「専業主婦」になれたら幸せ? ママたちの理想と本音を探ってみた

かつて「寿退社」という言葉が浸透していたように、女性が結婚を機に退職し、専業主婦として家庭に入ることは一般的な風潮でした。しかし、昨今では夫婦共働き世帯が増加。もちろん、ご家庭によって事情はそれぞれ異なりますが、今や、結婚・出産の後も仕事を続ける女性の数は、専業主婦よりも多くなりました。

女性のキャリアの在り方が多様化する現在、「専業主婦」というライフコースへのママたちの意識はどのように変化しているのでしょうか?

日本では専業主婦が減少傾向? そもそも専業主婦とは

そこで今回は、減少傾向にある「専業主婦」に対するママたちの意識をリサーチ。HugKumメルマガ読者の「働くママ」「専業主婦のママ」を対象にアンケートを実施し、専業主婦へのイメージや、その理想と現実についてを調査してみました。

まずは、「そもそも専業主婦とはなにか」を解説していきます。

専業主婦とは?

「専業主婦」とは、一般的に家事や育児に専念する主婦を指します。夫が外で働き、妻が家のすべてのことを担うスタイルは、ひと昔前までは一般的な家庭の様式でした。

専業主婦の割合は減少傾向に

しかし、「共働き」「専業主夫」という言葉が浸透しつつあるように、昨今では「家事・育児=女性がするもの」といった意識が薄れ始め、男性と同じように社会進出する女性が増加。一方で、専業主婦は減少傾向にあることが厚生労働省の調査によって判明しています。

参照:労働基準局資料「配偶者手当の取り巻く環境について」

本当は「専業主婦になりたい」ママはどれくらい?

働く女性の増加と専業主婦の減少。その傾向の理由としては、先述したような意識の変化のほか、収入の変化、男女雇用均等法の公布、もしくは各企業における子育て制度が見直されつつあることなどが想定されます。
では、女性の社会進出が一般的になった今現在、働きながらも「本当は専業主婦になりたい」ママはどのくらいいるのでしょうか?  アンケートに寄せられた回答をまとめました。

Q.専業主婦になりたいと思いますか?

寄せられた回答で最も多かったのは、『現在は専業主婦』(37.4%)、次に多かった回答が『どちらともいえない』(19.2%)と『思わない』(19.2%)で同数でした。その次が『やや思う』(15.0%)で、『思う』(9.2%)が最も少ない回答となりました。
下記では、各回答に添えられたコメントをご紹介します。

「思う」「やや思う」の回答

最も少ない回答となった「思う」「やや思う」。
この回答を選んだママからのコメントとしては、「仕事と家事・育児の両立は大変」という声が目立ちました。

「働きながら家事をして子育てするのはとても大変だから」(30代・石川県・子ども2人)
「子どもの成長を見れることは喜びだから」(40代・東京都・子ども1人)
「子供が学校から帰ってくる時に家に居てあげたい。 料理やガーデニングなど家のことをしっかりやりたい。」(30代・兵庫県・子ども3人)
「仕事が忙しくてあまり子ども達の相手をしてあげられないから。」(30代・群馬県・子ども2人)
「パートタイムからのワンオペはきついから」(20代・広島県・子ども3人)

「どちらともいえない」の回答

また、「どちらともいえない」理由としては、働く大変さと家事・育児につきっきりになることの大変さ、その両者に揺れる悩ましい声が寄せられています。

「お金に余裕があるなら働きたくないが、社会にも出たい。」(30代・千葉県・子ども2人)
「仕事をしたくない気持ちもあるが、一日自宅保育の大変さもわかるので、どちらともいえない気持ち。」(20代・三重県・子ども1人)
「現在専業主婦で一日中子供と一緒にいるが、パートなどで働いて少し育児から離れる時間が欲しいと思ったから。」(20代・高知県・子ども1人)

「思わない」の回答

「思わない」の理由としては、収入面への懸念の他に、ご自身のキャリアアップを目指す声が見受けられます。専業主婦でいると社会との関わりを持ちにくくなってしまうのでは? と不安に感じる方も少なくないようです。

