子育ての魔法!「ペップトーク」で子供のやる気・勇気を引き出そう!【入園準備】

「その気」にさせよう!お父さんお母さんのためのペップトーク8つの基本フレーズ

ペップトークって何?

ペップトークとは、試合前にコーチが選手にかける、勇気や元気、やる気を引き出す励ましのショートスピーチ。短く、論理的でわかりやすく、ポジティブな言葉がけは、潜在能力を引き出す優れたテクニックとして、今、大注目。ペップトークは、信頼関係があってこそ、効果を発揮します。つまり、お父さんお母さんこそ、お子さんにとって最高のドリームサポーターであり、そのペップトークが魔法のように効くのです!

親子のペップトーク1 存在を認める言葉 「〇〇ちゃんがそばにいてくれて、うれしいな」

ペップトークの基本・存在承認。 あるがままのあなたが素晴らしい!

承認欲求は大人でも持っている本質的なもの。承認には3段階あり、存在承認→行動承認→結果承認と高度になります。一番基本で大事なのが存在承認。大好きな父母が自分の存在そのものを認めてくれていると感じると、子供の心は安定します。日頃から「あなたが、あなたのままでいてくれるだけで、うれしい」と気持ちを伝えましょう。すると、「愛されている=(自分は存在する価値がある)」という自信が生まれ、「よし、頑張ってみよう」という前向きな気持ちにつながります。

 

親子のペップトーク2 素質や才能を信じる言葉 「〇〇ちゃんなら、きっとできるよ!」

将来の成功を信じてあげる。「期待」がピグマリオン効果に!

人間は、ふしぎなことに、成功を信じて励まされると、潜在意識がその期待に応えようと反応します。これがピグマリオン効果です。親や教師など指導的な立場の人から期待されるのとされないのでは、成長に大きな差が出ます。「きっとできるよ」「大丈夫だよ」と言葉をかけると、子供は親が自分を応援してくれているのを感じ、積極的に取り組むようになります。めばえ世代は、「お母さんと同じことをしたい」「自分でやってみたい」という思いが徐々に育つ時期。自分でスプーンを使って食事をしようとしたり、一人で服を着替えようとしたりしたとき、励ましてあげましょう。

 

親子のペップトーク3 受容する言葉 「トマトは、まだ、苦手なんだね」

マイナスを前向きにとらえ直し、ステップを刻んで成長を促そう

重要なのは、「まだ」という言葉です。「まだ苦手」という表現には、「今は苦手だけど、いつか食べられるようになる」という前提があるからです。そうした肯定的でポジティブな表現にふれるうちに、子供は「いずれ食べられるようになる」という情報を無意識のうちに受け取り、やがて本当に食べられるようになります(ピグマリオン効果)。様子を見ながら、「ママは、〇〇ちゃんは、きっと食べられると思うんだ。今日はどうかな?」「マヨネーズつけてみる?」など、無理のない励ましや提案・工夫もしてあげましょう。

 

親子のペップトーク4 行動を評価する言葉 「早起きができたね!すごい!」

子供をよく観察して、ささいなこともすかさずほめる。

これは前述の承認欲求段階の2番目、行動承認です。ほめられるのは、だれでも気持ちがいいもの。「おはようが言えたね、気持ちいいね」「自分から歯磨きできたね、お姉さんになったね」など、どんな小さなことでも、子供のよい行動に気づいて評価し、タイミングよくほめましょう。頑張ったこと自体がほめるべきことですし、たとえ完璧にはできなかったとしても、この年齢では、「できたね」と認めてしまうのも、潜在意識に働きかけるいい方法です。過去の子供自身と比べれば(垂直比較)、ほめる点は見つかるはずです。ほめられれば、子供はますますその行動を強化していきます。「親はちゃんと見てくれている」「親は自分を気にしてくれている」と感じることで、親子の信頼関係も深まります。

 

親子のペップトーク5 挑戦を評価する言葉 「ひとりでお着替え頑張ったね」

自発的な挑戦する気持ちとプロセスを評価しよう

たとえボタンを掛け違えていても、「よく頑張ったね」と、まずは挑戦を認めてあげましょう。その後で「何か違わないかな?」「あれ、ボタンずれてるね」「次はもっとちゃんとできるようになるよ」などとアドバイスします。食事や着替え、トイレ、手洗いや入浴の習慣など、大人にとっては当たり前のことでも、子供は試行錯誤を繰り返しながら学んでいる真っ最中です。まずは自分から取り組むという意欲をほめましょう。たとえうまくいかなくても、プロセスを評価することで、「頑張る自分がほめられたのだから、自分は頑張れる!」と、やる気につながります。

