そもそも分子って?
化学の授業で習った記憶はあるけれど、分子が何を表す言葉なのかを、はっきり覚えていない人も多いのではないでしょうか。はじめに分子の基本をおさらいしましょう。
物質の性質を表す最小の粒子
すべての物質は、小さな粒子が集まって構成されています。物質を分解していくとあらわれる、物質の「性質」「特性」を持っている最小の粒子が「分子」です。分子は、さらに小さな粒子に分けられますが、元の物質の性質は失われます。
例えば、水は、水素の粒と酸素の粒が結びついた「水分子」でできています。しかし、水分子を構成する水素と酸素自体には、水としての性質はありません。
水素と酸素の粒同士が結合し、ひとつのまとまり=分子になってはじめて、水の性質を持つのです。分子は物質の性質を持つ「粒子のまとまり」と覚えておきましょう。
分子を作らない物質もある
物質の中には、分子が存在しないものもあります。鉄やマグネシウムなどの金属は、1種類の粒の集まりなので分子はありません。
また塩化ナトリウム(食塩)には、塩素とナトリウムの2種類の粒がありますが、粒が交互に配置されているだけで、分子としてまとまっているわけではありません。
単体や化合物、原子との違いは?
分子を理解するためには、「単体」「化合物」「原子」についても、押さえる必要があります。それぞれのポイントと、分子との違いを見ていきましょう。
単体や化合物とは
物質は大きく「混合物」と「純物質」に分けられます。
混合物は、食塩水のように、水と食塩という二つの純物質が混ざり合った物質です。酸素や窒素、二酸化炭素が混ざっている「空気」も混合物の一つです。
純物質は構成する粒の数によって、さらに「単体」と「化合物」に分けられます。単体は金属や水素、酸素のように1種類の粒のみで構成される物質です。水素や酸素は分子ですが、同じ種類の粒がくっついてできているため、単体に分類されます。
化合物は、単体を構成する粒が、他の単体の粒と結合した物質を指します。水の分子は、水素と酸素の2種類の粒が結合しているため、化合物です。
また、食塩に分子はありませんが、塩素とナトリウムの2種類の粒が結合しているので、やはり化合物に分類されます。
混合物・純物質・単体・化合物を、食塩と水を使って整理すると下記のようになります。
・食塩水:水と食塩の混合物
・水:水素と酸素の化合物
・食塩:塩素とナトリウムの化合物
・水素、酸素、塩素、ナトリウム:単体
原子とは
原子は、物質の最小単位となる粒のことです。分子も単体も化合物も、世の中に存在する物質はすべて、原子が集まってできています。
原子は同じ種類の原子や、相性のよい原子とくっついて、さまざまな物質を構成します。例えば、空気中の酸素は、「酸素原子」が二つくっついてできた「酸素分子」の集まりです。
原子は現在118種類が発見されており、アルファベットを使った「元素記号」で表されます。元素記号を覚えていれば、物質がどの原子で構成されているかが、すぐ分かるでしょう。
よく使われる分子を表す化学式
分子の構成は、元素記号と下付き数字を組み合わせた「化学式」で表されます。よく使われる、身近な化学式を三つ紹介します。
H2(水素)
「H2」は、水素分子の化学式です。数字の「2」は、水素原子「H」の数を示しています。Hが2個くっつくと、水素の性質を持つ「水素分子」となるため、水素は「H2」と表されるのです。
水素は、最も軽い物質で、味も臭いもない透明な気体です。酸素と結びつくと、水に変化することでも知られています。
O2(酸素)
O2は、生命の維持に欠かせない気体、酸素の化学式です。酸素原子の「O」が二つ結びつき、酸素分子「O2」として空気中をただよっています。水素も酸素も、原子単体ではなく、分子として存在しているため、分子が最小単位です。
酸素は他の物質と結びついて、化学反応を起こす力を強く持っています。鉄が錆(さ)びたり、食品の味が変わったりするのは、酸素による化学反応「酸化」が一因です。
H2O(水)
水分子は、水素原子二つと酸素原子一つで構成されているため、化学式は「H2O」です。
水の分子は水素側がプラス、酸素側がマイナスの電荷を持っており、磁石のように引き合って結合します。この結合で形成された水分子の集合が、液体としての「水」です。
物質の性能を持つ分子
子どもの頃、物をどんどん小さくしていくと、どうなるのかなどと、思い悩んだ経験がある人もいるのではないでしょうか。
物質を最後まで分解していくと、とても小さな粒「原子」に、たどり着きます。原子が結びつき、物質としての性能を持った粒が分子です。
原子も分子も目に見えないくらい小さいため、頭で存在を理解し、イメージする他にありません。とても不思議な分子や原子について、子どもと一緒にあらためて考えてみるのも一興です。
もっとくわしく知りたい方のために
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構成・文/HugKum編集部