小学校入学に向けて「勉強はどこまで教えておくといいの?」「モンペアママが一緒の小学校だけど、どうしよう…」など、さまざまな疑問や不安を抱いているママは多いのではないでしょうか。日本一生徒数の多い公立小学校の校長を務め、現在は、教師養成に関わっている、ベテラン元・公立小学校校長 長谷川かほる先生が、ママたちの悩みに答えます!
Qうちの子、小1プロブレムにならないか心配
A 授業を通して、学校に慣れ親しんでいくので心配しないで
小1プロブレムとは、小学校に入学したばかりの1年生が①集団行動がとれない、②授業中に座って先生の話を聞けないなど、学校生活に馴染めない状態が続くことですが、その場で注意するだけでは解決に至らない子も。
そのため小学1年生は102時間/年、生活科の授業がありますが、その中で小1プロブレムを減らす取り組みが行われています。
例えば入学後、学校を探検しますが、「校庭の花壇にきれいなチューリップが咲いていたね。みんなでチューリップの歌を歌おう!」とクラスで合唱をしたり、先生がタンバリンを叩いた数だけ、友だちと手をつないでグループを作るなど、1年生の担任は、子ども達が楽しみながら学校生活に慣れていけるように学校全体で「スタートカリキュラム」を作成し、工夫しています。
また、入学前からの取り組みとしては、幼稚園、こども園、保育園と意見交換をして、園と小学校が連携して小1プロブレムをなくすように努めているので、過剰な心配はしないで大丈夫ですよ。
Q入学前に、お勉強はどこまで必要なの?
Aまずは、自分の名前がひらがなで書けるように!
1年生といえども、ひらなが、カタカナ、漢字、足し算、引き算…と勉強することは多いので、最初から自信をなくさないように、自分の名前はひらがなで書けるようにしておきましょう。できたら、ひらがなの五十音、数字の1~10は読み書きができるようにしておくとベター。
時計は、読めなくても構いませんが「長い針が1になったら終わりね」など、時間を意識する習慣はつけておきたいですね。
ほかには鉛筆、箸の持ち方が正しいか、着替えた衣類をたたんでしまえるか家庭でも見てあげてください。衣類をたたんでしまえると、学校で体操着の着替えがスムーズにできます。
ただし子どもに教えるときは、“早く小学校に入学したい!”と思えるようなかかわり方を心がけて。
次にあげる“きょういく”は、子どもが不安になったり、自信を失ったりするので絶対にダメですよ!
- 「○○ちゃんは、ひらがなが全部書けるよ!」など友だちと比べる“競育”
- 「××ができないと先生に怒られるよ!」など脅かす“脅育”
- 「△△もできないの? バカだね!」など子どもを傷付ける“凶育”。
Q勉強嫌いにしないコツを教えて!
A子どもが自信を失わない言葉かけを意識して
子どもは苦手意識を抱いたり、自信を失ったりすると勉強嫌いになりやすいもの。そのため自信をつけさせることが第一。例えばテストで80点をとったら、笑顔で「すごい!」とほめてください。「おしかったね」「もう少しで100点だったのに!」と言うと、子どもは「やっぱり100点じゃないとダメなんだ…」と自信を失ってしまいます。
もしテストで30点の場合は、「どこができなかったのかな? ママと一緒に勉強してみようか? ○○ちゃんならできると思うよ!」と励まして、できなかった問題をみてあげてください。子どもが問題をやり直して、正解したら大きな花丸をつけて「すごいじゃない!」とほめてあげて。そうしたかかわり方を繰り返すと、勉強が好きになります。
Q同じ幼稚園のモンペアママと一緒の小学校に! 入学前から不安です
A入学前の不安は、校長先生に相談を
食物アレルギーや子どもの発達の特性など気になることは、入学前に校長先生に相談して欲しいのですが、同様に保護者の不安も相談して構いません。
校長先生に相談するときは、電話で「来年度、入学予定の××ですが、入学前に○○の件で、ご相談したいのですがお時間いただけますか」とアポをとりましょう。学校サイドも情報収集をしたいはず。同じような情報が寄せられれば配慮に取り組んでくれることも想定できます。校長先生に相談にのってもらうことで、解決の糸口が見つかる可能性は大いにあります。
記事監修
東京未来大学 こども心理学部 保育・教職センター副センター長 特任教授
東京学芸大学教育学部初等教育社会科専攻を卒業後、東京都内の公立小学校教諭、副校長、校長を経て現職。大学では、管理職歴15年の経験を活かし、教員を目指す学生たちの指導を担当されています。著書に「保護者対応12か月」(小学館)。
構成/麻生珠恵