使い終わったランドセルでできる社会貢献。発展途上国の小学生に贈る「思い出のランドセルギフト」とは?

卒業シーズンとなりました。もう使わなくなるランドセル、どうしますか?「6年間、毎日使い続けたものだから捨てられない」というママは意外と多いようですが、ランドセルの寄付をして社会貢献できる活動があります。

発展途上国へのボランティア活動を行う、国際協力NGOジョイセフでは、役目を終えたランドセルをアフガニスタンなどの子どもたちに贈る「思い出のランドセルギフト」を行っています。国際協力NGOジョイセフの広報担当・甲斐和歌子さんに「思い出のランドセルギフト」活動について聞きました。

ママたちの声から始まった「思い出のランドセルギフト」。これまでに24万7000個のランドセルが贈られました

ジョイセフが「思い出のランドセルギフト」をスタートしたのは、約17年前。ランドセルの素材メーカーの担当者から「ママたちから“小学校を卒業したけれど、ランドセルはまだ十分使える状態です。捨てるのはもったいないし、何か活用できませんか?”という問い合わせが多くて…」と相談を受けたことが、このプロジェクトの始まりです。

ジョイセフは発展途上国にさまざまな支援物資を送っていますが、アフガニスタンにいる担当者に「ランドセルって使いますか?」と聞いたところ、「女の子が小学校に通うきっかけになるかもしれない」とのことで実施に踏み切りました。

ランドセルを受け取ることで、学校で教育を受ける機会が生まれ、日本のランドセルは、アフガニスタンの子どもたちの人生に大きなチャンスを与えてきました。これまでに「思い出のランドセルギフト」はアフガニスタンを中心に、24万7000個以上のランドセルを現地の子どもたちに贈っています。

アフガニスタンでは家事手伝いのため、女の子が小学校に通いにくい状況が

アフガニスタンは、長期に渡り戦争やテロが繰り返されている国です。2001年に戦争は終結はしたものの、教師や学校施設の不足、家庭の貧困などで、今でも多くの子どもたちが学校教育を受けられません。

特に女の子は家の手伝いなどがあり家族や地域から、小学校で学ぶことに理解が得られにくい状況です。そのため15歳~24歳の女性の3人に2人は、文字の読み書きができないというデータもあります。女の子への教育格差をなくすことで、12才ごろからの早い結婚や妊娠・出産も防げると考えられています。

「きれいなランドセルをもらえるなんて、一生忘れられない!」アフガニスタンの子どもたちの声

日本から贈られたランドセルは、アフガニスタンの小学1~3年生に贈られます。アフガニスタンの農村地域の子どもたちは「あなたへの贈り物よ」と言われて、プレゼントをもらうことはあまりありません。でもランドセルだけは、小学校に行くと「あなたへの贈り物よ」と言って、先生から手渡されます。

アフガニスタンでランドセルを受け取った子どもたちからは、次のような声が聞かれます。

真っ赤なランドセルを見たら、両親や兄弟もびっくりするはず

「今日、私はすごくうれしくて、感激しています。だって、日本からの学用品とランドセルを受け取ったからです。まさか、こんな真っ赤できれいなランドセルをもらえるなんて、一生忘れられないできごとです。きっとこのランドセルを背負って家に帰ったら、両親も兄弟もびっくりするでしょう。日本の皆さん、素晴らしい贈り物をありがとうございます。6年生になるまで教科書を入れて大事に使います。私の家は11人家族ですが、働いているのは父だけです。だからとても貧しくて、ノートや色鉛筆など買うことができません。日本の皆さん、本当にありがとうございました」(グルナジちゃん・小学3年生)

これまで布袋で登校していたけれど、ランドセルがもらえてうれしい

「お父さんは政府軍の兵士で、国を守る仕事をしています。3カ月に1回しか会うことができませんが、お父さんの仕事を誇りに思っています。お母さんは読み書きができません。ぼくには弟や妹がたくさんいてかばんを買う余裕がないので、ノートや鉛筆は布袋に入れて学校に通っていました。今日、こんなにかっこいいランドセルをもらうことができて、とてもうれしいです。アフガニスタンには、お医者さんが必要だとお父さんがよく言っています。ぼくは将来、お医者さんになって、戦争でけがをした人たちを助けたいです」(サハドくん・小学3年生)

ランドセルギフトは3ステップで完了。ランドセル1個につき、送料として1800円の寄付を

「思い出のランドセルギフト」でランドセルを贈るための3ステップ

1 贈るランドセルを確認・準備

2 海外輸送費の振り込み(輸送料として、ランドセル1個につき、1800円の寄付が発生)

3 ランドセルを指定倉庫に送る(ランドセルを段ボールなどに入れて梱包して、宅配便などで手配)

送料となる寄付は、クレジットカード、コンビニ払い、郵便振替でできます。

詳しい寄付の方法・ランドセルの送り先は、こちらから!

ブランディアで申し込むと、海外輸送経費はブランディアが負担

またブランド品を買い取る「ブランディア」では、2010年から社会貢献活動の一環として「思い出のランドセルギフト」に協力しています。ブランディアが窓口となる場合は、海外輸送経費は不要。ブランディアが負担します。ブランディアにブランド品を送るとき、一緒にランドセルも梱包してください(ランドセルのみの送付は不可)。ブランディアでは、現在3500個以上のランドセルをジョイセフに寄付しています。

※ブランディアの受付窓口は常設ではありません。受け入れ期間中はHP等でお知らせしていますので、送付前にご確認をお願いいたします。

ランドセルを贈る前にチェック! 防犯ブザーなどは必ず取り外して

ランドセルを送るときの注意点は、次の通りです。

1.破損があったり、劣化が激しいランドセルは送らない。

2.キーホルダー、お守り、防犯ブザーなどは必ず取り外す。とくに防犯ブザーは、輸送時や現地で鳴ってしまうと迷惑です。

3.宗教上の理由で、豚革製品は送れません。豚革を使用しているランドセルはまれですが、念のためかぶせの内側に豚革が使われていないかチェックを!*革の表面を虫眼鏡で見たとき、ポツポツとした毛穴があるのが豚革の特徴です。

 

またランドセルの中に、未使用の学用品を入れて贈ることもできます(美品でも使ったものは不可)

贈れる学用品は、次の通りです。

1.鉛筆、クレヨン、色鉛筆、ボールペン

2.ノート

3.下敷き

4.消しゴム

5.色鉛筆セットなどに入っている携帯用の鉛筆削り

贈れない学用品は、ホッチキス、シャープペンシルなど芯の補充が必要なもの、バインダー、はさみ、カッターなどの刃物類、のり、おもちゃ、楽器類、バッグ類、衣類など。

お子さんと一緒に考える社会貢献活動の一つとして

6年間、子どもと小学校生活を共にしたランドセル。記念として取っておくことも出来ますが、ランドセルにも、再び新たなステージでの活躍の場が得られる「思い出のランドセルギフト」。身近にできる社会貢献活動の一つとして、お子さんと一緒に考えてみてはいかがでしょうか?

 

写真提供/©国際協力NGOジョイセフ  取材・構成/麻生珠恵

編集部おすすめ

関連記事