小学校生活にも慣れてきた小学一年生が直面するのは、友だちとのやりとりから受けるさまざまな影響。そのひとつに「言葉づかい」があります。言葉づかいに関する悩みや友達とのつきあい方について、「脳の学校」代表で医学博士の加藤俊徳先生にうかがいました。
Q:乱暴な言葉を使うように…。どのように注意すればよいでしょう。
最近、息子が「ばっかじゃねえの?」とか、「ちくしょう!」とか、「死ね」など、ひどい言葉を使うようになりました。同じクラスの男の子のマネをしているようです。こうした言葉づかいは、どんなタイミングで、どのように注意するのがよいでしょう。また、乱暴な言葉づかいをする子とは遊んでほしくないのですが、どうしたらよいでしょう。(コナンさん)
A:どんなときにその言葉を使うかを、まずは知りましょう。
言葉づかいの内容はともかく、学校で友だちの影響を受けているということは、友だちとの交流がうまくいって、コミュニケーションがとれているということにほかなりません。
友だちとの交流がうまくいっていない場合は、このような友だちの影響は受けにくいものです。裏を返せば、この子は、友だちの影響により、言語の成長がみられたということです。ポジティブにとらえれば、乱暴な言葉さえも習得できる力があるということなので、喜んでいいと思いますよ。
子どもが乱暴な言葉を使ったとき、「使ってはダメ」と注意するだけでは、小1だとまだ理解できません。それより、言葉の背後にある行動に目を向けることが大切です。「どんなときに、その言葉を使うの?」と子どもにたずねましょう。
背景がわかったところで、お手本を見せるのです。「お母さんなら、こうやって言うよ」と。これからも、乱暴な言葉づかいが増えてくるかもしれません。けれど、頭ごなしに否定せず、そのつど背景を探り、言葉の使い方をお母さんが示すことで、語彙力も増していくでしょう。
それから、「乱暴な言葉づかいをする子とは遊ばせたくない」というお母さんの気持ちはわかりますが、学校でいろいろな子と接しながら、いいことや悪いことを学んでいくものです。お子さんの未来を狭めるようなことはしないようにしましょう。
\私がお答えしました/
加藤 俊徳 先生
脳を8つの系統に分けて育てる「脳番地トレーニング」を提唱。昭和大学客員教授。加藤プラチナクリニック院長。著書に、『すごい左利き』(ダイアモンド社)、 『ADHDコンプレックスのための“脳番地トレーニング”』(大和出版)など多数。 InterFM 897 「脳活性ラジオ Dr. 加藤 脳の学校」のパーソナリティーを務める。
記事監修
1925年の創刊以来、豊かな世の中の実現を目指し、子どもの健やかな成長をサポートしてきた児童学習雑誌『小学一年生』。コンセプトは「未来をつくる“好き”を育む」。毎号、各界の第一線で活躍する有識者・クリエイターに関わっていただき、子ども達各々が自身の無限の可能性に気づき、各々の才能を伸ばすきっかけとなる誌面作りを心掛けています。時代に即した上質な知育学習記事・付録を掲載しています。
『小学一年生』2021年7月号 別冊『HugKum』 イラスト/やまのうち直子 撮影/黒石あみ(小学館写真部) 構成/天辰陽子