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オリンピックメダリスト・松田丈志さんに泳ぎ方のコツを教わろう!
太陽の日差しが照りつけ、水遊びが楽しい季節がやってきました。水と触れ合い、泳ぐことの楽しさを知ってもらうため、準備運動からビート板を使ったばた足までを、オリンピックメダリストの元競泳選手、松田丈志さんにご指導いただきました!
まずはプールに入る前の準備!
しっかりと準備運動をしよう
急にプールに入ると、体がびっくりして怪我をしやすくなります。怪我防止のために、膝の曲げ伸ばし、手首・足首回しなど、準備運動をしっかりと行いましょう。また、プールに入ると体が冷えてトイレが近くなるので、事前にトイレを済ませておきましょう。
チャレンジ①プールサイドにすわってキック!
プールサイドに座ってつま先を伸ばし、足の甲で水をキックしましょう。ばた足やクロールなどで泳ぐ時の足の使い方の感覚を身につけます。
チャレンジ②もぐってぶくぶくぶく!
息を吸い込んで頭まで潜り、水中で鼻から息を吐きましょう。鼻から息を吐くことに慣れると、息継ぎの練習もスムーズです。また、気管に水が入るのを防ぎます。
チャレンジ③プールのなかからジャンプ!
息を吸い込んで頭まで潜り、水中で鼻から息を吐き、飛び出した時に息を吸います。これをリズミカルに繰り返し行うことで、息継ぎの練習になります。
チャレンジ④けのびをしよう!
手を重ねて頭をはさみ、プールの壁を蹴って浮かびながら進みます。壁を蹴ったら、脚もまっすぐ伸ばしましょう。泳ぐ時の基本姿勢を身につけます。
チャレンジ⑤ばた足で泳ごう!
ビート板につかまってけのびをしたら、そのまま足で水をキックしましょう。ビート板の前の方をしっかりとつかみます。
水に親しむことから始め、お子さんが楽しみながらできることからチャレンジするのが大事です。夏の良い思い出を、お子さんと作ってくださいね!
松田丈志さんに聞いた、水泳を好きになったきっかけ
4歳から水泳を始めたものの、そのスイミングクラブのプールは、学校のプールにビニールハウスをかぶせただけの簡素なもの。しかし、その厳しい環境の中でも、アテネ、北京、ロンドン、リオと、オリンピック4大会に連続で出場し、4つのメダルを獲得。ロンドン大会では、競泳日本代表のキャプテンを努めた松田丈志さんにお話を伺いました。
Q.水泳で得たものは?
友だちができたり、久世由美子コーチや先輩、後輩など、たくさんの出会いがありました。体も丈夫になったと思います。もともと元気な子どもではありましたが、風邪をひきにくくなりました。プールの水は体温よりも低いので、体温調節の機能が鍛えられるんですよね。
Q.水泳をやめたいと思ったことは?
何度もありますよ。中学生ぐらいになると練習も本格的になり、自分も「もっと上のレベルへ行きたい!」という思いがあったんです。しかし一方で、学校の友だちが休みの日に遊んでいるのが羨ましく、水泳をやめたいと思ったこともありました。
Q.でもやめなかった。松田さんをつなぎとめたものとは?
「やめてもいいけど、10年後、20年後に、後悔するんじゃない?」という母の一言です。たしかに、今水泳をやめて友だちと遊ぶことは簡単だけど、続ければもっと上に行けるかもしれないと思い直し、がんばろうと思ったんです。高校生ぐらいになると週に3回、朝5時半とか6時から朝練がありましたし、週末も練習や遠征ですから、車で送迎してもらったりと、家族には色々な面で支えてもらいました。「親は休日を返上して、自分のために頑張ってくれているのだから、がんばらなきゃ!」という気持ちは、子どもながらにありましたね。
Q.オリンピックを意識したきっかけは?
僕が小学校2年生の時にバルセロナオリンピックがあって、東海スイミングクラブ出身の先輩、林享さんが出場していたんです。それと、当時14歳の岩崎恭子さんが金メダルを獲ったのを見て、いつか僕もオリンピックに出てみたいな、という思いが芽生えました。そして高校1年生の時のシドニーオリンピックの選考会で、僕は3位だったんですが、2位の選手はオリンピックに行ったんです。1500mの長距離種目で7秒差だったので、思いがけず自分がオリンピックに近いところにいることに気づき、「次のアテネは絶対に行こう! 僕は水泳に生きる!」と決意したんです。自分で具体的に目標を持ってやるか、それともやらないかというのは、大きな差だと思います。
Q.子どもたちや親に伝えたいことは?
子どもたちは、まずはやってみること、楽しむことが大事だと思います。そのためには、大人がそういう機会を作って、子どもの可能性を信じてあげることですね。僕の場合、久世由美子コーチに、4歳から32歳まで一番近くで支えてもらいました。コーチは、僕が不安になった時に「あんたならやれる!」と必ず声をかけてくれました。そのおかげで、「やってみよう!」という気持ちになり、ひとつひとつのことにトライできたんだと思います。自分の可能性を信じてくれる人がいるということは、大きな支えになると思います。
Q.今後の活動は?
大学で講義を行ったり、社会人向けの公演も行っていますが、今後は、水泳だけでなくいろいろなスポーツについて学んで、それを伝えられるようになりたいと思っています。東京オリンピック・パラリンピックには、どのような形で関わることができるかまだわかりませんが、僕は4回もオリンピックに出るぐらいオリンピックが大好きですから、その経験を伝えるという活動にも力を入れていきたいです。
松田丈志
1984年宮崎県延岡市出身の元競泳選手。4歳で東海スイミングクラブに入会し競泳人生をスタート。アテネ、北京、ロンドン、リオと、オリンピックに4大会連続出場し、合計4つのメダルを獲得。2016年に引退し、現在は、スポーツの普及・発展のために幅広く活動中。壁を突破し、成果を出すためのメッセージ満載の『夢を喜びに変える 自超力』松田丈志+久世由美子(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も好評発売中。
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今回の記事は小学館発行の幼児誌・幼稚園8月号の「プール だいすき!」を大人向けにリライトしたものです。「幼稚園」では、毎月面白くてためになるルポ記事を紹介しています。今後もお楽しみに!