メロンは皮の外側から食べごろを見極めようとしても、難しいものです。完熟のメロンはどのように見分けるのでしょうか。また、保存方法はどうしたら良いのでしょうか。今回は、メロンの完熟を見逃さず、長持ちさせる保存方法を見ていきたいと思います。
メロンの基礎知識
ひと玉5,000円から数万円を超えるメロンは、贈答品として使われる一方で、1,000円を下回るお手頃のものも広く売られています。その他にもコンビニなどでは、カットされて少量で販売されるメロンも、よく目にするようになりました。
それもそのはず。メロンに含まれる糖分は、すばやくエネルギーに変換されるショ糖やブドウ糖で、またクエン酸も多く含まれることから、疲労回復の効果も期待できます。暑い夏にふと手に取りたくなる栄養が、メロンには含まれています。
メロンの旬
メロンの産地として有名なのは、夕張などの冷涼な地域です。6月~9月に旬を迎え、この頃のメロンは甘味が強く、比較的低価格で店頭に並びます。寒くなると、温暖な地域でガラス温室やハウスで栽培されたメロンが流通するため、通年にわたり手に入れる事ができます。
食べ頃の見極め方と追熟方法
メロンを切ってみたら皮が分厚く、甘味が少なかったことはないでしょうか。 せっかくなら、完熟した味を楽しみたいですよね。食べ頃を見極めるポイントを確認しましょう。
完熟メロンの見極め方
まず、メロンのツルと反対側、底の部分を指で押してみてください。リンゴやスイカのように硬ければ、まだまだ熟すまでに時間が必要です。逆に皮下に柔らかさを感じ、熟したアボカドやキウイのようにへこむようになったら、食べごろが近い合図です。
また、熟したメロンはみずみずしく甘い香りを周囲に放ちます。忘れていても、自然な香りに気がつくようになるのも、サインのひとつです。
合図が見えたからといって、慌てて切る必要はありません。メロンは切り分けた瞬間から劣化が始まるので、食べる直前に包丁を入れることをおすすめします。数日は食べごろが続くので、さらにそのまま熟していくのを見守りながら、時が来るのを待ちましょう。
熟すまでは「常温保存」でガマンの時
完熟するまでのメロンは、風通しが良く、目につきやすい場所に置いてください。温度の目安は20℃~30℃といったところでしょうか。「追熟(ついじゅく)」といって、メロン自身がエチレンガスを発生させながら甘く熟していくのを静かに待ちます。
このエチレンガスは、近くに置いた野菜や果物へも影響を与えます。近くにバナナやキウイがあると熟成を早める作用が働くので、早く甘くしたい時には良いですが、そうでない時は離して置くようにしてください。
また、宅配で届く場合には、すでに冷やされていますが、追熟のために再度、常温に戻しても問題はありません。
完熟メロンは冷蔵庫へ
いよいよ完熟したメロンを切り分ける時には、食べる1時間前に冷蔵庫に入れて冷やしてください。そして、できればその日のうちに食べきるのが最善です。
とはいっても、2~3日くらいはゆっくり食べたい場合も多いですよね。食べきらない分は、切り口をラップでぴっちりと覆ったあと、袋に入れて冷蔵庫で保存します。エチレンガスが他の食品に影響を与えないように、必ず袋に入れる事がポイントです。
包丁は縦半分に入れて切ります。ヘタの部分より底の部分が甘いので、縦に切ることで味のバラツキがなくなります。種をすくい取ってから、船型に切り分けてスプーンでいただきます。
写真のように、皮をはずして切れ目を入れれば、一口で食べやすい大きさになります。また、フルーツデコレーターを使うとコロコロと丸いメロンをすくい取ることもできて、かわいらしくなります。
食べきれないときは冷凍保存
2~3日で食べきれない場合は、冷凍で保存するのもおすすめです。冷凍保存にはちょっとしたコツがあるので、こちらも参考にしてください。
メロンの保存期間
完熟を迎えたメロンは、切らずに保存すると、常温で5日間程度はおいしくいただけます。カットした後の保存期間は冷蔵庫で2~3日間です。冷凍後は1カ月程度のうちに食べてください。
メロンのおすすめレシピ
メロンをそのまま食べる他にも、ケーキやドリンクにして食べるのも美味しいです。
メロンのショートケーキ
食パンを使うから簡単。クリームはカッテージチーズを使用。甘さ控えめなので食事にもなるショートケーキ。
◆材料
(直径5cm×3個分)
メロン 約100g
カッテージチーズ(裏ごしタイプ) 120g
砂糖 大さじ3
サンドイッチ用食パン 3枚
◆作り方
【1】メロンは5mm幅の薄切りに、飾り用に少量を1cm角に切る。食パンを型などで丸く6枚くり抜く。
【2】カッテージチーズと砂糖を合わせて混ぜる。
【3】食パンの1切れに【2】を塗ってメロンをのせ、また【2】を塗り、もう1切れを重ね、また【2】を塗って飾り用のメロンをのせる。同様にあと2個作る。
『ベビーブック』2017年7月号
生メロンのクリームソーダ
メロンの中心部にある、種を含んだわたの部分には、甘味が含まれているので、捨ててしまうのはあまりに残念です。ザルで濾してジュースを絞り、おいしくいただきます。熟成が進み過ぎる心配がある時は、果肉を使って作ることもおすすめです。
◆材料
(2人分)
メロンのわた部分(1個分)
サイダー、または炭酸水(200ml)
バニラアイスクリーム(1個)
缶詰のサクランボ(2個)
氷(適量)
背の高いガラスのコップ
アイスクリームディッシャー(なくてもよい)
◆作り方
【1】メロンの中心部分をすくい取ったあと、ザルに入れて、スプーンなどで軽く濾します。
【2】絞りとった果汁を氷を入れたコップに移し、炭酸水を注ぎ入れます。
【3】最後にアイスクリームを乗せます。アイスクリームディッシャーがなければ、おにぎりのようにラップを使って丸めるのも良い方法です。
小さなお子さんが飲む場合は、炭酸のないカルピスを使うと良いです。
完熟までの保存も味わいのひとつ
メロンが甘く完熟する食べごろを迎えるまで、よく観察しながら保存してください。フライングで切ってしまっても、熟しすぎてしまったとしても、今日か明日かと家族で見計らう事も、味わいの一部になるかもしれません。
構成・文・撮影(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)