「国際チャリティー・デー」とは? マザー・テレサにちなむ由来や取り組み、わたしたちにできることをご紹介

「チャリティー」という言葉は、もう当たり前のように使われていますが、その意味を知っていますか?  困った人を助けるための慈善活動・社会貢献と表現すれば、わかりやすいはず。


この記事では、そんなチャリティーの精神を世界中に啓発するため、国連が制定した「国際チャリティー・デー」をご紹介します。国際チャリティー・デーの目的・歴史・由来などをくわしく解説。また、世界や日本の取り組み、わたしたちができることをご紹介します。

「国際チャリティー・デー」ってどんな日?

チャリティー(charity)とは辞書によると、慈愛、思いやり、博愛、同胞愛、寛容、慈善行為、施し、慈善事業という意味があります。では、「国際チャリティー・デー」、英語では「International Day of Charity」とはどんな日なのでしょうか。まずは国際チャリティー・デーの日付、目的・歴史・由来を見ていきましょう。

2023年の「国際チャリティー・デー」はいつ?

国連(国際連合)は、国際デーや国際年を定めています。平和や安全、人権問題など、特定のテーマを設定し、国際社会の関心を呼び起こし、取り組みを促すことが目的です。「国際チャリティー・デー」も、そうした国際デーのひとつです。

今年の「国際チャリティー・デー」は9月5日 火曜日

国際チャリティー・デーは、毎年9月5日に制定されています。今年は、9月5日火曜日です。過去3年と来年以降3年の曜日は、以下の通りです。

・2020年9月5日土曜日
・2021年9月5日日曜日
・2022年9月5日月曜日

・2024年9月5日木曜日
・2025年9月5日金曜日
・2026年9月5日土曜日

「国際チャリティー・デー」とは?

国際チャリティー・デーは、どのような目的があり、どのような経緯のなかで定められたのでしょうか?

ここでは、その目的・歴史・由来を解説します。国際チャリティー・デーの制定には、ノーベル平和賞を受賞したある故マザー・テレサの存在が大きく関わっています。

目的

国際チャリティー・デーは、労力や金銭の提供といった慈善活動やボランティア活動の重要性を世界に訴えることが目的です。また、貧困や差別、病気などに苦しむ人々を支援するため、実際に行動を起こす慈愛や博愛の精神を世界に呼びかけたいとの願いが込められています。

歴史

国際チャリティー・デーはまだ歴史の浅い国際デーです。2012年12月の国連総会で、9月5日を国際チャリティー・デーとすることが採択され、以来、9月5日とその前後には世界各地で、この国際デーを祝うイベンドなどが開催されるようになりました。

なお9月5日という日付は、1979年にノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの命日にちなんで選ばれました。

由来

マザー・テレサは、その人生をかけて貧しい人々、弱い立場に置かれた人々の救済に尽くしました。

1910年に生まれたマザー・テレサは、1928年にインドにわたり、貧困に苦しむ人々を救うため慈善活動を始めました。1950年にはコルコタ(カルカッタ)に「神の愛の宣教者会」を創立、その活動や精神はいつしか世界中に広がり、「コルカタの聖テレサ」と呼ばれるようになりました。

マザー・テレサ(1910~19997年)

1979年にはノーベル平和賞を受賞、そのほかにも数多くの賞や名誉を受賞しています。マザー・テレサは1997年9月5日に87歳で亡くなりましたが、国連はマザー・テレサの活動をはじめとする慈善団体や個人の取り組み、国際的な人道危機や苦しみを軽減する慈善活動の役割を認識して、マザー・テレサの命日である9月5日を「国際チャリティー・デー」として定めました。

参考:Unided Nations | International Day of Charity, 5 September

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日本のチャリティーに対する意識とは?