 

親子のペップトーク6 貢献欲を満たす言葉 「手伝ってくれて、ありがとう!助かるよ」

親しき仲にも礼儀あり子どもにきちんとお礼を言う。

「ありがとう」と感謝されることは、先ほどの承認段階の2番目、行動承認です。お互いを尊重できる、社会の良い構成員となるための大切な動機付けのひとつです。一人の個人として「承認」され、大好きな親から「感謝」されることは、お手伝いの最もうれしいごほうびです。「自分の行動によって誰かにの役にたてた」という満足感は、「貢献意欲」を刺激するため、子どもにとって強い喜びとなります。「ありがとう」は、日頃からどんどん使いたい、キング・オブ・ペップトークです。

親子のペップトーク7 結果を評価する言葉 「すごい!よかったねー!」

小さな成功を見逃さず子どもと喜びを分かち合おう

これは、前述の承認の3段階で最高の「結果承認」です。積木を高く積み上げる、砂場でおもしろい形をつくるなど、どんな小さな成功でも発見し、「よかったねー!」と、一緒に喜んであげましょう。承認段階によって親の反応は3種類を使い分けるようにします。長所短所も認め(存在承認)、頑張っていることをほめ(行動承認)、うまくいったら一緒に喜ぶ(結果承認)。子どもが誕生して以来、成長を見守り続け、日頃の頑張りというプロセスを知っているドリームサポーターなればこそできることですね。

 

親子のペップトーク8 評価し、貢献欲を満たす言葉 「すごい!どうやったの?ママにも教えて」

親は演技力が大事。プライドをくすぐろう

子供は日々親からさまざまなことを学び、親に頼って生きています。でも、たまには子供にサービスするつもりで、立場を逆転して、子供を頼ってあげましょう。「すごい」とほめるだけでなく、ぜひ「ママに教えて」とプライドを刺激する言葉もプラスしたいもの。子供は「お母さんに教えてあげる=自分がお母さんの役に立っている」と感じて、とても喜びます。親は常に子供の意欲を伸ばす振る舞いを心がけ、その場に応じて適切な効果を上げられるよう、おおいに演技力を磨きましょう。

 

これはNG! 子供を傷つけるつもりはなくても、つい口にしていませんか? こんな「悪魔の言葉」にご用心!

1「そんなの、意味ないよ。どうせ無理」

子供の思いや行動、可能性を否定する言葉です。親の価値観を押し付けたり、一方的にレッテルを貼ったりすることは、せっかくの子供のやる気を損ねてしまいます。「頑張って」「一緒にやってみようか」と応援する言葉に変えましょう。

2「モタモタしないで」「早くしてよ!」

忙しいとき、つい出てきてしまう言葉。でも、子供の行動やペースを無視しているため、自信ややる気が失われてしまう恐れがあります。「今度は、早めにお出かけの準備をしようね」「もうちょっと早く歩いてくれると、ママ、助かるなあ」と言い換えてみて。子供は素直にうなずけるはず。

3「なんで、できないの?」

質問の形を取った詰問(クローズ質問)です。できない理由を聞かれても、子どもは困って自信をなくすだけ。「どうしたらいいかな?」「ママが途中までお手伝いしようか?」と、子どもが話しやすい質問(オープン質問)をして会話を続け、子供の話に傾聴し、子供と同じ目線で考えてあげましょう。

4「○○ちゃんはできるのに」

「私が△歳のころには~だったのに」などと、他人と比べること(水平比較)は百害あって一利無しです。自分の過去の記憶と比べるのも同様です。

5ごまかし、知ったかぶり、うそ

当然ですが、大人に対してやってはいけないことは、子ども相手でもさけましょう。

 

ペップトーク普及協会

代表理事・岩﨑由純先生

プロスポーツ選手やオリンピック選手の心に寄り添うアスレティック・トレーナー。現在、後進を育てる一方で、アメリカ留学時代に学んだ「ペップトーク」を日本で普及する活動に注力。

 

 

 

 

 

まんが・イラスト/高坂ゆう香 構成/ひだいますみ 

『めばえ』2018年7月号

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