夏休みに、大きなスイカを食べた思い出がある方は多いのではないでしょうか。ほてった体にひんやりと甘いスイカの果汁が気持ち良かったことや、黒い種がなかなか取れなかったこと。懐かしい思い出が蘇りますね。今回はスイカの保存方法について見ていきたいと思います。お子さんと一緒に、スイカにまつわる新しい思い出を作りましょう!
スイカの基本知識
スイカは91%が水分で、糖質8%を含みます。利尿作用があることから、体のむくみを解消し、血圧を下げる効果もあります。
スイカの基本知識をみていきましょう。
スイカは寒さが苦手
スイカの原産は、なんと南アフリカのカラハリ砂漠です。暑くカラカラに乾いた土地で育ち、人々の乾いた喉を潤してきました。ですから、スイカは冷蔵庫でキンキンに冷やされることが苦手です。スイカに含まれる栄養が寒さで減ってしまうことから、常温での保存が向いています。意外ですよね。
美味しいスイカの選び方
カットスイカなら種の色を観察することで、美味しいスイカを見分けられます。白っぽい種がついているスイカは未熟で甘味がありません。種は黒々としたものを選んでください。
また、皮つきならば、縞がくっきりとしたものが良品です。
丸ごととカット後で保存期限に違いが
スイカは丸ごとのままなら劣化しにくく、いちど包丁を入れてしまうと、冷蔵しても保存期間は早まります。
丸ごとのほうが長持ちしますが、どうしたら美味しいまま保存ができるのでしょうか。
丸ごとスイカの常温保存方法
それでは、丸ごとのスイカの扱い方をみていきます。
常温保存のポイント
冷やし過ぎると甘味を感じにくくなるので、常温で保存しておき、食べる前にカットしてから、少しだけ冷やすことで美味しく食べられます。冷やさずに口にしたとしても、本来の甘味が強く感じられます。水分が多いことから冷たくも感じるので、ぜひ試してみてください。
また、常温とは15~25℃をさし、直射日光が当たらず、多湿ではない場所のことです。風通しが良いとなお良いですね。
常温の保存期間
常温で切らずに保存すると、保存期間は10日間です。ですが、収穫後や味が落ち始め、鮮度も下がっていくため、できるだけ早く食べることが基本です。
スイカの上手な切り方・冷やし方のコツ
大きいままのスイカを、食べやすいサイズになるまで切る手順をみていきます。
スイカの切り方
スイカは中心部が一番甘く、外側の皮部分に近づくと味が落ちます。切った時にすべてのスイカが甘く、美味しく切り分けられる方法をご紹介します。
最初に、ツルのついていた部分と、反対側の底の部分の皮に、包丁で軽く切れ目を入れておきます。こうすると、半分にした時にきれいに割ることができます。
包丁を縞模様に沿って入れていきますが、はじめは皮だけに切れ目が入ればOKです。もういちど同じ場所に包丁を深くまで差し込み、果肉まで切ると安全に切れます。
食べきれない分はラップでピッチリと覆い、冷蔵庫へ保存します。半分にカットすると冷蔵庫へも入りやすくなりますね。
真ん中で分けて、皮の縞模様と同じ方向に切っていきます。
写真のように縦方向に切ると、どのスイカにも甘い部分が含まれます。残りの右側も同じように切ってください。
冷やし方のコツ
キンキンに冷やされた食べ物は甘味を感じにくくなります。私たちの舌が、スイカのおいしさを感じやすい温度は20℃前後。冷蔵庫でよく冷やして食べるイメージがありますが、じつは冷やし過ぎです。胃腸を冷やす原因にもなるので、常温のままか、食べる直前30分~1時間ほど前に、野菜室で冷やせば十分です。
屋外でのバーベキューの際に、川に浸けて冷やす場面を目にしますが、とても理にかなった冷やし方です。屋外で遊んで疲れた体に、塩を振りかけた甘いスイカが美味しそうですね。
スイカの皮と種も無駄なく食べられる
皮の白い部分には、血管を強化してくれるシトルリンが含まれ、浅漬け、ぬか漬け、味噌漬け、炒め物に利用されます。シトルリンは血管を若返らせる他にも、美肌、増毛にも効果があり、赤い果肉部分よりもなんと2倍の量が。しかも食品の中ではスイカがもっとも多く含まれています。冷えやむくみをとる作用もあるシトルリン。栄養面から考えると、白い皮部分もぜひ摂りたいものですね。