「子供の教育費に余裕を持たせたいから」(40代・岐阜県・子ども3人)
「好きな仕事を続けたいから。 しっかり稼ぎたいから。」(50代・長野県・子ども2人)
「社会の役に立ちたい。自分自身を成長させたい。いろいろな経験をしたいので働きたい。」(40代・東京都・子ども2人)
「育休で専業主婦気分を味わったが、心身の調子を崩し、復職したとたんに回復した。向いていなかった。」(30代・愛知県・子ども2人)
「社会との関わりが薄くなるのが不安です。また、生活に変化がなくなるのが退屈で嫌です。」(40代・東京都・子ども1人)
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時間に余裕がある? 専業主婦のメリット&デメリット

では、実際のところ、専業主婦でいることにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。実際に専業主婦を経験したことがあるママさん方にきいてみました。

メリット

専業主婦でいることのメリットとして主に挙がったのは、「時間に余裕がある」ことに起因するものでした。勤めている頃よりも比較的時間があるため、子どもや家族との予定を優先できたり、子どもの日々の成長を間近で見られたり。中には、仕事によるストレスを受けないことにメリットを感じるママさんもいらっしゃいました。

子どもと関わる時間が多い

「子どもの成長を誰よりも近くで見られて、少しの変化でも把握できること。」(30代・大阪府・子ども1人)
「子供としっかり向き合えること。食事の管理をしっかりできる」(30代・埼玉県・子ども2人)

時間に余裕がある

「時間と気持ちに余裕がある。家族や子供の予定に合わせやすい。」(30代・東京都・子ども1人)
「お金の余裕はないけれど、働いて無い分、時間の余裕があるから子供にゆとりを持って接することができる。」(40代・埼玉県・子ども2人)

職場で感じるストレスがない

「仕事で感じるプレッシャーや重圧、責任を感じることがない。 子供の急な病気や園の用事にも困らない。」(30代・三重県・子ども2人)

デメリット

専業主婦のデメリットとしては、収入がないことや社会との繋がりが薄れてしまうことを危惧する声のほか、家事・育児には休みがないことや、その反面、周囲から抱かれがちな「働いていない」というイメージに後ろめたさを感じる声も多く寄せられました。専業主婦というだけで、子どもの学校での役員を任されがち、というデメリットもあるようです。

自分の収入がない

「お金を稼げないので夫の稼いだお金に罪悪感がある。」(20代・滋賀県・子ども1人)
「収入がないこと。自分の収入が少しでもあれば、ほしいものを買う機会が増えると思う。」(30代・大阪府・子ども1人)

社会との繋がりがなくなる

「社会とのつながりがない為、視野も狭まり、やた、子供や家庭を最優先の生活になってしまう。」(40代・神奈川県・子ども2人)
「頭の回転が鈍くなる、物忘れがひどくなる気がする。 コミニュケーション能力が低下する気がする。 社会から孤立。」(30代・大阪府・子ども1人)

周りの目が気になる

「経済的に余裕がない。 働いていないことで馬鹿にされたり、嫌味を言われたりすることがある。」(30代・東京都・子ども1人)
「家族や周囲から楽をしていると思われているから」(40代・神奈川県・子ども1人)

休みがない

「家事が仕事のようなものなので、土日も休みがない」(30代・神奈川県・子ども2人)

役員を任されやすい

「子供の学校の役員の仕事を専業主婦だから時間があると押し付けられる。役員にされる。 ママ友達とかコミュニティが限定されやすい。」(40代・北海道・子ども1人)
「役員などの仕事を回されやすい」(30代・茨城県・子ども2人)
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専業主婦は毎日なにをしてる? 一日のスケジュール例を公開!

ここまでご紹介してきたママさんたちの声からもわかるように、専業主婦だって決して「楽」ではありませんよね。では、実際には、専業主婦として家事・育児に専念しているママさんたちは日々どのような一日を過ごしているのでしょうか。
1つ目の質問で、「現在は専業主婦」と答えてくださった方に、一日のスケジュールを訊いてみました。

Aさんの例

「5時半からお弁当作り 7時半に小学校の登校班の集合場所に子供と 8時までに子供全員登校させる その後、洗濯と掃除 11時頃、主人帰宅 12時、昼ご飯 15時までは買い物や自由時間 15時から子供たちが帰宅 18時までに洗濯たたみ 18時から夕飯づくり 19時、主人仕事へ、子供たちと晩御飯 21時 子供たち風呂へ、夕飯片付け その後、バイトから帰った子供に晩御飯、片付け、子供たちの学校の用意、寝かしつけ 23時半 お風呂 1時、翌日の準備をして寝る」(50代・茨城県・子ども5人)

