独りぼっちが寂しい子のための校庭にある「バス停」とは? 日本と違うイギリスの小学校トリビア

海外の小学校と日本の小学校の違い、ヨーロッパのイギリスを今回は取り上げます。日々の子育ての気分転換などに役立ててくださいね。

海外の小学校と日本の小学校の違いをこれまでHugKumでは取り上げてきました。中国や韓国といった東アジアの国々が続きましたが、ヨーロッパのイギリスへ今度は飛びます。明治時代以降に教育も含めて日本も多くを学んだイギリスの小学校には日本と異なるどのような特徴があるのでしょうか。日々の子育ての気分転換などに役立ててくださいね。

ロリポップ・レディーが通学路に立っている

画像はWikipediaより<A London “lollipop lady” with St. Paul’s Cathedral in the background.>

 

地域の一員として地元小学校の通学路で子どもたちの登校を見守った経験がありますか?  神奈川県警の情報によれば、歩行中の交通事故による年齢別死傷者数を比べると、7歳の子どもが最も事故に遭っていると分かります。この年代の子どもたちは飛び出しやすいからです。

見守り活動に参加する場合は黄色い旗が大きな助けとなってくれます。専門用語で横断旗(おうだんき)と呼ばれるみたいですね。

この黄色い旗、イギリスの場合はちょっと形状が違っていると『ヨーロッパの小学生1イギリスの小学生』(学研教育出版)にも書かれています。

画像はflickrより。撮影:Paul Wilkinson

棒付きキャンディーのような形をした持ち運び可能な標識タイプで、黄色など目立つ色の服を着た見守り係の人が背丈よりも大きい「STOP」と書かれた標識を持ち、子どもの横断をサポートします。

この手持ちの標識が棒付きキャンディー(ロリーポップ、日本ではペロペロキャンディ)に見えるために、見守り活動をする人を「ロリポップ・レディ(マン)」と呼ぶようです。

日本の横断旗よりも「ロリポップ」は「STOP」の位置が高くなります。車の運転手からも余計に目立っていい気がしませんか?  各PTA、および学校の判断で独自に導入してみてもいいかもしれませんね。

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独りぼっちの子どものための「バス停」がある

遊ぶ相手が見付からずに独りぼっちで校庭をうろうろした経験は子どものころにありませんか?  「そんなのない」という人は、コミュニケーション能力に長けた、根っからの社交的な子どもだったのかもしれません。

微妙なクラスメートとの人間関係の中で遊ぶ相手がいなくて独りぼっちを感じた経験を持つ人もきっといるはず。

その手のさびしさを感じた時に、助けを求める方法がイギリスの小学校には用意されているみたいです。

「バディー・バス・ストップ」といって、遊び仲間がほしい子どもがその「バス停」の前で立っていると、気付いた周りの子どもたちが「一緒に遊ぼう」と声を掛けてくれる便利なコミュニケーションツールですね。

「バディー」とは「仲間」とか「相棒」といった意味の言葉。イギリスのインターネットショッピングサイトにはこの「バディ・バス・ストップ」が普通に販売されています。値段は30ポンド、日本円にして4,721円くらいです。

「バス停」のプレートには

「Would you like someone to play with?」(誰か一緒に遊びませんか?)

「Sit here if you are worried about something. A playground buddy will talk to you.」(もし何か心配ごとがあればここに座って。校庭にいるお友達が話しかけに来てくれるよ)

といったメッセージも書き込まれています。

さすがにこの「バス停」の前に立つ中高生はいないと思いますが、低学年の素直な小学生にとってはとても便利な「バス停」ではないでしょうか。自分の子どもが通う小学校にこの手のバス停があったとしたら、同級生や上級生が気付いてすぐに駆けつけてくれる気がします。低学年向けに日本でまねしてもいいかもしれませんね。

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子どもの誕生会が盛大でユニーク

画像はflickrより。撮影:Martin Pettitt

子育て中の皆さん、お子さんの誕生日会を家や別の場所で開催した経験はありますか?

筆者が子どものころは誕生会を親が開いてくれましたし、友達の誕生会にも何度も招待されました。しかし子育てをするようになった今、わが子が誰かの誕生会に招かれた経験がまだありません。時代的に誕生会は日本で減ってしまったのでしょうか。

2009年(平成21年)とかなり古い調査なのですが、Benesseが実施したアンケートによると、小学生の保護者のおよそ9割が、友達を招待した外向けの「誕生会」を開催しない派だと明らかになっています。もちろん「コロナ」の影響も今はあります。しかしコロナがなくてもその傾向が続いている気もします。いかがでしょうか?

イギリスの場合は一方で、子どもの誕生会は友達(とその家族)を招いてかなり盛大にやるみたいです。

イギリスの民間企業の調査によると、3分の2以上の親が子どものために平均して3万円近くの予算をかけて誕生会を開いているとの情報もあります。

『ヨーロッパの小学生1イギリスの小学生』(学研教育出版)にも、小学生の子どもの親が地域の学校の体育館を借りてかなり大人数の友達を招待し、サッカーの試合を誕生会で楽しむ様子が掲載されています。

<イギリスでは、最近このような場所で子どもの誕生パーティーをする家が増えています>(『ヨーロッパの小学生1イギリスの小学生』より引用)

調べてみると、スポーツジムや子ども向けの室内遊技施設などが、各社の公式ホームページで誕生会の予約を受け付けている状況も見て取れました。

スイミングスクールや水族館など、さまざまな場所が他にも誕生会の会場に使われるみたいで、近所の公園に100人規模で集まる誕生会が開かれるケースもあると知人に聞きました。

もちろん開催のための費用が過剰な負担を生んだり、親の見えっ張り合戦になったりするケースもあるようです。容易に予想ができてしまいますよね……。

とはいえ新型コロナウイルス感染症の拡大で、そんな誕生会も幸か不幸か開催できなくなりました。イギリスの場合は繰り返しのロックダウンで外出を禁止してきたからです。

BBC放送(英国)のウェブ版の報道によると、ロックダウン中に誕生会が開けなかった子どもたちのために、子どもたち向けの合同誕生会を一部の小学校が開くケースも見られるのだとか。親の負担はさておき、子どもたちにとって誕生会はやはり楽しい一大イベントなのですね。

イギリス流の誕生会を日本でも開いてみたい人は、どこかの場所を借りて、気の合う友達の家族と誕生日会を合同で開くなど、負担の軽い形から始めてみてもいいのかもしれません。

国際化が叫ばれる時代です。パーティー慣れたした欧米の子どもたちと、将来当たり前に混じって生きてほしいとわが子に願う場合は、一種の教育機会になるかもしれませんね。

文・坂本正敬

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【参考】

Why there are fewer lollipop men and women – BBC

Crossing patrol: The rise and fall of lollipop men and women

Friendship Stop & Mentor Signs – elementary signs

The ‘bus stop’ for children who feel lonely – BBC

フィールド・アイField Eye英国から─②

Grammar schools: What are they and why are they controversial? – BBC

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