ握る。
3.2の周りにきな粉をふりかける。

幼児期 玄米せんべい

材料

炊いた玄米 50g
ごま 適量

チーズ 適量

焼きのり 適量

作り方

1.炊いた玄米をすり鉢で軽くつぶす。軽く塩を振っても良い。
2.1を形作って、オーブンシートを敷いたフライパンに置き、トッピングの具材をのせて両面焼く

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体に良い食品が赤ちゃんの離乳食に良いものとは限りません

大人にとって良いとされている「健康的な食品」は、体や内臓が未発達な赤ちゃんには「良い」とは限りません。離乳食の食材を選ぶ時の大切なことは「赤ちゃん目線で考えること」です。「これは、どうだろう。。。。」と悩むときは、赤ちゃんには「使わない」と言う判断をしてもいいのではないかと思います。

玄米をメニューに取り入れる時、栄養や健康のことを考えることは、もちろん大切です。でも、そればかりに偏るのではなく、「実は、お米にもいろいろな種類があるんだよ!」と体験して知ってもらうこともとても大切です。子ども目線に立って、さまざまな食体験をさせてあげてくださいね。

 

記事監修

中田馨|離乳食インストラクター

一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。

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