「子供」「子ども」あなたはどう書く?【知って得する日本語ウンチク塾】

「常用漢字表」では「子供」。でも、それって当て字?

実は、教育現場などでは、「子ども」と書く人がけっこう多いらしいのです。その理由は、「供」には「社長のお供をする」などと使われるように、人につかえるといった意味もあるからのようです。大人に従属する存在といったニュアンスを感じてしまうのかもしれません。

でも、一般の社会生活で使われる漢字の目安を内閣が示した「常用漢字表」では、「供」の訓「とも」の例欄に「供、子供」が掲げられていますので、公用文などで「子供」を使うことは何の問題もありません。

ただ、あくまでも私の好みなのですが、つい「子ども」と書きたくなってしまいます。どうしても、「供」が当て字のような感じがしてならないからです。というのも、「子ども」の「ども」は複数を表す接尾語で、「子ども」はもともとは複数の「子」という意味です。この接尾語「ども」を「供」と書いた場合、「供」という漢字には複数の人を表す意味はないので、そう読む漢字を単に当てているとしか思えないのです。

新聞では、「子供」「子ども」の両方がOK

そのためかどうかわかりませんが、新聞などでは、「子供」「子ども」両用の表記を認めています。国語辞典でも、「子供」「子ども」の両用の表記を示しているものが多いようです。

「常用漢字表」は「子供」ですが、あまり杓子(しゃくし)定規に考えずに、「子ども」と書いてもいいのだと思います。

 

 

 

記事執筆

神永 暁|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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