「水と油が混ざらないのはなぜ?」と子どもに尋ねられたとき、きちんと返答できますか?
「うまく説明できない」という人は、なぜそのような現象が起こるのか確認してみましょう。水と油が混ざらない理由や混ぜる方法、さらにはおすすめの実験も紹介します。
水と油が混ざらない理由とは?
「水と油」という言葉があるように、水と油を一緒にしても混じり合うことはありません。これを理論的に説明したいときは、どのように言うのがよいのでしょうか。
水と油が混ざらない理由について、具体的に見てみましょう。
混ざらないのは表面張力が違うから
水と油を同じ容器に入れても、くっきり分離してしまいます。これは、それぞれの「表面張力」が異なるためです。
二つの異なる性質のものが混ざり合うには、同程度の表面張力が必要です。水と油の場合は水の表面張力がより大きいため、きれいに混ざりません。
二つの液体を一緒にすると、油のほうが軽いので水が下、油が上になってしまいます。
表面張力ってなに?
表面張力とは、分子同士が互いに引っ張り合う力のことです。
水も油も、元をたどれば小さな分子です。そして分子には、引っ張り合って小さくまとまろうとする性質があります。水と水、油と油同士を合わせると混ざるのは、同じ分子同士が引っ付きあうためです。
ところが、表面張力が異なる分子同士は、お互いにくっついてまとまろうとする力が弱くなります。そのため、混ぜようとしても混ざらずに、分離してしまうのです。
混ぜるにはどうしたらいいの?
表面張力が異なる水と油は、そのままでは混ざりません。しかし、少し手を加えることで、水と油でも混ざるようになります。
そもそも「混ざる」とはどのようなことなのか、さらには水と油を混ぜるときのポイントは何なのか、見ていきましょう。
混ざるってどういう状態?
液体などが「混ざった状態」とはすなわち、分子同士がくっついた状態を指します。例えば、ジュースと牛乳は同じ水分子なので分子同士がくっつきやすく、分離せずに混ざります。
ただし、水の分子は特にくっつき合おうとする力が強い点に注意が必要です。
水と油と混ぜたとしても、水分子は水分子だけで引っ付こうとします。油の分子は仲間に入れてもらえず、くっつけません。結果、はじかれた油の分子は同じ分子同士で引っ付こうと固まり、両者は分離してしまうのです。
つまり、物質がきちんと混じり合った状態になるためには、分子同士の結合が不可欠といえます。
界面活性剤がポイント
混じり合わない水と油を混ぜるには、両者の仲立ちをする媒体が必要です。そしてこの役割を果たせるのが、界面活性剤です。
界面活性剤は水になじみやすい「親水基」と、油になじみやすい「親油基」の二つの性質をあわせ持っています。そのため、界面活性剤を水と油に入れると、親水基の部分が水の分子と、親油基の部分が油の分子と結合するのです。
たくさんの界面活性剤を入れれば、界面活性剤が油の分子そのものを包み込み、より水に近い性質となります。本来混ざらないはずの水と油がまじりあい、白く濁った状態となるでしょう。この現象は「乳化」と呼ばれます。
水と油を混ぜる実験をしてみよう
「水と油は混ざらない」「界面活性剤を加えれば混ざる」というのは、自分の目で見るとよりはっきりと理解できます。子どもと一緒に、家庭で楽しく理科実験に取り組んでみてはいかがでしょうか。
自宅にあるものでできる上、準備に手間取ることもないので、思い立ったらすぐに実験できますよ。
水と油を混ぜる実験の手順や、必要なものを紹介します。
実験に必要なもの
水と油の実験は、「水と油はどのように反発し合うのか」「界面活性剤を入れると水と油がどのように変化するのか」を確認できるよう取り組みましょう。
実験では、次のものを準備してくださいね。
- 水:適量
- 油:適量
- 食紅や絵具:適量
- ストロー:1本
- 食器用洗剤:少量
- 割りばし:1本
- 透明なグラスなど:2個
界面活性剤の役割を果たす食器用洗剤は、油と水の実験をした後に使います。
また、実験を始める前に、グラスの一つには食紅や絵具で色を付けた色水を、もう一つには油を入れておきましょう。量はそれぞれグラスの1/3程度入れれば十分です。
まずは水と油をそのまま混ぜてみよう
まずは、水と油が本当に混ざらないのか見てみましょう。
手順は次の通りです。
- 色水をストローで吸い上げる
- ストローで吸い上げた色水を油に落とす
- 割りばしでかき混ぜる
色水を油の中に落とすと、きれいな色水が丸くなります。どんどん下の方に沈んでいって、ビー玉のように重なっていく様子が楽しめます。
油に色水を加えて様子をよく観察したら、次は割りばしでよくかき混ぜてみましょう。ただし、子どもに任せるときは、こぼさないように気を付けてくださいね。
どんなにかき混ぜても、油と水が混ざることはありません。
界面活性剤を使って混ぜてみよう
水と油が混ざらないことがよく分かったら、次は界面活性剤の実験です。色水と油を入れたグラスに、少量の洗剤を垂らしてみましょう。そのまま割りばしでかき混ぜて、どのように変化するかよく確認します。
ぐるぐると割りばしでかき混ぜていくと、やがて液体が白く濁っていくのが分かるはずです。これが「乳化」と呼ばれる現象で、油と水が混ざった証でもあります。
一生懸命かき混ぜていれば、最後はとろみのある濁った液体に変化します。
なお、界面活性剤の役割を見たいときは、「油」「お酢」「卵黄」を使うのもおすすめです。お酢と油は混ざりませんが、卵黄を入れると乳化して、マヨネーズのように変化します。時間があるときは、ぜひトライしてみてください。
家でできる簡単な自由研究
子どもが感じる素朴な「なぜ?」は、さまざまなことへの興味のきっかけとなります。油と水への疑問も、その一つです。パパやママは子どもに分かりやすい説明をしてあげるとともに、実体験で教えてあげられるとよいですね。
この度紹介した水と油の実験は、さほど手間もなく手軽にできます。小さな子どもでも取り組みやすいので、簡単な自由研究の一つとして気軽に取り組んでみてはいかがでしょうか。
文・構成/HugKum編集部