あの人気ドラマ「バイプレイヤーズ」が満を持してスクリーンに登場。4月9日(金)より全国公開された映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』は、ドラマの旨みをぎゅぎゅっと凝縮しつつも、映画ならではのスケール感がある最強のエンターテイメント作品となりました。
右肩上がりに人気になっていった「バイプレイヤーズ」シリーズ
始まりは2017年に放映された1作目のドラマ「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」でした。バイプレイヤーを主役に格上げした同シリーズは、実にチャーミングなおじさまたちのアンサンブル演技が話題を飛び、一気にキラーコンテンツに。翌年にはシーズン2となる「バイプレイヤーズ 〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」でさらに人気が加速。
今年の1月から放映されたシーズン3となる撮影所編「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」では、シリーズ最大規模となる若手からベテランまで約100人のバイプレイヤーズが集結。3月26日に放映された最終回では、「バイプレイヤーズ」シリーズのオリジナルメンバーで、2018年に急逝した大杉漣の映像も挿入され、多くの視聴者が涙しました。
シリーズの映画化は、大杉さんの悲願でもあったそうですが、完成した『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~』は、多くのバイプレイヤーズを称える、集大成的な作品となりました。
バイプレイヤーズ愛が満ち溢れた映画版
舞台となるのは、富士山の麓にあるのどかな撮影所「バイプレウッド」。ここでは毎日、様々なテレビ局の連ドラが撮影されているよう。そんななか、濱田岳、柄本時生ら若手バイプレイヤーは、100人の役者が出演する自主映画を撮ろうとしますが、例によって次から次へとトラブルが勃発し、大ピンチを迎えます。果たして映画はきちんと完成できるのでしょうか?
メガホンをとったのは、ドラマ版1作目以降、監督や脚本に携わってきたコメディの名手、松居大悟監督。今回もぷぷっと笑える「バイプレイヤーズあるある」ネタが、あちこちに散りばめられています。まさに、各パートで笑いのジャブが連打されていき、思わずニンマリ。
また、シリーズを観てきたファンにとってうれしいのは、ドラマではチラ出し出演だったオリジナルメンバーの田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一の見せ場がたっぷりと用意されている点です。そして、天海祐希、有村架純、役所広司など、主役級のビッグネームが、あたかも本人ぽいけど、微妙にズレた“本人役”で出演しているのも本シリーズならでは。ノリノリに絶妙な掛け合いを繰り広げているのでお楽しみに。
バイプレイヤーズが教えてくれたもの
松居大悟監督が「100人の役者による100分間のお祭り」と語るとおり、隅々まで楽しいイベント映画となった本作。改めて映画を観終わったあと、こみ上げてきたのは、もの作りの面白さと周りに対する感謝の想いでしょうか。
どんなに輝くビッグスターでも、映画やドラマは決して1人では作れません。「バイプレイヤーズ」の良さは、制作の舞台裏をリアルに見せることで、主役を支える名バイプレイヤーズたちや制作スタッフの奮闘ぶりが浮き彫りにされます。彼らは常に1つのチームであり、時にはぶつかりつつも、同じ方向を向いて、切磋琢磨しあっているんだなと再確認します。そして、現場に臨む彼らの目は、常にキラキラと輝いていて、本当に楽しそう。そこがシリーズが長く続いてきた秘訣でもあるのかなと。
でもそれは映画やドラマ作りにしぼった話ではなく、仕事などのプロジェクトや、日々の学校生活など、日常生活でも言えることで。人はいろいろな人に支えられ、連携プレイをしているので、それも心から楽しめたらいいなと、しみじみ思いました。特に今はコロナ禍なので、映画を観ると、より一層心に染み入るものがあるのではないかと。そういう意味でも、ぜひ親子で観ていただきたい映画だと思います。
監督:松居大悟
出演:田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一、濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子…ほか
公式HP: byplayers.jp
byplayers.jp文/山崎伸子
©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会