日本でもスポーツや音楽、テレビ番組などを通じて、あるいはチャリティー・バザーなどの身近な取り組みを通じて、チャリティー活動が盛んに行われています。2011年の東日本大震災では、個人からの寄付の総額が5000億円を超え、たくさんの人がボランティアとして被災地での復興支援に参加しました。その後も、災害の被害を受けたところに、多くのボランティアが駆けつけています。

ですが、イギリスのチャリティー団体が世界の国々を対象に行った、寄付やボランティア活動内容を数値化した「世界寄付指数2022(World Giving Index)」では、日本は118位とワースト2位でした。

ボランティア活動や寄付が日本でも盛んになってきたとはいえ、世界的な基準で見ると、まだまだはるかに低いようです。

参考:
日本ファンドレイジング協会「東日本大震災から10年、日本の寄付の現在地」
CAF WORLD GIVING INDEX 2022

「国際チャリティー・デー」の世界や日本の取り組み

国際チャリティー・デーに際し、世界中でさまざまな広報・啓発活動が開催されています。ここからは、その具体的な活動内容を見ていきましょう。もちろん日本でも、チャリティーの重要性を広めるための取り組みが行われています。

国連からのメッセージ

初めて国際チャリティー・デーを祝った2013年9月5日には、国連の事務総長が「チャリティーは、国連の価値を堅持し、その活動を前進させるうえで重要な役割を果たします」とのメッセージを送りました。

老若男女を問わず、世界中の人たちに、自分の心に宿る慈善の心に従い、行動を起こすよう呼びかけました。

参考:国際チャリティー・デー(9月5日)事務総長メッセージ

アドボカシー・キャンペーンの実施

9月5日の国際チャリティー・デーにあわせ、世界各国の政府や自治体、市民団体がアドボカシー・キャンペーンを展開しています。アドボカシーとは、擁護・代弁・支持という意味。つまり、広報やイベントなどを通じて、多くの人々にチャリティーに対する知識を深め、興味を持ってもらうための啓発活動が行われています。

SNSを活用したメッセージの発信

国際チャリティー・デーの当日、あるいはその前後には、日本はもちろん、世界中で個人から、公的な組織・団体にいたるまで、SNSを活用してメッセージを発信しています。

たとえば、国連の難民支援機関である「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」の日本公式支援窓口にあたる「国連UNHCR協会」はSNSを通じて、チャリティーの必要性や理解を訴えています。

「国際チャリティー・デー」に、わたしたちができること

世界的な貧困、人権侵害、災害など、問題の規模があまりに大きいため、「何をどうすればよいのか、正直わからない」と感じる方もいると思います。しかし、国際チャリティ・デーにわたしたちにもできることはあります。個人ひとりひとりでも参加・行動できる取り組みをご紹介します。

SNSでメッセージを発信

ツイッターやインスタグラムといったSNSを利用し、国際チャリティー・デーを啓発するメッセージを世界中に発信することができます。ボランティア活動や慈善活動の経験、マザー・テレサの命日でもある国際チャリティー・デーに考えたことなどを多くの人にシェアすることができます。

ハッシュタグ:#国際チャリティーデー

「赤い羽根共同募金」に寄付

「赤い羽根共同募金」は、戦後まもない昭和22年(1947年)、市民が中心の運動としてスタートしたした。戦後復興の取り組みとして、被災した福祉施設の支援から始まり、その後、広く地域福祉の推進のために活用されています。

集められた募金の約70%は、募金されたその地域で使われます。自分の住む街に貢献できる身近なチャリティー活動といえます。

参考:赤い羽根共同募金

「国連WFP」を支援する

国際チャリティー・デーには、国内はもちろん、世界に目を向けてチャリティーを行うこともできます。例えば、国連WFP(国連世界食糧計画)の活動に寄付を行うことはいかがでしょう。国連WFPは、飢餓のない世界を目指して活動する国連の食料支援機関。寄付の用途を「緊急支援」「学校給食支援」「母子栄養支援」などから選ぶことができます。

参考:国連WFP

はじめの一歩と継続する力、その勇気がチャリティーの心

国際チャリティー・デーは、毎年9月5日。チャリティーという言葉の語源は、古代ギリシア語で「親切」を意味します。また、慈善や博愛という意味だけではなく「思いやり」「寛容」といった意味もあります。難しく考えるのではなく、身近な人、出会った人に「親切にする」くらいの気持ちで取り組んでみるとよいのではないでしょうか。

ツイッターやインスタグラムなどのSNSでの発信なら簡単です。9月5日にチャリティーの意味を考えてみる、自分の中にある慈善の心と向き合ってみる。そこから始めてみませんか。

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文・構成/HugKum編集部

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