まずご紹介するのは、お子さんが5人いらっしゃるAさんの一日。

スケジュールからは、小学生のお子さん複数人とアルバイトができる年齢のお子さんがいらっしゃること、そして、パパのお仕事が夜から朝まで…と、ご家族みなさんの生活リズムがバラバラであることが読み取れます。一家を支えるAさんの多忙なスケジュールは、眺めているだけでも目が回ってしまいそうですね。

Bさんの例

「9時子供と起床 10時食事 午前中は家事 13時頃お昼ご飯 子供お昼寝 起床後、15時頃買い物 17時ご飯の用意 18時お風呂 19時子供夜ご飯 20時頃夫帰宅 21時頃夜ご飯 22時半就寝 3時夫を送り出し 後、再び就寝」(30代・大阪府・子ども1人)

Bさんのスケジュールからは、お子さんがまだ小さくお昼寝が必要な年齢であることがうかがえます。また、パパが早朝から夜遅くまでの勤務であることも読み取れますね。

家事・育児のワンオペに加えて、長時間勤務のパパのサポート。その両立は決して楽ではないことがひしひしと伝わってきます。

Cさんの例

「6時全員起床、夫婦で朝ごはん 6時30分夫出社、息子朝ごはん 洗濯干す、子供と遊ぶ 8時30分朝寝寝かしつけ 掃除 10時 息子と公園 12時 お昼ごはん、夜ご飯の仕込み 13時 息子と遊ぶ 14時 昼寝寝かしつけ 15時 洗濯取り込み畳む 16時 夜ご飯の準備 17時 息子とお風呂 18時 息子ご飯 19時 夫婦ご飯 20時 息子ミルク、歯磨き、寝かしつけ 22時 夫婦就寝」(30代・神奈川県・子ども1人)

こちらは、乳児のお子さんがいらっしゃるCさんの一日のスケジュール。

健康的で規則正しい一家のルーティーンが構築されていることが伝わってきますが、それもCさんの日々の努力の賜物ではないでしょうか。ワンオペ育児をしつつ日々家事をこなすCさんに頭が下がります。

専業主婦になれたら幸せ?理想と現実は…

当然のことながら、メリットもデメリットも存在する「専業主婦」というライフコース。最後に、HugKum読者のママに「専業主婦になれたら幸せだと思いますか」と質問を投げかけてみました。「幸せ」の捉え方は人それぞれ異なるため難しい質問だったかと思われますが、たくさんの丁寧な回答をいただきました。みなさまから寄せられたお声をご紹介します。

幸せだと思う

「幸せだと思う」という回答は、主に、現在専業主婦をされているママから寄せられました。先述の「専業主婦のメリット」としても挙がったように、しんどいことはもちろんあっても、お子さんや家族と一緒に過ごせる時間が十分に確保できる現状に「幸せ」を感じているママが多いようです。

「子供中心の毎日に幸せを感じているし、学校に行っている間は自分の時間も十分にあるので、専業主婦であることに満足している。」(40代・東京都・子ども1人)
「慌ただしい生活はしたくないので、今の旦那の仕事の状況では、私が家事に専念したほうが幸せというか楽だと思う」(30代・愛知県・子ども2人)
「私は結婚する前から専業主婦になりたかったので、専業主婦で幸せだと思っています。でも、子供が幼稚園に入るまでは、本当に1日24時間子供と一緒で1人の時間が全くなかったのでしんどい時もありました。今は2人とも幼稚園に入ったので、短い時間だけど、1人の時間が出来たので満喫しています。」(30代・兵庫県・子ども2人)
「働くことがそもそも向いていないと思った(かつて正社員時代に感じた)ので、裕福ではないが子育てや趣味に専念出来ることは幸せだと感じる。」(20代・滋賀県・子ども1人)

幸せだとは思わない

反面、「幸せだとは思わない」という回答も多く寄せられました。理由としては「社会と触れ合う機会が減ってしまう」ことや「家のこと中心の生活はかえって疲れてしまう」といったものが目立ちます。また、専業主婦には惹かれるものの、今現在の家庭において自分が専業主婦になることを想像すると、経済的な厳しさを感じてしまうため幸せとは思えない、といった声もありました。