また、プッと口から飛ばされる種にも、高品質のたんぱく質が含まれているのはご存じでしょうか。天日干しまたは、フライパンで炒ってから、塩を振りかけ、皮をむいて白い胚 (はい)の部分を食べると、心臓保護や抗血糖の効果が期待できます。
さらには民間療法になりますが、果汁を飴状になるまで煮詰めた「西瓜糖(すいかとう)」は、腎臓炎への効能があるそうです。有効成分が凝縮されており、一日3回、スプーンに1~2杯ずつなめると良いそうです。
カットスイカの保存方法
スーパーで売られている、カットされたスイカの保存方法をみていきます。
冷蔵保存のポイント
冷やし過ぎは禁物ですから、冷蔵庫の野菜室へ入れてください。切り口はピッチりとラップで覆います。一口サイズにカットされたスイカなら、冷風で乾かないよう、しっかりと容器のフタをしてください。
容器への詰め方
丸いスイカを四角く切る方法をみていきます。
縞模様を断つ方向に包丁を入れ、棒状になるように皮をはずします。タッパーに詰めると隙間が少なくて保存しやすい切りかたです。これなら、少量ずつ食べる事もできますね。
スイカは冷凍保存もOK!
スイカは大きいので、どうしても食べられない時は冷凍保存もできます。詳しい方法はこちらをご覧ください。
スイカのおすすめレシピ
簡単なので、お子さんと一緒に作るのも楽しいレシピです。
ふるふるすいかゼリー
すいかの甘さのみで作る夏の味。口どけのよさもいいので、小さなお子さんにも食べやすい食感です。
◆材料
(約300㏄の容器1個分)
すいか 約350g(正味300g)
【A】
熱湯 大さじ3
粉ゼラチン 10g
【B】
ココナッツミルク 50cc
コンデンスミルク 大さじ2
◆作り方
【1】すいかは皮を除いて一口大に切り、 密封式保存袋に入れて袋の上から手で 細かくつぶす。
【2】ボウルの上にザルをのせて【1】をあけ、 ゴムベラなどでこし、混ぜ合わせた【A】を加えて混ぜる。保存容器に入れて粗 熱をとり、ふたをして冷蔵庫で冷やし固める。
【3】小鍋に【B】を入れて混ぜ合わせ、ひと煮立ちさせ、粗熱をとって冷蔵庫で冷 やす。フォークで崩しながら器に盛っ た【2】にかける。
教えてくれたのは
中村陽子さん
料理研究家。料理研究家のアシスタントを経て独 立。かわいくて簡単に作れるレシピが人気。二児の母。
『ベビーブック』2016年9月号
フルーツサラダのパンカップ
ヨーグルトとマヨネーズのソースで和えて。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
すいか(正味) 50g
フルーツミックス(缶詰) 100g
きゅうり 1/2本
【A】
プレーンヨーグルト 大さじ1
マヨネーズ 大さじ1
塩 少々
ミニロールパン 5個
◆作り方
【1】フルーツミックスはよく汁けをきり、7mm角に切る。すいかも種を除いて同様に切る。きゅうりは縦4等分し、3mm幅のいちょう切りにする。
【2】ボウルにAを合わせ、【1】を加えて混ぜる。
【3】ロールパンの上部を切り落とし、下部の中身を少しくりぬいて【2】をのせ、上部を添える。
教えてくれたのは
鈴木薫さん
身近な食材で簡単に作れて、おいしくて、センスのいいレシピ が人気。双子の女の子と男の子のママ。
『ベビーブック』2015年7月号
一年中楽しめるスイカ
大きく切ったスイカをガブリと食べるのも美味しいですが、少量ずつ食べていくのも長く味わいを楽しめます。味を落とさない保存方法が大切ですね。私たちの生活に合わせた品種がたくさん登場し、夏場だけでなく一年中スーパーで見かけることもできます。上手に保存して、ぜひ色々食べてみたいものですね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)