「私は専業主婦が幸せだと思えない。働きたいけれど、自分の体調の問題だったり、幼稚園の時間の問題だったりで働けない。 すべての問題が解決したら気分転換も兼ねて働きたい。」(40代・埼玉県・子ども2人)
「理想は経済的な事を考えないで済むのならずっと専業主婦で自分のペースでのんびり家事と子育てを楽しみたい。 現実ではずっと専業主婦でいるのは厳しい。 家も建てたしローン返済や子供の進学などでお金が必要。」(40代・北海道・子ども1人)
「子供といっぱい遊べる、ずっと一緒にいれて幸せは理想。 大変、疲れるが現実。」(20代・茨城県・子ども1人)
「専業主婦が幸せとは限らない。働いてたら色々外に出る機会があり気分転換ができるが専業主婦は社会に出る機会がやはり少ないのでストレスがたまる。自分には無理」(30代・大阪府・子ども3人)

自分次第だと思う

「幸せ」を感じるポイントは人それぞれ。専業主婦になれたら幸せかどうか、それは「自分次第だと思う」といった回答も見受けられました。子どもや家族と一緒に過ごせる時間を何よりも大切にしたい方もいれば、日々キャリアアップをして仕事面で成長していきたい方もいますよね。ご自分の幸せの比重をどこに置くかによって異なるという、ごもっともなご意見です。

「人それぞれだと思います。私は専業主婦に向いていませんが、無理をして働き口を探したいとも思っていません。今は自然とこういう形になっているのでそれを受け入れ楽しむようにしています。妊娠するまでは仕事をしていました。育児休暇をとれるような仕事場ではなかったので、退職しましたが、仕事をすることも楽しかったです。その環境を受け入れる姿勢と、その中でやりがいを見つけること、どちらでも実現可能かなと感じます。」(40代・東京都・子ども1人)
「自分の価値をどこに見出だせるかだと思います。」(40代・香川県・子ども3人)
「私自身は仕事をして自分で稼ぐことが幸せにつながっています。専業主婦になれたら気持ちは楽ですが、金銭的に余裕がなくなり 手放しに幸せとは思えない気がします。」(50代・長野県・子ども2人)

子どもが小さいうちは良い

また、子どもの年齢によって専業主婦でいることの幸福度は変わってくる、といったお声も頂戴しました。たしかに、子どもが幼ければ毎日つきっきりでお世話もできますが、ある程度親の手を離れてしまうと専業主婦でいる必要もないのかも?  もちろん、ご家庭によって事情は異なりますが。

「子供が小さいうちは子供につきっきりで面倒をみることが出来るけど、子供が大きくなるとあまりすることがなく家にずっといることが時間がもったいない気がする。」(40代・兵庫県・子ども1人)
「子供が小さい間は専業主婦になった方が幸せだと思うが、実際はお金の面でも余裕がないため少し大きくなったら働きに出たいと思う。」(20代・兵庫県・子ども1人)

社会的な部分で気になることがある

中には、「専業主婦は社会的に肩身が狭い」と考える方も。結婚後や出産後も仕事を続ける女性が増えた一方で、家事や育児に日々奮闘する女性が、職に就いていないことに後ろめたさを感じやすくなったのも事実です。

「勤務時間が少ないのは良いかと思うが、稼げず社会と交われず、納税しないのはいかがなものかと思う。」(30代・愛知県・子ども2人)
「仕事をしながらの子育てよりは時間に余裕があるが、その分気持ちのリフレッシュは難しい。仕事をしていない後ろめたさがある。」(30代・茨城県・子ども2人)
「家の収入がたくさんあるなら幸せだと思う。好きなことをして楽しくゆっくり暮らして幸せ。 現実は肩身も狭い。金持ちならひがまれるだろうし、時間を持て余してもったいない。」(40代・兵庫県・子ども3人)

世間体には左右されず、自分の価値観を大切に

女性のライフコースが多様化する現代。結婚・出産後に女性がどのような人生を送るのか、その選択肢も明らかに増えたといえます。
もちろんご家庭の事情はさまざまですが、専業主婦になるのも、働き続けるのも、基本的にはあなたの自由。世間体には左右されず、自分の価値観を大切に人生設計をしていきたいですね。

構成・文/羽吹理美

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